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病院も見つからない

2度目の入院中「もうコロナ患者ではない」と宣言された私と、スマホの睨めっこが始まりました。


まず調べたのは後遺症の症状と、後遺症外来のこと。入院している病院からの紹介も見込めない以上、どこに行けば治療してもらえるのかを自力で見つけなければなりません。

ところが住んでいる自治体の新型コロナに関するページを開いても、私の求める情報は載っておらず……。


「長引く症状がある方は、まずかかりつけ医に相談しましょう。」


うーん? もしかしてこの辺りには後遺症外来が存在しない?

そもそも診察券はあるけど何年も利用してない身分でかかりつけ医と呼んでも良いものか……(手のかかる年齢の子を育てている親御さんは小児科の診察カードは何枚もあって使い分けていても、自分がかかる病院のカードは何年も使ってなかったりしませんか? 私だけ?)


まあ、そういうことなら……と、「動くと息切れ 動悸 脈が早い 息苦しい」など、悩んでいる症状を入れ込んで検索してみます。すると今度は心臓や肺の病気が隠れている可能性を示唆する検索結果がずらり。その中の、循環器科クリニックのブログにはこう書かれていました。


「少しでも違和感があれば受診しましょう。」


……いやでも昨日検査して疑わしいところはないって言われたばかりだから、たぶん他の病院に行って検査しても異常は見つからないのでは……?


検索にヒットする後遺症外来は県外。遠くて通えそうにない。

症状だけで考えたら循環器系の病気が疑われる、けど、近場のクリニックを受診しても検査で異常なしになる気がする。

そもそも待合室で座っていられるのか?

先生や看護師さんと会話して検査受けて……の間、動悸と息切れで座っていられない喋れない気がする。

車椅子で移動したいし、横になりたい時もある、後遺症に理解のある病院じゃないと迷惑かける気がする。

だから後遺症外来を探してたんだけど……その前にかかりつけ医を受診しろって言われ……???



何を検索したらいいのか分からなくなりつつも、とにかく思いつく単語を入れて検索し続けました。必死でした。とにかく少し動くだけで苦しくなるのをどうにかしたい。


すると言葉や表現を変えながら続けているうちに、パニック障害の発作や自律神経失調症という言葉が検索結果に出てくるようになってきました。検査では異常が見つからなかった、という内容の言葉を入れ込んだのが良かったのかも知れません。

そこで今度は、パニック障害や自律神経失調症の症状や治し方を検索。ヒットしたのは心療内科や整体医院、鍼灸院など。不安な気持ちを穏やかにする薬、漢方薬、シール鍼、お灸。ヨガや有酸素運動、質の良い睡眠、バランスの取れた食生活、サプリメント……。


これなら出来るかも。

もやもやしていたものが、少しスッキリした瞬間でした。



こうして入院中に「治してもらう」から「自分で治す」と意識が切り替わったわけですが、今はこれが案外良かったのかな、と思っています。私の場合は、ですが。





よし自分で治すぞ、と決めた私が最初にしたのは、Twitterをインストールすることでした。今はXですね。

この時、ネット検索じゃ限界がある、と軽い気持ちでTwitterを開いたことが、この後の療養生活を一変させました。

全く知らなかったのですが、Twitterにはデルタ株の頃から後遺症と戦うコミュニティが存在していて、ネット検索には出てこない情報が詰まっています。実際に後遺症の治療をされている専門家の発信する情報もありつつ、後遺症当事者が毎日の生活のなかで試行錯誤してきたノウハウもたくさん見つけることが出来ます。


余計なお世話ではありますが、今、エンタメの一部としてXを楽しんでいる方も、気になることがあれば新型コロナ関連のワードを検索してみて欲しいです。後遺症というほどではなさそうだけど、なんとなく体がスッキリしないとか。

その中にはデマがあったり理不尽なことがあったり、色々ですが、論文や研究に裏付けられた情報もたくさんあります。取捨選択は自分次第にはなるものの、私は今回の療養生活ですごく助けられました。

何より力になったのは、自分と同じ症状で苦しんでいる方が何人も見つかったことです。「やっぱり心理的なものじゃないんだ」と自信(と表現していいのか分からないけど)が持てました。





さて、この時点で感じていた体調不良……労作時に血中酸素濃度(SpO2)には問題ないのに動悸、息切れ、頻脈が発生することに対してネット検索とTwitterを使って取り組むと決めたのは、


