表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/109

1話 『日常1』

すみません。説明文長っ!って思いながら文字を打ってました。

これを乗り越えれば、説明文が長いのはありません。

我慢して説明文を全部読んで下さい。

よろしくお願いします。

 フルダイブ型VRMMORPG機器【Equip Adventure World】通称『EAW』……と、制作会社のCMなどでは宣っているが、ゲーマー達はマヌケに「アドワ」と略して言っている。制作会社は本当はカッコ良い方に略してほしかっただろう。

 ゲームの中に入り実際に生身と同じ感覚で遊べるアドワは生産が追いつかないほど売れた。



 だがそんな世界でも類を見ないとされていたゲーム【Equip Adventure World】のサービスが半年前に終了してしまった。

 俺は生きる気力も無くし毎日を過ごしていた。

 アドワをこよなく愛していた俺は、アドワのサービス開始の日から終了までの二年の間は暇さえあればゲーム世界にログインし、勉強やスポーツを全くせずに中学と高校一年生中盤までの貴重な時間は消えてしまったが、それのおかげで俺のキャラはアドワでの最後のイベントで優勝を遂げた。

 進級が怪しいと担任に真顔で言われた去年の高校一年生の冬に、アドワの続編が来年の3月12日に発売されることが決まった。

 タイトルは【New Equip Adventure World】……これも【NewーEAW】とかではなく『アドワ2』と略されてしまった。哀れ、制作会社。

 アドワ2と世間のゲーマーのみんなと一緒のように、マヌケに略している自分の名前は日之内遊吾。今年、高校二年生に無事に進級できたゲーム大好きな男の子だ。



 3月10日。2日前に高校二年に無事に進級できることが確約され、春休み真っ最中の俺はわざわざ海外で仕事をしている兄が、姪っ子と一緒に半年ぶりに俺の進級祝いをしに3日だけ帰って来ている。

 しかし俺はそんな弟思いの兄を放っておいて、自分の部屋で正式サービス2日前に控えたアドワ2の公式サイトのマイページで自分のキャラを鑑賞していた。

 課金のガチャで手に入る重ね着装備という普通の装備の上に着る装備を着せている自分のキャラ。

 重ね着装備とは名前のとおり装備の上に重ね着する装備のことで、たとえガチガチの鉄の鎧を装備していようと重ね着でビキニアーマーを着れば見た目がビキニアーマーになるというのが重ね着装備である。

 ちなみに重ね着装備をしてもスキルが手に入るだとかステータスが上がるとかそんなことはない。なのに俺が重ね着装備を着ているのは、ただ単に自分の顔を晒したくないので隠すためだ。 

 このアドワというゲームは自分の顔写真と全身の写真をあらゆる角度で何枚も撮り自分の声を録音したものをアドワの会社に送りキャラを作ってもらい、自分のキャラのデータが入ったアドワの機械が自宅に届くというシステムになっている。

 なので自分の顔を見られたくないという思春期の心があるので、自分のキャラに重ね着で顔が隠れる全身鎧を着せているのである。


「素晴らしい……」


 前作のアドワで5万円を費やし、3時間かけて作り上げたキャラ。


「カ、カッコいい!」


 自分の才能が怖い……。闇をイメージした真っ黒の鎧。その鎧に青く光る線が体全体に入っている。なんと体や手から黒い煙が自在に出るエフェクトまである。ノートパソコンでキャラを回転させながら鑑賞する。


「何度見ても思うが、これはとんでもないものを作り上げたものだ」 


 アドワ2で新たに冒険をすることをワクワクしながら妄想していると、ドアからコンコンと軽いノックの音がした。


「ユーゴなにしてるのー?下でみんなが何かのオイワイ?とかで盛り上がってるよ?」


 姪のマリアの声だ。さすがに部屋に閉じこもってたから気になって来てくれたのか……あと、俺の進級祝いな。


「ねぇー開けるよー?」 


 返事をせずにいると、マリアは不安そうな声を出す。


「良いんだよ、気にせず開けちまえ」


 ヤンキーのような独特な話し方をする兄の声がすると、ドアが開いた。


「せっかくお前のお祝いのために帰って来てやってんだから構えよ。この兄と可愛い俺の娘に」

「その割には、マリアは何のお祝いを知らなかったみたいだけどな」

「ユーゴ、なにしてたの〜?」


 扉から絶世の美少女が入ってくる。サラサラの長い銀髪と整った顔立ちの白いワンピースを着た美少女。この美少女こそ姪のマリアだ。

 その美少女のマリアに続いて入って来たのは、黒髪で短髪の180センチほどの細身でスーツを着た20代半ばのイケメン。腹立つがコレが俺の兄だ。

 この部屋の顔面偏差値が一気に上がった。にしても兄と姪っ子は前世で相当の徳を積んだに違いない、きっと教会を無償で3つほど建てたのだろう。


「おっ、何してるかと思ったら、もうアドワのキャラ見てんのか?」


 勝手に部屋に入ってきた兄がノートパソコンを覗き込む。


「にしても何というか……すごいな」


 若干引き気味になっている。違うだろ!そんなコメント求めていない!


「もっとほかに言うことあるだろ?」

「カッコいい!ちょーカッコいい!!」


 いつの間にか側に来ていたマリアが、画面を見て叫んだ。


「だ、だろ?」


 う、うっれしい!顔がにやける。カッコいいというのは分かっていたけど人に言われるとやっぱ嬉しい!でもあからさまに喜ぶのは恥ずかしいから顔がにやけないように耐えるんだ!


「私もこんなカッコいいキャラでアドワできたらな〜」


 カッコいいと言われた余韻に浸っていると、さらに嬉しいことを言われた。


「そういえばマリアもアドワ2買ったんだっけ?」


 にやけるのを耐えながら、思い出したことを聞いてみた。


「ああ。だけど海外に送ってもらうのは色々と面倒くさいから、わざわざ受け取る場所をここの住所にしたんだ」


 おいおい兄よ、完全に俺のお祝いじゃなくてゲームを受け取るために帰って来たよね。


「パパ、今日は機械とソフトが届くんだよね?すっごい楽しみ〜!」


 ほら、マリアも完全にゲーム目当てで日本来てんじゃん。別にいいんだけどさ、どおりでマリアが俺に『おめでとう』とか一言も言わないわけだよ、だって俺の進級をお祝いするのは目的じゃないんだから。


「絶対、俺のお祝いのために帰って来てないだろ」

「安心しろ、少しくらいはお前のためだ」


 やっぱりそうかよ!俺の横でマリアが『ユーゴって何か良い事あったの?』って小さい声で兄に聞いてるし!    


「でもマリアだけでアドワ大丈夫か?子ども1人だとゲーム進めるのも大変じゃないか?あとマリアの見た目だとさ……変なヤツに絡まれたりしないか?」

「安心しろ、マリアはゲームはめちゃくちゃ得意だ。なんせ俺が逆にゲームで分からないところを聞いたりやってもらったりするくらいだからな」 


 マジかよ。とマリアをジッと見つめていると、ピンポーンと玄関のチャイムが鳴る音が聞こえた。


「来た?!来た!!」


 背筋がピーンと伸び、目を見開いたマリアが俺に聞いて来た。うっわ!猫みたいだ!可愛い!

 そんなことを思っていると、下からお母さんの声が聞こえる。


『ユーゴ!マリアちゃん荷物が来たわよ!』

「やったー‼︎来たー!荷物到着ー!」


 アホみたいなことを言いながら玄関へと走っていった。


「全く可愛いやつだぜ」


 何故かクールに決めた兄もマリアを追って下に降りて行く。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