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ヴァースの町  作者: れな
6/10

飴玉がいつつ。


「だーかーらー…!ユキがいるから静かにしてろって…!」


俺は必死に声を抑えながら、今にも飛び出しそうな2人を宥める。だが、その努力も虚しく高い声を上げユキのいる部屋を指さしたのは、リイカだった。


「だって!ユキちゃんがいるんでしょ!?避けてよそこ!!どけろや!!!!」


今まで見たことがない程口調が荒く、暴力的になっているリイカを目の当たりにし、俺は思わず怯んでしまう。そんなリイカとは対称的に、先日来たばかりのコノハさんはかなり落ち着いた口調で喋り出す。


「まぁまぁ。見えないからと言って、そんな大きい声を出しちゃ喉が壊れちゃうわよ?」

「霊体だから壊れないでしょ。」

「あら、そうなの?」


のんびりとした口調でリイカを宥めてくれるコノハさん。文字だけ見ているお前らは、コノハさんを大人しい人だとか、優しい人だとか思うかもしれないが、目の前にいるコノハさんは口調は落ち着いてるものの、目は完全に血走っている。とても怖い。


今すぐ大声を出して止めてやりたいが、生憎ユキは俺の声が聞こえるしそれが出来ないのだ。万が一名前を呼んでしまったら、ユキを巻き込み更に収拾がつかなくなるのが目に見える。

心の中で必死にホープに助けを求めるが、あの様子だと暫くユキを離すことは無いだろう。


「頼むから一旦落ち着いてくれ…。ユキにお前らがいるってバレたら本当に終わりだから…!」


必死の思いで伝えると、何とか2人は落ち着きを取り戻し前に出かかっていた足を引っ込めた。ホッと胸を撫で下ろすと、明らかに不満そうな顔をするリイカと目が合う。


「私に関しては会いに行ってもよくない?だってユキちゃんが見えてるのはキョウカだけでしょ?」

「お前が1番会わせたくないんだよメンヘラサイコパス。」


反射的に言い返すと、リイカはでかい目を丸く更に大きく見開き、「へぇ?」と低い声を出す。一呼吸置いてから短く謝罪を述べると、少しは落ち着いたようにも見えた。


昔から、リイカはあぁなのだ。気に入らないと強く圧をかけて、無言で謝罪を要求してくる。流石お嬢様と言うところだろうか。


2人にバレないように小さくため息をつくと、諦めたのかコノハさんは嫌がるリイカを引っ張って、この場を去って行った。姿が見えなくなるまで2人を見守った俺は、またユキのいる部屋へ戻ろうとする。すると、部屋の中から声が聞こえた。


「帰ります。すみません、こんなにしていただいて。」


先程とは違う、焦ってるのか早口になってる声。

咄嗟に俺はドアノブに手をかけた。

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