第64話『妖精の聖衣』
テキストウインドウが表示される。
「マリーちゃん、どっちが良いですか?先に選んでも良いですよ」
「良いのか?なら俺は……』
どちらが良い装備なのかと考える。
「相棒のエリーが妖精だし、妖精の聖衣を貰おうかな」
「じゃあ、私は腕輪を貰いますね」
妖精の聖衣をアイテムボックスで能力を確認する。
見た目は白いワンピース。エリーが着ていたものと全く同じに見える。
【妖精の聖衣】 〈R7〉
MP+700
『妖精の祝福』
《15秒間MPが減らなくなる。このアビリティ使用後、妖精の聖衣はゲーム内で1日の間は使用不可》
思ってたより強かった。本当に俺が貰って良かったのだろうか。
「なあ、アリア。俺が貰った装備なんだけどな……」
俺はアリアに装備の能力を詳しく話す。
「気にしないで、私の装備も強かったですから」
アリアは手に入れた装備を腕に付け見せてくれる。
【賢者の腕輪】〈R7〉
MP+400 STR+100 INT+200
装備アビリティ『賢者の加護』
《1度だけ魔法の能力を3倍にすることが出来る。使用後、ゲーム内で1日の間は使用不可》
「本当だな」
「見てください!外に出る魔法陣が出てきましたよ!」
アリアが指差す方を見ると魔法陣が出現していた。
「あれの中に入れば外に戻れるんですよ!攻略サイトでみました!」
「それならダンジョンから出るとするか」
「はい!」
俺たちは魔法陣に入る。
光に包まれ浮遊感を味わい、気がつくとダンジョンの外に出ていた。
居ないとは思うが、ガーヴィのようなプレイヤーキラーがいないか周りを見渡すが人っ子一人いなかった。
「ここから歩いて帰るのさすがに怠いな……」
「そうですね」
「なら」
メニューを開いて、マイルームに戻るボタンを選択する。
『マイルームに戻りますか〈YES/NO〉』が表示されるのでYESを選択する。
目の前が真っ暗になると、数秒後には見覚えのある木で作られた部屋に移動していた。
「おお!我が姫に、我が友よ!待っていたぞ!」
マイルームにはミツハが待っていた。
「待たせてすまないな」
「気にするな、我が姫よ」
俺が姫で友はアリアなのか。
「まさかガーヴィに勝つとは……、正直負けを覚悟していた」
ミツハは悔しそうに言う。
「マリーちゃん凄かったんですよ!急に大きくなって、ガーヴィを倒しちゃったんです!」
「マリーが大きく?どういうこと?」
アリアの説明にミツハが混乱している。
面白いのでアリアの説明を補足するのはやめておこう。
「そういえば二人はダンジョンを攻略したんだろう?」
「ああ」
「はい!」
「そうか……なら新しい街に行けるんだな」
ミツハが考え込む。
「どうしたんだ?珍しく考え込んで?」
「僕が考え込むのは珍しいことじゃないよ。常に物事を考えながら世の中を生きてるからね」
そうだったのか。そんな風には見えなかったので知らなかった。
「なら何を考えてるんだ?」
「ああ、新しい街にいつ行こうかと思ってね」
「そんなの」
今から行こうと言いかけたが、倒されてしまったエリーが復活してからにしたい。
「今日はみんな疲れただろ?明日新しい街に行くというのはどうだろうか?」
俺がそう言おうとするとミツハの思いもよらない提案に、喉まで出かかっていた言葉を止める。
「私は賛成です。今日はいろいろありましたからね」
「俺もそれで良いな」
「なら明日のお昼の一時から次街に行って、街を探索するという予定でどうかな?」
明日の予定を思い出すが、これと言って何もない。
「良いんじゃないか?」
「はい!明日楽しみです!」
「それじゃあ、今日は解散して。明日のお昼の一時にマリーのマイルームに集合だ」
なぜ俺のマイルームに集合なのかはあえて聞かず、解散となった。
二人が居なくなり時刻を確認すると晩御飯前だったので、俺もログアウトすることした。




