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7. 心晴と一緒に


7月12日。


今日は土曜日で休日。


俺は心晴といっしょに例の賭けの景品として、ショッピングモールに来ていた。


本当に不本意だが?


誠に遺憾だが?


まあ景品だから?しかたないかなって?


そう思ったわけですよ。


決してワックワクのウッキウキで来ているわけではないが?


まあ、せっかく来たんだし思う存分楽しむとしよう。


「優利.......鼻の下伸ばしてる........ふふ.......」


「は!?そんな事ないんだが?至極冷静で目の前に悟りを開いたお坊さんがいるくらいなんだが?」


と、正直自分でもわけがわからないことを口走るくらいには俺は冷静ではないらしい。


しかしこれに関しては俺の言い訳タイムをいただきたい。


え?あげない?そこ、やかましい。


別に俺にとって心晴と二人きりで出かけるということ自体は、実はそこまで珍しいことではない。


俺と心晴は中学からの仲で、俺の男の親友を除けば2番目に仲が良い。


そのため、いつもはドキドキとかそんなことは決してないんだが........


「ん?どうしたの......そんなに見て......もしかして惚れちゃった?」


そういってにやにや顔でこっちを煽ってくる心晴の方を見る。


今日の心晴がいつもと決定的に違うところ。


それは今日のこいつの外見にある。


いつもパーカーとか楽な格好で来るのに対し、今日は少しボーイッシュながらも確かに女の子を感じさせるコーディネート、しかもいつもはおろしている髪を後ろでひとつ結びにしている。


正直言って可愛い。めっちゃ似合っている。


やはりパーカーには認識阻害効果がついているのではないか。とまじで考えるくらいに今日の心晴は新鮮であった。


「いや.........なんか服とかいつもより可愛くて........」


俺は照れてしまった顔をそっぽを向く事で隠しながら感想を述べる。


「へ?あ........ひや、あ、ありがと..........」


なんだか様子がおかしかったような声が帰ってきたが、心晴の顔を見ていない俺は、心晴はいつも道理すんってしているんだろうなあと感じていた。


その後移動を始めたのだが、しばらく心晴は顔を伏せ続けていた。


◆ ◆ ◆


さて、場所は代わりゲームセンター。


やっぱり俺と心晴といえばゲーセンだと思う。


ちなみに今日の予定は心晴に組んでもらっている。


俺は5時からボランティアにいかなければならないのでそれまでだ。


とりあえず午前中はゲーセンで遊ぶらしい。


俺はてっきり1日中ゲーセンかと思っていたんだが..........まあ行きたいところがあるんだろう。


そんなわけで俺達はまずリズムゲームで勝負することになった。


大根の達人という大根のようなスティックで太鼓をリズムよく叩き、最後に出た得点を競うゲームだ。


スティックが大根型というのもあって難易度が高く、このゲームで高得点を取っていると人が集まってくる。


まあ、自慢じゃないが?俺達はガチプレーヤーである。


手袋準備はもちろんのこと、マイ大根持参やゲームカードまで作っている。


そのため、人が集まってきてしまうわけで...........


3戦目が終わる頃には俺達の周りに人だかりができていた。


とても、とってもやりづらいことこの上ないが、まあ正直ガチプレーヤーの俺達からしたら些細な問題だ。


俺達は全く気にすることなくゲームを続け、終わろうと終了画面を開くと周りから拍手喝采が聞こえてくるほどだった。


俺達は集中していたがために気にしていなかった観客たちから逃げるように退散した。


◆ ◆ ◆


一度ゲームセンターから出た俺達は、お腹が減ったという心晴の要望のもと、フードコートに向かっている。


時刻はもうお昼時。


そもそも落ち合ったのが10時なので、大根の達人だけで2時間ほど過ごしたことになる。


まったく、楽しいこととはどうしてこうも時間は過ぎるのが速いのだろうか。


そんな疑問を抱えながら、心晴と談笑していると..........


「!..........心晴、ちょっといってくる」


「うん」


あることを見つけた俺は、そっちの方向へと歩き出した。


そして立ち止まり、ある人の手を、掴む。


「なにしてるんですか」


そこにいたのはガタイの良い黒服の男二人と一人の少女。


男二人は少女の手を引いて連れて行こうとしており、さっき遠目から見ても嫌がっているのがわかった。


だから俺はそれを止めに来たのだ。


「ああ?なんだよお前。俺等はただ...........」


「うるさい」


「ぐ、ぐわぁぁぁ!!!」


俺は話を聞かずに男の手首をひねり無力化した。


横暴だと思うかもしれないが、俺には確固とした確信があった。


理由は単純。


一つはさっき見つけたときに、少女が助けを求めていたこと。


もう一つは、今俺の服の裾を握っているこの子の手が震えていること。


かたかたと怖がるように、怯えるように。


おそらく穏やかな部類の話じゃない。


「これ以上するなら..........容赦はしない」


「ひっ........!!」


俺が最大限の怒りを込めてそう言うと、男二人は逃げるように去っていった。


はあ、どうしてああいう輩はいつになっても消えないんだか。


そんな簡単に諦めるくらいなら最初っからすんなっての。


俺が呆れていると...........


「あ、あの!ありがとうございました!」


言い寄られていた少女が俺に頭を下げていた。


身長や雰囲気的に中2〜3年生といったところか。


さっきは男たちの方しか見ていなかったから気づかなかったのだが、なるほど、とても美人だ。


クリクリとした目。


金髪に青い目ということから俺は外国人、またはハーフなのではないかと思った。


「いや、大丈夫だよ」


俺は極力優しい笑顔で彼女に語りかけた。


怖いことにあったあとはなるべく暖かく、だ。


すると彼女は、ホッとしたような表情を見せ、俺に問いかけてきた。


「あ、あの......お名前は......」


「俺?俺は朝霞 優利。天月高校の一年生だ。..............! おっと、連れがいるんだった。またあんな奴らに絡まれないようにね?じゃあ!」


彼女と会話をしている最中遠くでムスッとしている心晴が目に入った俺は、軽い自己紹介だけ済ませると、慌てるように心晴のもとに向かう。


「優利...........さん........」


彼女のオーラの変化に気づかずに..........

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まあぼちぼち投稿頻度上げていきます!

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