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第14話 『召喚獣その1』

「うん?召喚士のスキルにある契約召喚。もしかしたらこれで召喚して契約することで、今後も召喚出来るようになるのか?」


 メニューの召喚士のジョブの項目を見ていると、召喚士の名前の横に本のマークがあるのを見つける。

 その本のマークを押してみると、説明が表示された。


『召喚士』

 《召喚獣を召喚して戦う後衛ジョブ。レベルが1つ上がるごと召喚できる召喚獣が1体増えていく。最初に召喚できる召喚獣は3体。召喚する召喚獣のレアリティ率はランダムでやり直しは不可。最大レベル15。進化あり》


 契約召喚のスキル名の横にも本のマークがあるので押してみる。


『契約召喚』

 《初回は3回召喚可能。1レベル上がることに1回のみ使用出来るようになる。召喚される召喚獣はプレイヤーの性格に影響する。召喚される召喚獣のレア度はランダムであり、再度召喚し直す事は不可》


「やっぱり俺の推理は当たっているぞ!凄いぞ俺!少しのヒントでここまで導けるなんて凄いぞ!凄いすご……」


 寂しい。召喚獣を召喚して話し相手にでもなってもらおう。


「契約召喚!」


 手を勢いよく突き出しスキルを唱える……が何も起きない。マイルームが静まり返る。


「あれ?何か間違ってたのか?こういう時のメニュー画面だ!」


 何度も開いているのでメニューを慣れた手つきで開き『召喚士』のジョブの項目から『契約召喚』をタッチする。


【召喚獣を契約召喚しますか?(残3回)〈YES/NO〉】


「よし!」


 YESを押すが何も起きない。


「あれ?何か間違ってるのか?」


 何度もボタンをタッチするが何も起きない。


「何でだ?!契約召喚って押してるだろ! ……そういえば」


『ゲームでラスボスに最後の一撃をする時に勝ってほしいって願うのと同じかな』っと言っていたのを思い出す。


「いや、違う!違う!あれはマリアの冗談だ……メニューと同じように念じながらやってみたらいけるかも!うおおお!!『契約召喚!』」


 念じながらボタンを力強く押すと、空中に召喚陣が現れる。


「やった!成功だ!」


 何が出てくるかワクワクしながら召喚陣を見つめていると、ボフン!と爆発して白い煙が上がる。


「うわっ!爆発した!」


 爆発して召喚される仕様なのだろうか?初見は心臓に悪い。スキルの説明に『召喚時に小爆発する』と書いておいてほしいものだ。

 それにしても召喚される召喚獣は強そうなのが召喚されたら嬉しい。でも男心的には強くなくても、見た目がカッコいいのが良いなぁ。

 など考えていると、煙が晴れていき小さな人が空中に浮かんでいた。


「これは……!」


 煙が完全に晴れると小さな人の正体が分かった。妖精だ……召喚された召喚獣の第1印象は正にそれだった。

 背中に白色の半透明な4枚の羽根が生えており、大きさ15センチほどの小人が空中に浮かんでいる。

 現実世界では存在しないサラサラのピンク色の長い髪。前髪は切り揃えており頭の後ろに付いた大きな白いリボンが目立つ。

 陶器のような白い肌には、白い布がクロスしたビキニと短めのスカートと布の面積が少ない服を着ている。


「初めまして!こんなに可愛い子が召喚してくれて嬉しいな!」

「うん、まあ……うん、よろしく。うん」


 メニューを開き、先程のように召喚士の項目を選択する。


「ちょっ、ちょっと!まだ私が話してるのに、なにしてるの?!」

「察しろよ。テンポよくどんどん召喚していくんだよ」

「ありえないよ!一応言っとくけど私、妖精だよ!!妖精って、すんごいレアだからね!もっと召喚した喜びを噛み締めてよ!スルメのようにもっと噛み締めてよ!」

「スルメって……」


 やっぱり妖精だったのか。でもなぁ……全然強そうじゃなしなぁ。

 でもせっかく召喚したし、少しくらい話してみるか。


「ごめん。それでその妖精さんは」

「やり直してー!召喚して私が出てきたところをもう1回やり直してー!」

「えー……?」


 突然意味の分からないことを言う。やり直すだと?


