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週末の精霊使い  作者: DP
2.女の子にはならないけど、女の子の体には慣れてきた
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ユージン、覚悟決めたってよ①

長くなって分割したので短めです。

話を簡潔にまとめられる人はすごいと思います。


「ナナオさん!?」


突然部屋の中に響いた新しい声に、俺はソファから飛び起きた。


いくらナナオさんがフランクだといえ、さすがに雇い主であるチームオーナーに対して寝っ転がって尻を向けたまま会話をするというのはありえない。


身を起こして部屋の入り口を見れば、そこにはナナオさんが立っていた。事務所にいる時に大抵来ているツナギでもなければ私服でもない、ピシッとしたグレーのスーツ姿だ。


「おはよ、ユージン。手の方は大丈夫?」

「あ、はい、大丈夫です。医者の方も経過は順調だっていってました。多分再来週には予定通り、ギプスも取れると思います」

「そう、それは良かったわ。ところでここに来て早々不穏当な発言を聞くことになったんだけど、説明してもらえるかしら?」

「どこから聞かれてました?」

「引きこもり宣言」


丁度ピンポイントでそこからですか……。そりゃ部下の所に来たら、いきなりその部下が堂々とサボり宣言なんかしてたらアレだよな。誤解を解くために俺は慌てて彼女に対して話の経緯を説明し、最後にこう付け加える。


「勿論、引きこもるとか冗談ですからね? そんな長時間精霊機装から離れるのも嫌ですし」

「ユージン、アタシに対してと応対が違わない?」

「当然だろ、何言ってんだお前」

「ぷぅ」


横から茶々を入れてきたミズホを軽くあしらうと、彼女は声と共にわざとらしく頬を膨らました。


でも無視。


ちなみに本当は結構本気で言ってたけど、これは俺の心の中に仕舞っておく。代わりに話してて思い出したことをさも最初からそう思ってましたとも、という感じに口に出す。


「そもそも通院もありますから。少なくとも今週、来週も日曜日はこちらに来ますし」

「ああ、それなんだけどユージン」

「はい?」

「来週は土曜日もこちらの方に来てもらうわ」

「え、なんでですか? まだ精霊機装も搭乗禁止ですよね?」

「メディア対応よ、決まってるでしょ」


ナナオさんの言葉に、俺は自分の顔が一瞬でしかめっ面にオートで切り替わったのを認識する。


その俺の表情の変化に、ナナオさんはため息を吐きながら言葉を続けた。


「そんな顔しても今回は駄目よ、今はシーズン外で断る理由もないのに正規の()()()()()()()()()からの取材依頼を断るのが問題があるのは分かるわよね?」

「はい、わかります……」


取材内容は間違いなくこないだの一件だろう。


バラエティやゴシップ系などからの出演依頼はともかく、そういった純粋な取材依頼まで片っ端から断るのは間違いなくメディアからの印象が悪くなるし、露出の機会をわざわざ逃し続ければスポンサーからもクレームが入るだろう。以前から何度も言っている通り、精霊機装リーグ戦はファンやスポンサーあってのものなのだ。


「これでも今週の取材は全部断ったのよ? 怪我して間もないし、連絡も取れないからって。いろいろと大変だったんだから」


そう言うナナオさんの顔がしかめっ面になる。きっとここ一週間問い合わせとか大変だったんだろうなぁ、と感じとれる表情だ。


オーナーにこんな表情を見せられてしまっては、俺も我儘は言えない。


しゃーない、覚悟を決めよう。今の状態で取材を受けると更に注目度は上がるだろうが、すでに95くらいの注目度が100に変わったところで大差ない気もするし。


「わかりました。取材、土曜日の何時からですか?」

「11時と14時と16時と20時ね」

「え?」


え?


「だから11時と14時と16時と20時」

「え、ちょ、ま」

「11時からのがネット放送局で残りはTV局ね。安心して、基本取材に関してはカーマインのスタジオでやってくれるそうだから、わざわざ別の都市に移動する必要はないわ」

「い、一日でよっつもですか……?」

「そうよ、これでも大分絞ったんだから。あ、日曜日は14時と16時から雑誌の取材が入ってるわ、こっちはこの事務所に向こうが来てくれるそうよ」

「む、むっつ」


俺、死んじゃわない?


「ふ、ふたりも一緒だよな?」


思わずすがるような目でミズホとレオを見ると、二人は頷いてくれた。


「こないだの事件の件に関する取材っスからね、全員一緒っスよ」


よかった、この数の取材のいくつかでも俺一人だったとしたら俺の精神崩壊しちゃう……


「ああ、それと」

「まだあるんですか!?」

「違うわよ。取材の時の格好どうする? ネット放送局なんかはこっちで用意しましょうかとかいってたけど」

「断固拒否します!」


何着せられるかわかったもんじゃねぇ!


「まぁそういうかなと思ってたけど。出演用の私服って、ユージンあるかしら?」

「うっ……」


リーグ戦絡みの時はチームユニフォームなのもあって、俺の持っている服は完全に日常生活向けの物しか今はない。俺の目からみても、公共の電波に乗るのにさすがにそれはどうなのかという代物だ。


なので俺は、こういう件に関しては一番頼りになる相手に視線を向ける。


「ミズホォ……」

「ねぇさっきからそんな誘うような目をされると困るんだけど。──我慢が効かなくなるから」


そんな目つきはしてしていない。あと何の我慢だよ。


「まぁお洋服は私が用意するわ、お化粧も私任せでいいわね?」

「オトナシメナノデ、オネガイシマス」

「はいはい、後で買いに行きましょうか」


この辺りに関してはミズホのセンスは間違いないので任せるに限る。一緒に買いに行けば以前のようなゴシックロリータのようなものになる事もないし。その分しばらくは着せ替え人形になるが、そこは我慢する。


それにしても一日で取材4つとか一体どんなスケジュールになるのか想像がつかな──


「それじゃこっちの話はまとまったし、次の話に移っていいかしら?」

「まだあるんですか!?」



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