11. 俺の家
前話の遊びに行った家を瑠璃の家から優利の家に訂正しました。
ピン....ポーン。
玄関からチャイムの音がなる。
「空いてるぞ〜」
俺、朝霞優利は客人が来ているのにもかかわらずそのままゲームを続けている。
これで泥棒とかだったら本当に笑えないが。
家のチャイムは少し特殊で長押しするとピン....ポーンと間ができる。
そのため、知り合いが合図のようなものになっているのだ。
ちなみに隣では、瑠璃がゲームで惨敗して放心状態になっている。
ぐでーんとしている姿も絵になるあたり、さすが美少女と言ったところか。
玄関の方からガチャっという扉が開く音がしたあと、とてとてと廊下に音が響く。
しばらくして廊下の方から心晴がひょこっと顔を出した。
「よっ、今日はちょっと遅かったな」
「ちょっと学校で話してて......」
心晴はいつもの定位置であるクッションに腰を下ろす。
「へ〜、心晴が誰かと話すなんて珍しいな。誰と話してたんだ?」
「......内緒」
「そうか」
どうやら俺には知られたくないらしい。
こういうときに深く聞くのは良くないと思うのでこれ以上は聞かないことにしよう。
「ところで...瑠璃はまた?」
「ああ、ラリオカートでいつも通りな」
「はぁ、毎回懲りない。デザインで車を決めるから負けるんでしょ」
先程から俺も心晴も横で白く燃え尽きている瑠璃のことを放置していたが、正直毎日の光景だ。
心晴がその車は弱いと何度も言っているのに、「この車は気品があるでしょ!私にぴったりだと思わない?」といって一向に変えようとしない。
変なとこでこだわりが強いのである。
「うん...うぅ.....」
そんなことを心晴と話していると、瑠璃が再起動した。
「あ、起きた」
「あ、心晴。もう来てたのね」
「ちょっと前にね。瑠璃が死んでる間に」
「そう!じゃあ、特訓よ特訓!つぎは絶対優利に勝つんだから!」
さっき撃沈したばかりなのに、再起動した途端にこれだから、瑠璃の切り替えの速さには毎度毎度驚かされる。
長所ではあるんだろうけど、失敗とかをすぐに忘れるから一概にいいところとも言えないんだよな。
「じゃあ俺、飲み物取ってくるけどなんかいるか?」
「人参抹茶サイダーで」
「コーラがいいわ!」
「はいはい」
俺は座っていたベッドを立ち、台所へと向かった。
◆ ◆ ◆
「えーっと、人参抹茶サイダーはと......あったあった」
俺はカルピスとコーラのペットボトル、そして人参抹茶サイダーの紙パックを冷蔵庫から取り出す。
心晴たちがたびたび家に来るため、彼女たちの好きなジュースはだいたい買っておくようにしている。
にしても......
なんだ人参抹茶サイダーって。
心晴はこの飲み物?を好んでいて、基本これとお茶しか飲まない。
ジュースは本当にたまに飲む程度だ。
俺はこの液体を心晴に教えられるまで知らなかったし、心晴に教えてもらっても意味がわからない。
この前抹茶サイダーが美味しくないと少し話題になっていたが、そこに人参が加わるとかもはやカオスどころの騒ぎじゃないだろ。
ただ、俺が心晴と会ったとき、つまり中学の頃にはもうあって、今まで製造終了していないことを考えると、以外に需要があるのかもしれない。
俺は自分のコップに少しだけ人参抹茶サイダーを注ぐ。
見た目は、どろどろしててとても美味しそうには見えない。
作った人、そして好んで飲んでる人には悪いとは思うが、お世辞にも飲み物だとは思えないのだ。
俺はそのまま飲んでみる。
うん、まずい。
俺は無言でコップを水で濯いだ。
ピンポーン。
そんなとき、再びチャイムが鳴った。
どうやら次は本当にお客さんらしい。
◆ ◆ ◆
「あー!なにそのショートカット!」
「なにってテンプレ」
眼の前で瑠璃がわーわー騒ぐ。
優利が出ていったあと、私達はさっきの会話通りゲームをしていた。
やっているのはもちろんラリオカート。
ラリオと呼ばれるラリってる滑舌の悪い男を主人公としたハイパーラリオブラザーズのキャラたちがレースで争うレースゲームである。
別に他のゲームをすることも多々あるが、今はこれが私達のブームだ。
「言ったでしょ。ダッシュはなるべく温存しといてここぞってときだけ使うの」
「だって!使わなかったら新しいアイテムが取れないじゃない!」
「ランダムで出るアイテムに頼るより、自分の実力で勝つのが大事。それが安定して勝つコツ。ぶい」
「あ〜〜〜!また負けね......」
相変わらずうるさい女である。
出会った頃もうるさかったにはうるさかったが、まだお嬢様感があってちょっと堅くて、少なくとも今よりはマシだった。
ただ......
「大丈夫。だいぶタイム縮まってきてる。このペースなら一週間以内には優利に勝てる」
「え、本当!?やったわ!もっと頑張らなければね......」
友達がいなかったからなのか、はたまた似た境遇にいた瑠璃のことが自分で思っているよりも好きなのか、どちらが理由かはわからないが、このうるささは......嫌いじゃない。
「はい、隙あり」
「あ〜〜〜!!!」
瑠璃は私と違ってどこまでも明るい。
頭もそれなりにいい。
ポンコツなところもあるけど。
そんなところも彼女の魅力だと私は思う。
私の初めての心から信用できる女友達で、親友で、恋のライバルで......
私の初めての理解者。
優利の理解とは違う。
強いて言うならば......共感。そして仲間。
それが私、天野心晴にとっての九条瑠璃という女子である。
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