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週末の精霊使い  作者: DP
2.女の子にはならないけど、女の子の体には慣れてきた
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ファン感謝デー③


というわけで第三ラウンドである。


ここは実は他に比べると気楽だった。


第一、第二のトークショーでそれなりの時間視線に晒され続けてきたのでさすがにある程度は慣れてきたし、それに第三ラウンドの企画は抽選会だ。ファンの視線も大部分は俺達ではなく抽選の方に向くだろう。


抽選の商品に関してはかなりの数があるらしいが、その一部の商品だけステージ上で俺達が抽選して手渡しするらしい(全部やると時間かかりすぎるので、残りは一括)。


その一部の商品だが、内容は前シーズンでそれぞれが着ていたジャケットや直筆サイン入りのグッズ、精霊機装の装甲の一部(これもサイン入り)、それにそれぞれが選んだプレゼント品などだ。


それらを千、百、十、一の位それぞれのルーレットにダーツを投げて抽選する形。千の位だけ0と1だけという割とシュールなものになっているけど。


これを、4人でそれぞれ投げて抽選する。


それはいい。的はわりとでかいから気楽に投げても当たるレベルだし、当たる数字で商品のレベルが変わるとかそういう話はないので変なプレッシャーはない。


うん、抽選方法はいいんだ。


罰ゲーム付きってなんだよ。


ルーレットの的に当たらなかった場合、数値の抽選自体はやり直しになるけどその度に簡単なコスプレをしてもらうという妙なルールが付いてきていた。事前にそんな話一切聞いていないんだが?


まぁ、的はでかいし普通に投げれば当たる。──普通に投げれれば。


緊張しやすいタイプの俺が、こんだけの視線の中(しかも外せという無言のプレッシャーを感じる気がする)、しかも外したら罰ゲームとか言われて普通に投げれるとでも?


ええ外しましたよ、二回ほど。


救いは罰ゲームが大した内容じゃなかったことかな。一回目が猫耳のカチューシャで二回目が猫の尻尾だった。この程度ならまぁ……という感じだ。でも正直この企画俺にこういう恰好させるために立案してない?とりあえず罰ゲームの企画出した奴は後で確認して説教しておこう。後この世界リアル猫耳少女いるんだから、みたいんだったら本職(?)見てろよと思う。


ちなみに罰ゲームを受けたのはもう一人いる。レオだ。

ただ俺みたいに大きく外したんじゃなくて、完全にど真ん中に当てるというミラクルをかましてどの数字か判別できずに外れ扱いになった形だ。


アイツが猫耳つけた時一部から黄色い悲鳴が上がったけど、ちゃんと需要あるんだなと思いました。


ともあれ、抽選が終わり見事当選した20名程が商品を受け取るためにステージ上に上がってくる。


……あれ?


その中に、どうも引っかかる人物がいる。はっきりとじゃないけど、見覚えがあるような。えーっと……


その女性、年のころは俺よりちょっと下くらい(実年齢な)のその子はスタッフに誘導されて俺の方へと歩いてくる。どうやら俺のチームコスチュームのジャケットがあたったらしい。


──あ。思い出した!


確か、まだC2リーグの所属だった頃に、街で見かけた俺にファンですと声を掛けてくれた女の子二人組の内の一人だ! 


男時代、しかも知名度の低い上に遠方からの狙撃が主体という目立たない精霊使いだったという俺に、気づいた上でそんなこといってくれた人間は初めてだったので覚えていた。


その彼女が正面にまでやってくる。


俺はスタッフから自分のジャケットを受け取ると、それを差し出しながら彼女に対して声を掛けた。


「お久しぶり。まだウチのファンを続けてくれてたんだね」


その言葉に彼女は驚きを顔に浮かべて一度動きを止めてから、顔に歓喜の表情を浮かべる。


「覚えていてくれてたんですね!」

「俺に対してファンだって言ってくれたのは君が初めてだからね。さすがに覚えてるよ」

「ユージンさんは今は大人気になっちゃいましたね」

「あはは……」

「かっこいいお兄さん時代からファンだった身としては誇らしいと共に、ちょっと悔しくもありますね。あ、でも今の姿も可愛くて好きです!」

「あはは、ありがと」


やべ、めっちゃ嬉しい。お世辞かもしれないけど格好いいお兄さんって言ってくれるのも嬉しいけど、ずっと前にあったファンの子が今もファンでいてくれることがすごくなにより嬉しい。俺ちょろくね?


