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週末の精霊使い  作者: DP
1.女の子の体になったけど、女の子にはならない
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続・エニウェア社懇親会


「そもそも神宮司さんが何でその写真持ってるんですか」

「ごめんなさい私が送りました」

「おい」


あっさりと自白してきたのは経理の戸松さんだった。俺はジト目で見る。


「あの日、丁度ミヤコ(※神宮司さんの事)と食事をする約束があったんだけどさ、その時に村雨ちゃんの事話したら写真欲しいって20回くらい言われたからこっそり撮ってた写真あげちゃった」

「それ盗撮ぅ!」

「あごめんなさい実は私も写真撮っちゃいました」

「二宮さん!?」

「でもでも、他の人には送ってないですよ?」


ああ、それなら良かった……良くねえ!

俺はにっこりと笑みを浮かべて告げる。


「皆さん今すぐ消していただけますでしょうか? 肖像権の侵害なので」

「えー」

「えっと、その、消さなきゃダメ、ですよね……」


うっ……

……


あー、もう!


「他の人に絶対見せたりしないでよ?」

「……! わかりました!」

「はぁ~い♪」

「約束は守るわ」


くそっ、二宮さんだけに言ったのに他の犯人2人もきっかり乗ってきやがった。

俺は大きくため息を吐く。


「……今後こういう事は無しでお願いしますよ」

「うん、ごめんね?」


ふざけた様子もなく素直に謝られてしまうと、これ以上何も言えないなぁ。まぁこれ以上拡散されなきゃとりあえずいいか。


正直ちょっと過剰かもしれない反応を見せたのには理由がある。勿論()()ずかしいというのはあるんだがそっちの方は向こうの世界のあれこれのせいで多少は耐性がついた、気がする(つけたくはなかったが)。それよりも問題は、画像が拡散され過ぎる事だ。

全く知らない人間に広がるのはいい。いや全くよくはないがこっちでは別に有名人でもなんでもないわけで、そんな可能性はまずありえないからどうでもいい。問題は俺の事を知っている人間の元に、今の姿の写真が俺の写真として届いてしまうことだ。


セラス局長の以前の話を聞く限り記憶の改ざんは俺を知る全てに行われたわけではなく、あくまで俺が会った人間、もしくはすでに記憶改ざんを行われている人物に直接あった人間のみに適用されている。今回は直接会った上での譲渡だったのでセーフだったようだが、そうでない場合俺が男だと認識している人間に対して俺の姿だとして少女の画像が渡る事になる、そうすれば面倒な事になるであろうことは想像に難くない。なので強く釘をさす必要があったというわけだ。


「それじゃこの話は終わり終わり、飲みましょ飲みましょ! ほら神宮司さん注ぎますよ」


場の空気が少し重くなってしまったので、俺はパンパンと手を叩きながら雰囲気を変えるために明るい声でそう告げる。あ、でもその前に神宮司さんその画像表示したままの状態でスマホテーブルの上に置くのやめてくださる?


そこから先は、まぁ普段の飲み会と変わらない雰囲気となった。──俺に対する反応を除いて。

性別が違うので当然といえば当然なんだが、なんだかそう──あれだ、扱いがマスコットとかペットとかになってない? スマホでいろんな服の画像出されて、この服とか似合いそうとか言われても困るんだけど。あげく化粧品の話なんかされてもこっちは商品名はおろかメーカーですら聞いたことねぇよ! どんなの使ってるのと聞かれても答えられるわけないので一切使ってないと正直に答えたらえらく驚いた顔をされたし、その後に至近距離でガン見されたり顔を触られたりした。何なの君たち。後さすがに女性陣数名に顔を近づけられたので照れてしまいそれが表にでていたらしく、変なのとか笑われてしまった。変なのは君たちだよ。


その後なんとかそれらの話からは逃れられたが(お勧めのメーカーとか教えられたが全く覚えられなかった)結局その後の話題も俺が付いていけない内容だった。そりゃ女性歴一ヶ月程度の人間が女性陣の話の中に混ざっていくのなんて無理ですよ。