●血流を良くすること(体を温める)

●血液をサラサラにすること(血栓対策)

●必要な栄養を摂ること(種類がありすぎた)

●質の良い睡眠をとること

●呼吸法で副交感神経を優位にすること

●落ちた筋肉を少しでも戻すこと

●摂らない方が良い食品を控えること

●悪い方に考えないようにすること


数ヶ月前のことなので漏れがあるかも知れませんが、大まかにこんな感じでした。まだこの後も別の症状が出たり消えたりしていたので、ひとまずこのくらいで。

健康な人にはなんてことない内容に思えますが、後遺症当事者はこんな当たり前のことが必要になるくらい体がボロボロなんだと思います。

私はたまたま自分で検索して試行錯誤できる状態でしたが、倦怠感で指先すら動かせない状態になる方もいます。目を開けていると脳疲労を起こしてクラクラする方もいます。一定数、こんなメチャクチャな後遺症が残るなんて恐ろしい病気です……。




こんなふうに後遺症のことを書いていれば「コロナは茶番だ」「ワクチン後遺症なのでは」という感想をいただくだろうな、と思っていました。

私の後遺症の療養記録をどう受け止めていただいても構わないし、読んでもらわなくても構いません。ただ情報を必要としている当事者が検索した時に読めるものがあれば、と思って書いています。役立つかどうかは読んだ本人にしか判断出来ませんし。少なくとも必要ないと思った方を説得するつもりで書いていませんし、議論するつもりもありません。


これは必要ない情報で恐縮ですが、私はワクチンを打っていません。

ワクチンも賛否両論、打たなかったから後遺症になったのでは、と思われるかも知れません。自分でも、もし打っていれば……と考えました。でもワクチンを打った親戚が翌日に突然死していて、自分や我が子の接種を決めきれませんでした。

それがなければワクチンを打って、後遺症にならなかったかも。いや、親戚のことを考えたら体質の問題でワクチンの後遺症になっていたのかも。

考えても考えても何がベストなのか分かりません。私にとってのベターを取るしかありませんでした。

ワクチンに関する選択に関しては、同意を得たいとも思っていないし誰かを説得したい気持ちもありません。コロナ界隈ではよく燃える話題でありアカウント間での訴訟問題にもなる話題なので、そっと距離を取りたいと思います。


もしかしたら本当に茶番なのかも知れないし、世界の終わりの始まりなのかも知れません。

まだ世界中がコロナビギナーで、全貌が見えてくるのは数十年先のことなのかも。その頃には一粒の錠剤で解決する世の中になっているかも。

でも今は、今わかっていることのなかで何とか暮らしていくしかないんですよね。





最後の血液検査でも問題が見つからなかった私は、入院3日目の午後に退院しました。

立ち上がると頻脈になり息が上がるもののなんとか車までゆっくり歩いていくことが出来たので、24時間点滴の効果を実感した瞬間でした。

最後の最後に看護師さんから「症状が続くようなら何処かのクリニックで診てもらってね」という言葉をいただきました。

「でも検査では悪いところ見つからなかったですよね……何科に行けばいいんですか」と聞いたら、やっぱり眉毛が下がって「うーん……まずは内科かな」ですって。

仕方ないよね、後遺症の標準治療がまだないんだもの。


最後の会話で諦めがついた私は、迎えに来てくれた夫に言いました。

「薬膳の本が欲しいな」

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― 新着の感想 ―
[一言] 私もコロナ後遺症で苦しんでます。 昨年8月から後遺症が出てどんどん酷くなって、最近になってようやく慢性上咽頭炎が原因だと判明しました。 それと、血液検査で調べると、亜鉛、マグネシウムが欠乏し…
[一言] 返信をありがとうございます。 私が「X」で知ったのは後遺症で悩んでいるご本人様かご家族が後遺症で…という情報ばかりだったので専門的な事は知らない事が多く、マリーゴールドさんが教えてくださっ…
[一言] 私も後遺症で咳・痰・微熱・関節痛・右半身に痺れが出ました。 歩行困難で私もトイレに一番苦労しました。 内科で受診も軽く対処療法の薬を出されるだけ。 でもその薬で薬疹が出て内科に連絡しても薬を…
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