自分でもこれ顔が緩んでるなと理解しながら、彼女と握手を交わしてからグッズを手渡す。


「これからも応援続けます! 頑張ってください!」

「うん、ありがと。応援よろしくね!」


正直彼女とはもう少し話していたい気もするけど、今はイベントの最中なのでそういう訳にもいかない。後ろの人待ってるしな。


彼女とお互い手を振りあって別れ、俺は次の当選者へと笑顔を送る。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


俺は一つ勘違いしていたことがあったことに、今回のイベントで気づいた。


それもひどく失礼な勘違いだ。


うちのチーム全体への人気はともかく、俺個人の人気は今の幼い美少女の外見と、性別が変わったという特異性からだと思っていた。


いや、先程の彼女はおいておいて、殆どのファンはそこで俺に興味を持ったのは間違いない。だって今の姿になる前は、ほぼ良い意味で注目を浴びる事なんて殆どなかったし。


だけど。


あの後、俺がプレゼントを渡した他のファンの皆も。


俺が完璧な狙撃を決めた時だとか。

二つ前のシーズンのラウドテック戦の振動地雷を使った戦術や、ガウルに決めた速攻を話題に出してカッコよかったとか凄かったとか言ってくれた。


うん。


ほんと酷い話だ。彼らはサポーターズクラブに加入し、チケットを購入してまで来てくれたのだ。

きっかけは特殊な境遇に対する興味だとしても、彼らはちゃんと精霊使いとしての俺を見てくれている。


それを知ったと同時に、思った事がある。


勿論今日来ているファンが、全員そういう目で見てくれているわけではないだろう。


だけど、だったらそういった皆には精霊使いとしての俺を見せつけて、精霊使いとしての俺のファンにしてやればいい。きっかけは何だっていい、その意識を変えさせるのはこれからの自分次第だ。


俺は別に有名になりたくて精霊使いをやっているわけじゃない。


だけどファンですと言われて嬉しくないわけじゃない。


このイベント、直接ファンと触れる機会があってよかったと思う。


──俺の外見や境遇に興味を持っているだけの人には、精霊使いとしても認められるような試合を。

──そして精霊使いとしてファンとなってくれる人には、勝利と満足させられるような試合を。


これまではファンに対してはチームの一員としての義務感とかが強く出ていた俺だが、今は心の底からそう思えた。


うん、試合に対するモチベーション上がって来た!


プレゼント企画を終えてステージから降り、撮影に向かうために新しいチームコスチュームへ着替えている中に両頬を平手で叩く。


ファンに対して失礼な事を考えていた戒めと、これからに向けての気合い入れだ。


よし、来シーズンは心機一転頑張るぞ!


……


それはそれとして。


今俺周りを囲まれて撮影中なんですよ。地面に座った状態の自分の機体の横で。


新しいチームコスチュームに着替えて、頭に猫耳カチューシャと腰に尻尾つけて。え、これ継続なの? ってスタッフに聞いたら好評そうなのでと回答が帰って来た。ソウデスカ。


あとね、それぞれ機体と一緒に撮影されてるからね。一人なんですよ。一人で明らかに100人を軽く超えている人間にカメラやスマホ向けられてシャッター押されてるわけですよ。圧がすごい。


うわーん、ファンに対しての心持とかいろいろ心機一転して頑張って行こうとは思ったけど、さすがにこれは慣れないよー! 助けてミズホ、サヤカ!


いつも撮影とか二人やレオが側にいることで、すごく助かっていることを実感した。


しかしホント、直接行ったことないし、SNSに流れてきた写真とかでしか見たことないけど、コミケとかイベントとかで周囲まるまる囲まれて不特定多数に写真撮られている人ってマジですごいと思いました!


あと、終了後にスタッフの取った写真で見せてもらったけど、猫耳付けてめっちゃ決め顔してたレオもすごいと思いました。







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