第一章[はろーにゅーわーるど]4
召喚の陣といっていた赤色のサークルによっておそらく本格的に異世界に転移させられたことに関して精々目を開けるとそこは知らない場所だった、程度のありきたりな感想しか出てきておらず、さてあの二人と再会して一緒にいることを喜ぼうと考えていた矢先に重大な違和感を覚えた。
『なぜ木が生い茂っている森に近い草原にいるのか?』
『なぜ転移した先に俺のように転移させられたような人たちがいないのか?』
そして、特に気にするべきなのは
『なぜ俺は“大男数人と少女一人が向かい合っているような場所の真ん中に立っている"ような場所にいるのか?』
想定を超えた状況に混乱していた。
「なんだぁ?てめぇ。関係ねぇガキはとっととすっこんでろ。」
「…はぁ、すみません。今何が起きてるんです?」
大男の中でも特に屈強である男が苛立った様子を隠さずに言うが混乱している中で若干腑抜けたような声でも答えただけでもいいと思ってほしい。
「おいお前!この方がどなたか知らねーのか!あのデュロイ様だぞ!」
「ここの近辺に住んでいるなら聞いたことあるよなぁ!?」
「“夜明けの群狼”を知らねぇわけネぇよなあ!??」
なんて後ろからヤジのような声が聞こえてきたが、全然聞いたことがないから反応しようにもない。
「…おいうるせぇぞ!てめぇらいつまでピーチク言ってやがる!!」
ついに痺れを切らしたのかその集団のボスのデュロイであろう大男がキレたがその対象はどうやら後ろに対してのようで振り返って男たちに対して怒っていた。
…今のうちに逃げよう。そう思い、森の方へと逃げていった。
「ふぇ?」
意識を放心してボーっとしていた少女を掴んで。
掴むときに少女の腕が思っていたよりも細く、また抱えたまま走る分には問題がないような軽さなのも手伝って男たちが気づいたころに森の中へと逃げ込めた。