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第62話『決着とダンジョン』

「勝った……!私の勝ちだ!」


 俺が爆発で負けたと思って、喜んでいるガーヴィに近づいていく。


「なにがそんなに嬉しいんだ?」

「な、なんで?!」


 俺に気づいたガーヴィが驚く。


「ありえない!あの爆発から逃れるわけがない!一瞬でこのフィールド一帯が爆風に包まれたのよ?!」

「ふっ、何もおかしなことはない。一瞬で移動したのさ」

「どうやって?!どうやってよ?!」

「教えるかよ。一生悩んでろ。『エネルギー!!」


 手にエネルギーを集約させていく。


「そ、そんな……!!」

「弾!!』」


 青色の光る球体が手から飛び出すと、ガーヴィの胸部に当たる。


「ち、ちくしょおっ!次こそは……!!!」


 そう言い残すと、パリーンと砕け散った。


「次こそはか……」


【プレイヤー《ガーヴィ》の持ち物を獲得しました】


 メニューが表示され、本当に決着がついたことにことに心の底から安堵する。

 場所がダンジョン前に戻っていた。

 あの戦うフィールドと言うものは、どこか息が苦しくて嫌だったので空気が美味しく感じる。


「マリーちゃん」


 勝ったというのに元気のないアリアが話しかけてくる。


「私がもっと早くユニークスキルを使っていたら、エリーちゃんもミツハちゃんも倒されなかったのに」


 倒されて消えてしまったエリーたちのことを憂いていたようようだ。


「勝てたんだから、気にすんなって」

「はい……」

「もしも負けてたら、ミツハとエリーと三人で噴水広場で袋叩きにしてたけどな」

「ええぇ!ひどい!」


 アリアが本気で驚いている。

 こういう冗談はエリーだけにした方が良いかもしれないな。


「っていうのは冗談で。結果オーライだよ」


 笑顔でアリアの頭を撫でてやる。


「マリーちゃん、私と同い年に見えるのに年上のお姉さんみたい」

「そうか?」


 実際に倍とは言わないが、5つくらいは年上だ。


「それよりどうしますか?」

「どうしますか?ってなにがだ?」

「ダンジョン攻略です」


 アリアが俺の後ろのダンジョンを指差す。


「そうだな……」


 またここまで来るの面倒だ、それにミツハに付いてきてもらうのも悪い気がする。


「ダンジョン攻略するか。またミツハにここまで来てもらうのも悪いし」

「私もそれが良いと思います」

「なら入るか」


 ダンジョンへと歩きだす。

 歩きながらエリーが召喚できないかと試したが、やはり倒されて直ぐは無理だった。


「ミツハちゃんからメッセージが来ました!」


 俺がエリーを召喚しようとしている時、アリアはミツハにダンジョンへ入ることを伝えてくれていたようだ。


「ミツハは何って?」

「二人とも気をつけて行け!我が友たちよ!初級ダンジョンだから真っ直ぐに歩いて行けば目的のボス部屋まで着くはずだ!二人の健闘を遠い異国の街で闇の女神に祈っていよう!」


 アリアがまるでミツハのように、抑揚をつけて読み上げてくれる。


「なんだよ闇の女神って。絶対に邪教だろ」

「それじゃあ行きましょうか」

「さっきから気になってたけど、敬語になってるぞ。敬語は無しって約束だろ」

「あっ……ごめんね。敬語の方が話しやすくて……」


 敬語の方が話しやすいって、初っ端からタメ口だったカレンが聞いたら何て言うんだろうか。


「まあ、無理強いはしないけどさ。敬語が良いならそのままでも良いけど」

「ありがとうございます」


 森のダンジョンの入り口の前に立つとメッセージウインドウが表示された。


『シングルモードでよろしいですか?』


 と目の前に文字が表示される。


「えーっと二人だからシングルじゃないよな?」

「下に行けばマルチモードがあるはずですよ」

「なるほど」


 ウインドウを下に移動させて、マルチモードに選択する。

 ダンジョンに入ると松明のおかげで、それほど暗くはなかった。


「マリーちゃん、何だかジメジメした場所だね。何か出てくるかもしれないから気をつけよう」

「そうだな、気を引き締めて進もう」


 歩いて3分程すると、大きな扉が目の前に現れた。


「ミツハが言ってたボス部屋ってやつか」

「そうみたいですね」

「正直さ、そこまで緊張してないんだよな」

「どうしてですか?」

「超身体強化があるせいで、どんな敵にも負けないだろうからさ」


 あれほどの強化スキルを使えば簡単に勝ててしないそうだ。

 初級のダンジョンのボスというなら尚更そんなことを思ってしまう。


「ここは俺が軽く倒すからアリアは見てるだけで良いぞ」

「待ってください!私も戦いますよ!それにそんなことを思うくらいなら超身体強化のスキルを使わないってルールをにすればどうでしょうか?」


 アリアの言うことには一理ある。

 このスキルのせいでアドワが楽しめなくなってしまうのは嫌だ。


「そうだな。ルールを作るよ。今だけじゃない、今後は強い敵にしか超身体強化は使わない。だから今回のボス戦はアリアとナイトと一緒に頑張ってみる」

「はい!そうした方がいいですよ!」


 アリアに頷くと、扉に手を当てる。


「行くぞ!」


 扉を開けると4本の柱があるだけの広く殺風景な部屋だった。

 部屋に入ると勢いよく扉が閉まる。

 奥には大きな椅子に座る、緑色の肌をした筋骨隆々の鬼がいた。


「マリーちゃん、あれはハイオークですよ」

「ハイオーク?」


 言われてみれば、普通のオークよりも体もデカくて強そうだ。

 俺たちに気づいたハイオークはギロリと睨み立ち上がる。大きさ3〜4メートル程はあるハイオークの頭上にHPバーが出現する。

 ハイオークは足元に置いてあった木で作られた大きな棍棒を持ち上げる。


「気付かれました!」

「ウオオオオオオオオ!!!!」

「おし、やるか!『召喚!』戻ってきたナイト!」


 地面に召喚陣が描かれると、ナイトが召喚された。


「かっこいい!狼ですか?!」

「ナイトウルフのナイトだ。ナイト!ハイオークの攻撃を避けながら攻撃だ!俺とアリアは援護だ!」

「ワウ!!」

「はい!」


 作戦を言い終えるとナイトがハイオークに向かって駆けて行く。それに続いて俺も走る。


「ウオオオオオオオ!!」


 ハイオークは棍棒を横に振り攻撃するが、それをナイトはジャンプして避ける。

 あんな大きな棍棒に1撃でも当たれば大ダメージで間違いなくゲームオーバだ。


「ナイト!やっぱり攻撃はしなくていい!アビリティの壁を作って自分を守りながらハイオークの気を引いてくれ!その隙に俺が攻撃する!」

「ワウ!!」


 作戦通りにナイトがHPを消費して生み出せる闇属性の壁を作り、ハイオークの攻撃を受け止めながら気を引いてくれる。

 その間に格闘家のスキル【正拳突き】を当てる。だが5発当ててもハイオークのHPバーは10分の1ほどしか削れていなかった。


「くっ……!!」


 痛感させられる。今まで合成した装備に甘えていた結果がこのザマだ。

 もっと格闘家を強化しておけば良かったと後悔する。

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