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10. 不審...者?


そうして話が終わったあと.........


「という感じで、私は優利に救われて瑠璃とは親友になったわけ」


「そっかぁ」


女狐は何度もうんうんと頷くとつぶやいた。


「やっぱ........くんは........だよ」


「え、なんて言った?」


「ううん!なんでも!」


そういってにこっと笑った。


明らかに何かあると感じたが、深く詮索することはない。


そうして女狐は、こちらを振り向くと手をおでこにやり


「じゃね!ありがと!」


と元気良く言うと、保健室から飛び出していった。


「変なの..........」


出口の方を眺めながらすこし呆けていた私は、つぶやいた。


心が少し軽くなっている気がする。


あんな女狐に話して軽くなるのはとても不本意だが..........


「ありがと......真剣に聞いてくれて.......」


今日くらいは......感謝してやってもいいかもしれない。


◆ ◆ ◆


場所は変わって公園。


現在この天月市内公園では、ボランティアを中心に草抜きとゴミ拾いが行われていた。


公園内はめちゃくちゃ広いというわけではないが、十分な広さがあると思う。


しかし、遊具はブランコや滑り台、鉄棒はあるものの、公園全体の面積に比べるとどうも寂しい印象を受ける。


それに対して芝生の場所もあり、よく小学生などがボール遊びをしているのを見かける、なんだかんだ市民に愛されている公園である。


現在俺、朝霞優利はゴミ拾い班としてボランティアに勤しんでいた。


以前にも行ったと思うが、俺は地域のボランティア団体に属しており、たまにボランティア活動を行っている。


最初は俺しかする人がいなかったが、最近は俺が勧誘した人たちも参加し始めて老人が多かったときに比べて活気づいてきている。


とても嬉しいことである。


それはそうと、もうすぐボランティアの時間も終わりという頃.........


いる。


俺のよく知るやつが...........


公園の門からこちらを見つめている美女が一人。


黒シャツ黒ズボン。


そこだけ見るともう不審者だけれども、不審に思う人物はいない。


なぜなら彼女はもはや名物化しているからである。


「おーい、優利!待ってたわよ!」


金髪をなびかせる美少女の名は.......


九条 瑠璃。


昔の心晴の敵であり.........


今の俺と心晴にとっての親友だ。


◆ ◆ ◆


というわけで俺が現在いるのは俺の家である。


なんで俺の家にいるのかと言うと.........


「あ~!アイテムずるい〜!」


「残念だったな、喰らえ!」


ゲームを......するためである。


もう一度言おう。


ゲームを....する.....ためである。


もちろんいかがわしい下の目的は一切......ない。


まあ、この流れはもはや恒例化しており、もうすぐ心晴も来る頃だろう。


親友同士になった俺達は、最低でも週で5回以上は遊んでいる。


いや、多すぎじゃないだろうか。


今更になって思うが、まあいい。


ふと横を見る。


驚くほどに整った顔。


頭部から、滝のように流れる美しい金髪。


長いまつ毛。


そして.....


あの頃とは違う、眩しいくらい明るい笑顔。


その笑顔は、彼女の髪色と交わって輝きを増している。


あの頃のこいつも紛れもなく笑顔だった。


だけど、昔と今は違う。


雲がかかったような無理しているような表情は取り除かれ。


自分を蝕むだけだった、上っ面の友達は取り除かれ。


偽の関係でも満足していた弱い心は取り除かれ。


彼女は今、紛れもなく前を向いている。


だから...だろうな。


こいつのことがこんなにも。


魅力的に映るのは...


◆ ◆ ◆


横でゲームに夢中になっている優利をちらちらと見る私、九条瑠璃はため息を吐く。


はあ、相変わらず優利は今日もかっこいい...


単刀直入に言おう。


私は彼のことが好きだ。


あの事件で、一方的に責められてもおかしくない状況でまさか救いの手を差し伸べてくれて。


しかも、ずっとそばにいるとかかっこいいことを言われて。


実際、ずっと一緒にいてくれて....


私が彼のことを好きになるのにそう時間はかからなかった。


好きで好きでたまらなくて、いつでも彼と一緒にいたい。


だが、そんな私にはひとつ、大きな問題がある。


それは、ライバルがとてつもなく多いということである。


私の親友である心晴はもちろんのこと、私の知るところ知らないところで彼のことを好きな人はたくさんいるだろう。


だけど...絶対に負けない。


私の初めての友達で初めての恋の相手で.....初めて私をわかって、救ってくれた人。


たとえこの先何があろうとも、負けるつもりはさらさらない。


その相手が親友であっても.....


そんな、ある意味真っ直ぐな気持ちを抱えたまま、私は時折横にある彼の顔を見つめる。


あの事件当時はかっこいい人という印象しかなかったが、かなり長い時間一緒にいて、いろんな一面を見てきた。


もちろんかっこいいところ。


ちょっとドジでかわいいところ。


意外にも間抜けなとこ。


それでも絶対に誰も見捨てないところ。


友達を大事にするところ。


そのどれもが彼のいいところで。


そのどれもが私の好きなところ。


でも、そんな彼のことでも一つ嫌いなところがある。


それは、彼は自分を勘定に入れないところ。


自分のことなんてどうでもいいかのように、自分を顧みないところ。


彼が過去に何かを抱えているのは...何となく分かる。


それがなにで、私の悩みよりも重かったのかどうかはまだわからない。


でもいつか...


その悩みも全部包み込めるくらいの光に、彼に話してもいいかもって信用されるような人になれるといいなと、心から思う。

お読みいただきありがとうございます!

できればブクマと話を読んだあとの下にある星を押して頂けると嬉しいです!

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