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第68話『目指す場所』

 俺がスキルを使うとカレンが固まった。

 正確には俺の成長した姿を見て、驚いて動けないようだ。


「なんだよそのスキル?!なんでデカくなってんだよ?!」

「これが俺が覚えた奥義スキルだ」

「ち、違う!奥義スキルは一撃必殺技のスキルだったはずだ!おれは格闘家を調べ尽くしたから知ってる!だからそんなスキル知らねえ!」


 エリーもそんなことを言っていたな『拳王突き』とかいうスキルだったか?


「こうなった俺はかなり強くなる。強化スキルを使って本気でこい、カレン」

「ちっ、態度までデカくなりやがって!『パワーアップ!』×3!『身体強化!』『スーパーパワーアップ!』いくぞ!!」


 この超身体強化の状態になると、相手の存在感のようなものでどれくらい強いのかが分かるようになる。

 今のカレンは強化薬を飲んだガーヴィよりも弱い。

 カレンが上段蹴りをしてくるが、そのゆっくりとした攻撃は簡単に避けれてしまう。


「この!おらあ!!」


 カレンが何度も攻撃してくるが、全て難なく避けれてしまう。

 動きが全てストップモーションのよう見える。

 攻撃をし続けているので、さすがのカレンも息が切れてきたようだ。


「はぁはぁ……くそ!避けてるだけかよ?!速くなっただけじゃあ俺には勝てないぞ!」

「そうだな、俺も攻撃するか……『エネルギー弾!』」


 手のひらからエネルギーの球を放つと、咄嗟に避けれなかったカレンに直撃して後方に吹き飛ぶ。


「くあっ!!」


 衝撃で地面を転がり横に倒れる。


「この……!」

「『瞬間移動』『エネルギー弾』」


 立ち上がったカレンの背後に瞬間移動し、エネルギー弾をゼロ距離で当てる。


「うあああ!!」


 今度は衝撃で前方に転がる。

 カレンの頭上にあるHPバーが三分の一まで減った。


「ま、まだだ……!」

「カレン、もうやめろ」

「おれは……まだ負けてない!」


 ガーヴィならともかく、これ以上カレンを傷つけたくない。


「カレン、この奥義スキルによって俺のステータスは全て十倍になってる」

「じゅっ……!十倍だと?!」

「カレンが俺に勝てる可能性はない」

「ちっ……!」


 諦めたのかカレンが膝から崩れ落ちる。

 俺はカレンに歩み寄る。


「カレン、よく聞いてくれ。俺はこの奥義スキルをガーヴィに使って戦ったが負けそうになった。でも仲間がいてくれたから勝てたんだ」

「それは……」

「どれだけ強くても一人じゃ負けるもんだ。だからシオリたちとパーティーを組んでくれ」


 不意打ちをカレンがするとも思えないので、超身体強化を解除する。


「カレンもこの奥義スキルを覚えて、シオリやカガリと勝ってほしいんだ」

「……わかった、おれの負けだ。シオリたちとパーティーを組む」


 カレンがそう言い立ち上がる。

 気のせいかカレンの目が少し潤んでいるように見えるが、何も言わないでおこう。


「カレンも頑張って奥義スキルを覚えろよ」

「ああ!そうすりゃあマリーよりも強くなれるからな!再戦はおれが奥義スキルを覚えてからだ」

「そうだな!楽しみにしてるよ」


 カレンがメニューを操作すると景色が歪み、元の場所に戻った。


「マリー!さっきのスキルなんなの?!どうして大きくなったの?!」


 エリーが俺の服を引っ張ってくる。


「言っただろ?あれが俺が覚えた奥義スキルだよ」

「あんな奥義スキル聞いたことも見たこともないよ!凄すぎるよ!」


 説明するのは後にしてテンションの高いエリーを放っておき、カレンの方を見る。

 シオリたちと話しているので、パーティーを組んでいるのだろう。


「マリー、おれたちはダンジョンに行ってくる」

「そうか、だったら別行動だな」

「なんだ、もうダンジョンは攻略済みか。だったらここで解散だな」


 カレンはシオリたちと歩き出す。


「シオリちゃん、カガリちゃん。また連絡しますね!」

「うん、またね!」


 アリアとシオリは、どうやらPvP中に仲良くなったようだ。

 ちゃんとPvP見てくれてたのかな?少し寂しい気持ちになる。


「そうだ、カレン」

「なんだ?」

「奥義スキルを覚えたきっかけが怒ることだったんだよ」


 ガーヴィとのPvPでエリーが倒されたことで、俺の中で何かが切れた。

 それがきっかけで奥義スキルを覚えたのを思い出したので、一応伝えておく。


「だから怒れ、カレン。そうすれば覚えれるはずだ」

「参考にさせてもらう、じゃあな」

「またね!」


 カレンたちは森へ出る門へと歩いて行った。


「みなさん良い子たちでしたね」


 そうやって誰かを褒めるアリアが良い子だよ。っと言ってやろうかと思ったが、エリーが何か言いたげに見つめてくるのでやめておいた。


「何か言いたげだな、エリー」

「そやあ言いたいよ!あんな凄いスキル覚えたなんて!私でさえ知らないスキルがあったこともビックリだし」

「私でさえって、まるで何でも知ってるみたいな言い方で言うなよ。もしかしてスキルについても詳しいのか?」

「そ、そんな言い方してない!私は基本的な知識しかないよ!」


 エリーが珍しく動揺している。

 表情がコロコロ変わって面白いやつだ。


「そんなことよりもマリー!やることがないならアリアちゃんと練習PvPでもしたら?!」

「アリアと?」


 エリーがとんでもない提案をしてくる。

 アリアと戦えって言うのか?たしかに戦闘の練習になって良いかもしれないが、アリアを攻撃するのは気が引ける。


「アリアに攻撃するのはなあ……」

「そうじゃなくて、合成のレパートリーを知っておけばって言ってるの?」


 練習PvPでは召喚獣と合成しても、その後に影響がない。

 時間もあるし、アリアに協力してもらえばできることだ。


「PvPで使用した召喚獣を直ぐに召喚できるように設定もできるから、何度でも合成できるようになるよ」

「それなら何度でも合成できるな」


 ナイトとスピカには悪いけど、今後のためにも知っておきたい。


「私は大丈夫なので、やりましょう!マリーちゃん!」

「よし!やるか!」


 エリーに聞きながら俺はアリアと練習PvPを始めた。

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