14. ショッピング!
7月19日土曜日。
神咲さんが急に俺の家に来てから早くも5日が経った。
夏も中盤のこの時期。
外では着実に太陽が力を増しており、外に出るのをためらわせてくる。
やっぱり地球温暖化の影響でもあるのだろうか。
年々暑くなっていっているような気がする。
俺、朝霞優利は現在、土曜日という休日をクーラーの効いた部屋でダラダラしていた。
今の時刻は9時だが、外はもうすでに炎天下。
この時期はボランティアも体調面を考慮し、あまり行われない。
まあ、参加する年齢層が高齢者の割合が多いので、仕方ないことだろう。
「今日、なにしよっかな」
俺は今日の予定を建てようとソファから起き上がった。
ちなみに神咲さんが来たあの日に、何があったかは知らない。
急に部屋から出てきたと思ったら、仲良くゲームを始めていた。
仲良くなった?ようなので、そこに関しては良かったと思っている。
ここ一週間は、一緒にお昼ご飯を食べたりしているみたいだし、友達同士が仲良くなってくれてうれしい。
あと、あの心晴に新しい友達ができたというのも、あいつの事情を知っている俺としては感動ものだ。
そうか。
これが我が子の成長を喜ぶ親の気持ちか......
うん、なんというか......
自分のことのように嬉しいな。
「そういえば今日はなんか用事があるって言ってたな......」
そうそう、今日俺がダラダラしているのには理由がある。
別にいつも堕落しているわけじゃないぞ。
ホントだからな?
だいたいこういう休日には心晴なり、瑠璃なりが家に凸ってくるのだが、今日はどうやらふたりとも予定があるらしく、来ていないのだ。
基本どちらかは家に来るから、一人だけの休日っていうのも久しぶりかもしれない。
けど......
「暇だなぁ」
ダメだ、全然嬉しくないわ。
あいつらが来ないとまずやることがない。
一人の時間がほしいとかいう人もいるかも知れないけど、俺は全くそう思わない。
だって一人ってつまらなくないか?
ただでさえ無趣味なのに、いつもやることを提案してくれる二人がいないのだ。
本当にやることがない。
泣きそうになってくる。
「あ、そうだ。宿題でもしよっかな」
そこでふと俺はやるべきことがあったのを思い出す。
6日後。
7月20日から、うちの学校では夏休みが始まる。
確か8月末くらいまでだったかな......
というわけで、夏休みの時間を削られるのも嫌なので、今から夏休みの宿題に着手することにする。
とりあえず終わらせればいい社会とか英語からやるか......
楽しくなるであろう夏休みを思い浮かべながら、俺はシャーペンを手に持った。
◆ ◆ ◆
優利が宿題を始めた一方その頃.......
「あのねぇ、あんたたち常識なさすぎでしょ。なによ2時間前って。馬鹿じゃないの?」
「私が馬鹿だったことは否定しない。友達と待ち合わせとか経験ないし。でも、そういう意味では瑠璃に常識を語られるのは不満」
「まぁまぁ!いくら心晴ちゃんと私が2時間前、瑠璃さんが1時間前に待ち合わせ場所に来てたからって喧嘩することないでしょ!」
場所は大きな駅前のショッピングモールにて。
私、神咲雪は途方にくれていた。
現在、私の前では、本当に醜いボッチ共の言い争いが起こっていた。
「あのね!2時間前とかに来られたら、時間通りに来たときに申し訳なくなるじゃない。配慮をしなさい配慮を」
「だから自分の非は認めてる。問題は2時間も1時間も対して変わらない。どんぐりの背くらべ。よって瑠璃に言う資格はないということ」
「変わるでしょ!1時間よ1時間!」
「もう!喧嘩しないで!」
集合早々からこれとか......
あれ、これ私今日生きて帰れるかな?
さて、そんな冗談にならない冗談は置いといて......
今日は三人で集まってショッピングモールに来ている。
目的は色々あるんだけどやっぱり一番は......
「この水着かわいいわね。優利はどういうのが好きかしら......」
「優利も男の子。露出は多ければ多いほど良いに決まっている」
夏休みのために水着を買い変えること!
やっぱり夏といえば、夏休みといえば海!
海といえば水着!
といういわば連想ゲーム的な思考で、水着を買いに行こうという話になった。
二人は優利くんとはそこそこの付き合いだから、好みとかを知っているかもしれないけど、私はそういうことはまだ知らない。
一人で買いに行っても迷いすぎて買えない自信がある!ふんす!
だから、少しくらいアドバイスをもらおうと、それとなく一緒に行くように誘導したんだよね!
さっすが雪ちゃん大天才!
私は一着の水着を手に取る。
白いビキニタイプの水着だ。
露出は結構多めで恥ずかしいけど、割とありかもしれない。
こういうの......優利くんは好きかな......
「優利はなんだかんだそういうの好き」
「まあ、少なくとも褒めてくれるでしょうね」
「.......!」
びっくりした......
後ろから急に声をかけられてビクッとしてしまう。
それにしてもそうか......優利くんそういうの好きなんだ......
じゃあ、これにしようかな......
そう思った私の目に、ふと目に止まった水着があった。
さっきと同じようなビキニタイプの水着だが、色は鮮やかな赤。
少しバラなどの柄がついており、おしゃれな感じになっている。
『やっぱり色といえば赤だよ!だってかっこいいしきれいだもん!』
そして、頭の中に響く懐かしいような、消えてしまいそうな声。
なんだっけ、この記憶。
どこかで聞いたことがあるような......そんな気がする
私は立ち止まって考えてみたけど、結局思い出すことはできず、諦めた。
そして、小春ちゃんと瑠璃さんも決まったようなので、私達は会計を済ませて店を出た。
ちなみに、本当になぜかはわからないけど、無性に惹かれて、私はさっきのバラ柄の水着を買った。
優利くん......褒めてくれるといいな......
照れながらも褒めてくれる優利くんを想像すると、自然と頬が緩んだ。
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