第57話『復讐』
「覚えてくれていて嬉しいわ〜。私もアンタのことを忘れてたことは1度もないんだから」
なんでこんなところにガーヴィが居るのかも不思議だが、狙いはきっと俺だろう。なら……。
「へぇ〜、それは嬉しいな。初心者の子どもに逆に狩られた、初心者狩りガーヴィさんに覚えてもらえるなんてさ。」
「このクソ……ガキィ」
ガーヴィが憎々しく俺を睨みつける。
これで良い。俺に狙いを集中させて、2人に危険が及ばないようにしないと。
「ガーヴィ、俺と会いたいからこうして待っていたんだろ?さっさと用件を言えよ」
「……そうね。用件は、これよ!『俊足!』」
「なっ!はや」
目の前にガーヴィが一瞬で移動してくる。
「盗賊奥義スキル『盗魔の手』』
「がはっ……!」
殴られるような痛みが胸部を襲う。
見れば俺の胸にガーヴィの手が捩じ込まれていた。
心臓に手を突っ込んでいるようにも見えるが、もう痛みは不思議となかった。
「マリー!」
「マリーちゃん!」
「く、くそ……」
抵抗したいが、この手が体に入っているせいか体が動かない。
「フッフフ〜ン、どれどれ〜」
ガーヴィは俺の身体の中を楽しそうに弄る。
まるでお菓子の箱から食べたい物を選んでいる子どものようだ。
「ミツハちゃん!早くコイツを!」
「あ、ああ!」
状況が全く理解出来ず、呆気に取られていたミツハはガーヴィに手を翳す。
「『ダーク』」
「いただき」
一言そう言うと、ガーヴィは俺の胸から手を抜き離れる。
その手には綺麗な小さい青い宝石を摘んでいた。
「待て!!ミツハ!!」
「バレッえ?!」
「ガーヴィ、お前……その石は?!」
「あ〜らどうしたの?もしかしてこれが気になるのかしら?」
ガーヴィが俺に見せびらかすように、青い宝石を指で転がす。
「エリー、さっきのスキルはまさか……!」
「盗魔の手は盗賊系の奥義スキル。相手の持ち物を1つ奪い取る事ができるの」
「うそだろ……」
俺はアイテムを調べる。
こんなことになるんなんて最悪だ、最悪だ……最悪だ!!
「……ナイトの召喚石がない」
「そんな……」
エリーが俺の一言に目を見開き、悲しそうにする。
「どう?私の新しく覚えた奥義スキルは?」
「ガーヴィ、もう1度言う。さっさと用件を言え……!お前の顔をこれ以上見ていたくない!」
コイツの顔を見ていると、怒りでどうにかなりそうだ。
「PvPよ!PvPでもう1度アイテムを全部賭けて勝負しましょう!」
「………分かった」
「マリー?!」
ナイトを救うにはこれしかない。
ここでガーヴィから逃げて、ナイトが一生返ってこなくなるよりかはマシだ!
「でも、そうねぇ……1対1もつまらないし。2対3のPvPなんてどうかしら?」
「2対3?」
「もちろんハンデは貰うけど」
「………」
ミツハとアリアの顔を見ると、2人はコクリと頷く。
「わかった。でもアイテムを賭けるのは俺とお前だけにしてくれ」
「良いわよ。なら決まりね。ルールは……」
俺の目の前に、メニューが表示される。
「エリー、どうだ?なにか変なところはないか?」
「うん。賭けるアイテムもマリーとガーヴィだけだし、前と同じでアイテムが使えない……あれ?2つだけ気になるのがあるかな」
「気になるの?」
エリーがメニューを指差す。
「この『味方にもダメージが入る』のと『召喚獣は戻せない』だね」
「味方にもダメージが入るのか……」
ミツハの大技を使う時には気をつけないといけないな……それに。
「召喚獣が戻せなくなるのは、たぶんエリー……お前を逃さないようにするためだ」
「うん、わかってるよ」
「なら今すぐ」
「でも私は戻る気はないよ。私もマリーと一緒に戦いたい!」
エリーならそう言うと思っていた。
分かっていたが、実際に言われると嬉しいし心強い。
「さすがは俺の相棒だ。エリー、お前は絶対に俺が守るからな」
「うん!頼んだよ、マリー!」
「さあ始めましょうか」
エリーと拳を合わせると、ガーヴィから始まりを告げられる。
俺は負けない……負けるわけがない。
アイツには1度勝ってるんだ。それも圧勝で。
「負けるわけがない」
「スタートよ!!」
景色が変わり、森に囲まれた草原になっていた。
この場所はシオリに召喚石を返した時に使ったフィールドだったか。
「スキル『投擲!』」
他所ごとを考えていたが、ガーヴィの声で我に帰る。
クナイを俺に向かって投げようとしていた。
「『合成!』」
飛んできたクナイは目の前に現れた槍使いの軽装備に弾かれる。
「装備!」
槍使いの軽装備が俺に装備されると、スピカが召喚され吸い込まれていく。
「出たわね。忌々しいクソ装備」
ピョンピョンアーマーを装備した俺は、あの時と同じようにガーヴィと対峙した。
「あの時のように勝ってみせる」




