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12. 予期せぬ来訪


「はいはーい。今行きますよっと」


俺は今度こその客人の来訪に急いで玄関へと向かう。


心晴は客人じゃないのかと聞かれると否定はできないが......まあ、実質家族みたいになってるし。


もう客人の枠では収まりきらないと俺は思う。


ジュースを片付けてから向かった関係もあり、インターホンを見ることもなく玄関の扉を開けた。


思えば、それが間違いだったのかもしれない。


「ふぇ?」


俺は驚きのあまり気の抜けた声を出した。


きっとこのときの俺はそれはもう間抜けな呆けヅラをさらしていたに違いない。


でも、それも仕方のないことだと思う。


なぜならそこにいたのは......


「こんにちは!優利くん......来ちゃった♪」


ここに来るはずのない、ましてや住所を知るはずもない。


神咲雪その人だったのである。


◆ ◆ ◆


「ねぇ優利。これは一体どういうこと。ちゃんと説明して」


「私もお願いしたいわね。ねぇ優利?この女は誰なの?」


神咲さんが訪問してきたあと。


なぜうちに来たのか、そもそもどうやって家の場所を知ったのかは甚だ疑問だがともかく。


女性に立ち話をさせるのもどうかと思ったので、一旦神咲さんを家に招き入れた。


現在俺の家は親ももう1人も不在だが、二人がいるのでそういう男女のあれも心配する必要はないだろうと思ったのだ。


そうして神咲さんを俺の部屋に案内すると、案の定、心晴と瑠璃に問い詰められたのである。


「どういうことも何も、普通に神咲さんが来たから家に上げただけなんだけど」


「優利、わかってない。なんにもわかってない」


「そうね。女の子が私達がいたとはいえそれを知らずに男の家に上がり込むなんて......」


この二人は何を言っているのだろうか。


「それだけ信頼してくれているってことじゃないか」


「「はぁ......」」


何故か呆れられてしまった。


そんなふうに二人に気を取られていて気づかなかったが、二人が会話を、もとい尋問を止めたことで、神咲さんが俺の部屋でキョロキョロと落ち着かなそうにしているのが目に入る。


「神咲さん、ここに座ってどうぞ」


「ありがとう優利くん」


俺は心晴が使っていた二個のクッションのうちの一つを神咲さんに渡した。


持っていくとき少しの抵抗があり、心晴が持っていかないでくれと目で訴えていたが、こればっかりはどうしようもない。


今度また遊びに行ったときにそろそろもう一つ買おうと提案すると、すぐに大人しくなったのだが。


そんなにクッションに執着があるのだろうか。


「こう見るとやっぱり時間の差を思い知らされるね......」


「神咲さん、なにか言った?」


「あ、ううん!何でもないよ!」


あれ、なにか聞こえた気がしたんだけど......気のせいか。


さて、落ち着いたところで、俺は神咲さんに問いかける。


ちなみに、心晴と瑠璃もこちらを向いてじっと俺と神咲さんを見ている。


いつもはだいたい何があってもゲームを辞めないのに、珍しいものだ。


「それで、今日はどうしたんだ?」


「あ、えーっと、その......」


うん?どうしたんだ。


神咲さんは少し頬を染め、こちらをチラチラと見ながら言った。


「用事がないときちゃだめなの?」


「いや、別に構わないけど......」


おいおいおいおい神咲さんや。


それはずるいでっせ?


ただでさえ美人なのにさ?


頬を染めてこっちをチラチラと見てくる?


挙句の果てには潤んだ瞳で上目遣いだと?


心晴と瑠璃である程度耐性があるから良かったが、これが生半可な男子だったら秒で襲ってたね。断言する。


とはいえ、これじゃあ本当になぜうちに来たのかわからないのだが......


「な〜んて!冗談冗談!優利くん、学校に明日提出のプリント忘れてたでしょ」


「え......あ、ほんとだ。持って帰ろうと思って机の上に出したまんまにしてたかも」


「それで、優利くん困るだろうな〜と思って持ってきたの」


「まじでありがとう。恩に着る」


助かった〜。


マジでありがたい。


神咲さんが持ってきてくれたのは科学のプリントなのだが、科学の先生は提出物が少しでも遅れると受け取ってくれなくて、成績がガタ落ちしてしまうので、本当に助かった。


「でも、よく俺の家がわかったね。一度も言ったことなかったのに」


「それはびこu......ごほんごほん。先生!先生にプリントを届けたいんですって言って教えてもらったんだよ!」


神咲さんは取り繕ったような笑顔で言う。


一瞬不穏な単語が聞こえた気もしたが......まぁ、気のせいだろう。


と、今まで黙って聞いていた心晴が突然口を開く。


「それが目的ならもう達成しているはず。即急かつ速やかにご帰宅願いたい」


すると瑠璃も続けて、


「そうね。あなたが誰かは知らないけど、優利の学校関係の人だということはわかったわ。でも、もう用事は済んだはずよね?」


ふたりは、攻撃的にも見える目で神咲さんを見つめる。


「おいおい、そんなふうに言わなくてもいいじゃないか」


俺は仲裁に入ろうとしたのだが......


「優利は黙ってるべき」


「優利が首を突っ込む話ではないわ」


「えぇ......」


一応、ここ俺の家なんですけど......


そんな俺の心の叫びも虚しく、


「ちょっと二人と話がしたいから、三人にしてほしいかな」


と、神咲さんに提案され......


「そう。私も話したいことがある」


「私もよ」


心晴と瑠璃の二人が賛成したことによって、俺はリビングへと追い出されてしまった。


なんかすごいデジャヴ......


ド◯えもんが助けに来てくれないかな。


一人リビングでそう思った。

お読みいただきありがとうございます!

できればブクマと星5つつけていただけると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
とてもいい作文ですね!これからの活動と、この先の話を楽しみに待ってます!
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