しかも話に混ざれないだけなら黙々とメシでも食ってればいいだけなんだが、ちょくちょく話を振られるので猶更辛い。


なので、俺は丁度自分のジョッキの中のビールが尽きた所で席を立つことにした。


「あれ、先輩どこへ?」


正面の藤峰さんと談笑していた二宮さんがそれに気づき、聞いてくる。

勿論話ふられるのが辛いので逃げますなんてことは言えないので、俺は用意していた事を口にする。


「あそこに寂しそうーな連中がいるからお酌でもしてこようかな、と。さっきの礼代わりにな」


そう言って視線を向けた先には、男4人が座るテーブルがあった。


「さっきの礼?」

「卯之原」

「あ、はい」


通じたらしい。

そう、そこの面子は最初に卯之原をこのテーブルから遠ざけてくれた連中だった。ついでにいうととある理由から俺にとっての安全地帯ともいえる場所でもある。避難場所には最適だった。だが、


「そうですか……」


思いっきり寂しそうな顔をされた。そういや服を買いに行った時誘いに乗るような事いったなぁ。今は誘われているというわけではないが、ここまでは年上のお姉さま方にいじられていたので彼女とはそれほど話はできていない。


……しゃーない。


「向こうで少し話をしたら戻ってくるよ。なんでこの席とって置いて、上着置いておくから」

「……わかりました!」

「それじゃちょっと行って来るねぇ」


元々割と感情が出る子ではあるが、アルコールが入っているせいかいつにも増して表情豊かな二宮さんに笑顔で見送られながら、栓の開いたビール瓶を一本掴んで男4人が馬鹿笑いしながら酒を飲んでいるテーブルへと向かう。


「よっ」

「ん、村雨どうした?」

「男4人で寂しそうに飲んでるからな、酌でもしてやろうかなと来てやったよ」


まぁ偽装女というか男女というかよくわからない存在だしさらにはぱっと見子供に見えてしまう外見だが、コイツらの認識の中では普通の女性社員の認識のハズだし、造形的には美少女の部類なので悪い気分にはならんだろ。


「別にそういうのが女性社員の役目なんてワケじゃない。気を使わなくてもいいんだぞ?」


そう言ってきたのはテーブルの中では最年長の男性だった。まぁ最年長といっても30半ばくらいだが。その男性に俺は笑みを返し、


「さっきのお礼ですよ」


そう言って視線を一方に向ける。


「成程な、それじゃ一杯だけお願いしよう」


意味を察してグラスを差し出してきたので、手に持った瓶からビールを注ぐ。その光景を眺めながら彼は照れくさそうに笑って


「……なんだか娘に酌をされているようでむず痒いな」

「娘さんもうそんな年でしたっけ?」

「いや、まだ10歳だがな。いずれ大きくなった時に酌をしてもらったらこんな気持ちになるのかと思ってしまったよ」


正直娘と言われるのは微妙な感じだが、今の自分の外見を考えれば仕方ないと飲み込む。


「それじゃちょっとお邪魔するよ」


見たところ他のメンバーはまだジョッキが全然空いてなかったりすでに焼酎に移行していたりしたので、俺はビール瓶をテーブルに置いて空いてる席に腰掛ける、と一番近くに座っていた男がにやにや笑いながらこっちを見てきた。


「なんだよ」

「お前逃げてきたろ、話が合わなくて。相変わらずだな~」


勘のするどい奴だ。というかそういう認識になっているんだな。だがその認識は今は助かる。


「外見はこれでもかってくらい女の子なのに、中身は男っぽいもんなお前」


そりゃ元は男だもんよ。


「いや流石にそれは失礼では」

「あ、いーですいーです。事実なんで」

「そうなのか」

「むしろ男と思って話振ってもらった方が気が楽ですね」

「そういうものか……?」

「そういうもんです」


何せ俺がここのテーブルに来た理由がそれだ。さっき俺がこのテーブルに来た理由を当てた奴は男時代に比較的仲良くしていたせいか、女になってからもその時の関係を引きずったような状態になっているので話やすいのだ。さらに言えばこのテーブル残りの3人が既婚者、既婚者、彼女持ち(社内恋愛)なのでこっちに妙な色目を使ってくることがない。


俺の安息の地だった。


あー、やっぱり(元)同性相手は気楽ぅー。話が合う事も多いし! 卯之原とかこっちをそう言う目でみてくる事がなければやっぱり男相手の方がいいよなー……とはいえ将来的にはある程度女性陣の輪の中にも混じれるようになっとかないといろいろつらいやろなぁ……


そんな事を考えつつも、それなりに楽しい時間は過ぎて行った。


"女性としての"女性陣との会話は比較的話しやすい二宮さんや鳴瀬さん相手で慣れていく事にしましょ。


因みに二次会の方は当然お断りして帰路につきました。

あ、お巡りさんお疲れ様でーす! 私ちゃんと成人なんで!(免許証ビシィィィ)









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