第23話 『マリーの予定』
「マリー、スピカ、ごめんね」
俺がスピカを抱きしめてモフモフを堪能していると、エリーが謝ってくる。
「何がだ?」
「キュイ?」
「私、仲間なのに二人のこと信じきれなかった。最低だよね……」
そんなことを気にしなくてもいいのに、エリーは申し訳ない顔をしている。
「エリー、気にするなよ」
「でも……」
「だれか一人くらいは止める役目は必要だったんだよ。エリーが冷静に見てそう思っただけで、あのまま進化しなかったかもしれないしさ、今回はラッキーだったんだよ。だから今後も俺が無茶しようとしたら今回みたいに止めてくれよ」
「……うん、分かった。マリーは無茶ばっかりしそうだもんね」
エリーが何か言いたそうだったが、諦めたように笑った。
「さてと、HPが少ないけどマイルームに戻るか」
「マリー!その前に!」
「どうした?」
「ナイトを召喚してあげたほうが良くない?」
「あ……」
そういえば問答無用で戻したので謝らないとな。
「『召喚』ナイト!」
俺の前にナイトが召喚されるが、絵に描いたように不貞腐れている。
だらっと寝ている。ただの大きな犬のようだ。
「ナイト〜、ごめんな〜!」
俺は駆け寄って、不貞腐れているナイトの体を撫で回す。
「次からはちゃんとしっかり説明してから戻すからさ」
「ワウ」
機嫌を直してくれたのか、スクッと立ち上がる。
「ワウワウ……」
「エリー、なんて?」
「悲しかった……って」
「……ごめん」
ナイトの機嫌は時間が解決してくれる事を祈り、メニューを開いてマイルームにへの戻り方を探す。
「これだよ」
エリーはメニュー画面の上にある家のマークを指差す。
「これか」
家のマークを押すと『マイルームに戻りますか〈YES/NO〉』が表示されるのでYESを選択する。
目の前が真っ暗になると、数秒後には見覚えのある木で作られた部屋に移動していた。
「便利だな〜」
部屋のベッドに腰を落とし、スピードラビットから受けたダメージを回復させようと回復薬を使おうかと思ったが、HPが全回復していた。
「あれ?回復してる」
「マイルームに移動するとHPが回復するんだよ」
「便利だな〜」
さてと、明日の予定を考えるとしようかな。
「エリー、明日は10時から冒険者講座だったよな……明日10時?」
忘れてた。明日は沙希さんが家に来るんだった。
「エリー、冒険者講座って明日行かなかったら、次はいつあるんだ?」
「……マリーはん、ウチがそんなこと知ってると思てますか?ウチが何でも知ってるわけやおまへんで?」
机の上で座布団に座っているエリーがキリッとして言う。
「……ごめん。自分で調べるよ」
「次は19日の13時だよ」
「コイツ……!」
知ってるじゃないかよ。サッと言えよ。何だったんだ、さっきの姉御キャラみたいなの。
「知ってるんだったらパパッと教えてくれよ」
「普通に言っても面白くないかなって!」
笑って言うエリーに少しイラッとしたが、教えてくれたので我慢しよう。
「どうして次回の講座を聞くの?」
「明日、人と会う約束をしてんだよ」
「もしかして、コレ?」
ニヤニヤしながら小指を立てるエリー。
「……なんてゲスみたいな質問だ、ゲス妖精め」
「ゲス?!光を司る妖精の私がゲス?!」
頭を抱えてショックを受けている。よほど言われたくなかったようだ。
「冗談……冗談だよ、そんなに落ち込むなよ。エリーは可愛いよ。よっ!このチャーミングパンプキンフェアリー!」
「ありが……カボチャが入ってるよ!可愛いカボチャ妖精って褒め言葉じゃないからね!」
「カボチャのように可愛いってことだよ」
「私はカボチャを可愛いなんて思ったことは一度もないよ!」
エリーが俺に吠えてくる。
「こっわ〜……」
「え?……今の私ってそんなに怖かった?」
エリーが言い過ぎたかとうろえる。
「ああ、めちゃくちゃ怖かった。例えるならライオン二頭分くらい怖かった」
「そんなに?!絶対にそんなに怖くないよ!シマリス二匹の間違いでしょ!」
「ライオン二頭分、もしくはワニ4頭分くらい怖かった」
「そんなに怖くないよ!怒ったことは謝るから、その例えやめてよ!」
エリーが嫌がっているから、この辺で冗談はやめておこう。
「話を戻すけど、明日は人と会う約束をしてるから冒険者講座は行かないでおくよ」
「うん、用事があるなら仕方ないよ」
「それじゃあ19日の13時からだな。行けない間に何か出来ないのかな?」
二日間も何もしないのは嫌なので、エリーにダンジョンに行けない間に何か出来ないか聞いてみる。
「冒険者ギルドでクエストを受けてみれば?」
「冒険者ギルド?」
「うん。冒険者ギルドっていうのはね、クエストを受けてお金を稼いだり、ランキングのランクを上げることが出来るんだよ」
「ランキングって」
聞こうとするとエリーが手をかざして俺の発言を制止する。
「一個一個分かり易く教えてあげる」
エリーが机の上に座るので、俺も対面するように椅子に腰を下ろす。