「やり直すってなんだよ?」

「私が今からボフン!って口で言うから、あなたは私が召喚された(てい)で気の利いたことを言うの!分かった?」


 どうしてそんな事をしないといけないんだと思ったが、最初の態度が悪かった俺の所為だし……仕方ないので適当に終わらせよう。


「あ〜、分かったよ」

「じゃあ、いくよ!ボフン!」

「うわーようせいだーすげー」

「はい!やり直しー!このスーパーC級大根役者!棒読みにもほどがあるよ!ちゃんと心を込めて言って!本物の妖精に会った時ってそんな驚き方しないでしょ!」

「……まあ、そりゃあな」


 酷い言われようだ。腹が立つので、ふざけてやろう。


「よし、良いぞ。妖精さん」

「じゃあ、いくよ〜!ボフン!」

「な、なんだ?!煙で何も見えない!」


 俺は目の前で本当に召喚されたように驚く。


「え?結構本格的にしてくれるんだね」

「煙が晴れてきた……!こ、これは!」

「そうそう、ここからだよ!」

「……っダメだ!出来ない!」

「やってよ!!」


 俺のボケに妖精さんが見事にツッコむ。


「あともうちょっとだったじゃん!もう!しっかりしてよ!」

「ごめんごめん。もう一回頼む」

「もう一回いくよ!よーい……ボフン!」

「なんだ?!煙で何も見えない!」

「またそこからやってくれるんだ…」

「煙が晴れてきた!こ、これは……!」

「そうそう!ここからだよ!言ってね!」


 妖精さんが期待の眼差しで見つめてくるが、先ほどのツッコミが面白かったので今回もふざけよう。


「マリーの目の前に突如現れた召喚獣とは一体っ!!!」

「え、なに?!ナレーション?!」

「次回!マリーの剣!!『愛は永遠に!!さらば妖精よ!お前も1人の好敵手(とも)だった〜!!』」

「多い!多い!ツッコむところが多いよ!ナレーションにしても大声過ぎるよ!!ノド大丈夫?!」

「ごめんごめん。ほら次やろう」

「さっきからごめんって2回言わないで!なんかイラッとするから!もう!ふざけないで真面目にやってよ!」


 妖精さんが怒りながらもノリノリで開始の準備をしている。


「よ〜い……」

「うわー!妖精だー!!すげー!!」

「早いよ!あとボケがベタ過ぎだし、前のボケが強かっただけにベタなボケは弱いよ!」


 この妖精さん、面白いな。もっといじってやろう。


「……ちなみに妖精さんって彼氏とかいんの?」

「急になに?!馴れ馴れしい!」

「なあなあ?いるんでしょ?」


 俺は妖精さんの頰を人差し指で(つつ)いてやる。


「ちょ、やめてよ……!」

「その態度はいるっしょ?ねぇ、妖精さんいるっしょ?」

「あーー!うっとうしいーー!!があーー!」

「わー!怒ったー!」


 俺と妖精さんは一頻(ひとしき)り戯れたあと冷静になる。


「はぁはぁ……もう!こんなふざけたプレイヤーに召喚されるなんて思ってなかったよ!最悪だよ!」

「俺はこんなに面白い妖精さんが召喚出来て最高だけどな」

「そ、そう?」


 妖精さんは照れながら、羽をパタパタとしながら嬉しそうにする。


「そうだよね!こんなに可愛い召喚獣を召喚出来たんだから、あなたはラッキーなプレイヤーだよ〜!感謝しながら懸垂してほしいくらいだよ」

「調子乗り過ぎ、思い切り正拳突きして良い?」

「冗談でしょ、冗談!急に怖いよ!」


 拳を構える俺の手に妖精は必死にしがみつく。しがみつく妖精から、柔らかく暖かい体温があることにドキッとする。


「ちょっ、分かったから離れろ!しないから!」

「ホントに?離れた瞬間にドカッてやるつもりでしょ?!」

「し、しねぇよ!離してくれよ!ほら、ふざけててまだお互いに自己紹介してなかっただろ?自己紹介しようぜ。な?」

「……約束だよ」


 妖精はゆっくりと離れて行き、机の上に着地する。自己紹介と言っても、名前は妖精の頭上に『エリー』と出ているのでステータスや性格を知るための自己紹介だ。

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