表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/12

本条紗那編 想いはずっと胸元にあるから

紗那編はこれで終わります。

読んでくれた方ありがとうございました。

「紗那さん。紗那さん。大丈夫ですか?」


 気が付けば私は空を浮いていた。地面からどれくらい離れているのかは分からないけれど、飛行機が飛んでいるより上の空に私は浮いていた。下を見るとたくさんの街並みが見えて、人々の命の輝きや動植物の輝きを不思議と感じる。


「ミーシャさん。私戻って来たんですね」


 目の前には赤黒いドレスではなく、純白のドレスを身にまとった死神のミーシャさんがいた。手に(たずさ)えていた鎌もどことなく、綺麗な銀色に染まっている。


「お帰りなさい、紗那さん。いかがでしたか?」


 まるでありふれた少女が不安げに、心配そうに私の瞳を覗き込んでくる。


「悲しくないなんて言うと嘘だけど……。でも最後に皆の顔を見て触れて喋って。私はとても幸せな人生を過ごしていたんだなって。居なくなるのは怖いけど、それでも伝えたいことは伝えれたと思います。ただみんなが私の死をきちんと受け入れてくれるか、不安はありますが」


 こればかりは一抹の不安が残ってしまう。逆の立場ならどう思うのだろう。やっぱり塞ぎ込んでしまうと思う。


「その気持ちはご察しします。後は願うばかりしか、いえ天使様がどうにかすると思います。おや、紗那さんそれは?」


 ミーシャさんが私の胸元をを指差した。そこにはおばあちゃんがくれたロケットペンダントが私の首に掛っていた。どうしてこれが……?


「このペンダント。おばあちゃんが私にプレゼントしてくれたんです。でもどうしてあるんでしょう?」


 私は首を(かし)げた。理由は分からないけど、ロケット部分を開けると、写真がしっかりと存在していた。家族が全員揃った写真。


「なるほど。強い想いが詰まった品なのですね。だから紗那さんと一緒にあるのでしょう。そうですね、これは私からのはなむけです」


 ミーシャさんが鎌を一振りした。私は身構えたが、特に異変が起きた様子はない。


「えっと、ミーシャさん?」

「そのロケットペンダントをもう一度中を確認して頂けますか?」


 言われて中を確認した。すると写真の中には居なかった人物が自然な感じで増えていた。隼人だ。隼人が写真の中にさりげなくいる。どことなく恥ずかしそうに笑っている。


「隼人がいる。これって」

「はい。勝手ながら紗那さんの想い人を入れさせて頂きました。迷惑でしたか?」

「まさか! ありがとう、ミーシャさん!」


 私は思わず彼女に抱き付いてしまった。この死神はどこまでも優しい。そんな心遣いが私の心を満たしていく。死神なのか、天使なのかもう分からないくらいに私は彼女が好きになってしまう。ミーシャさんがゆっくりと私を離す。


「紗那さん。そろそろ時間です。貴女にはこの先また新しい人生が待っています。でも怖がらないでほしい。運命の女神は紗那さんを祝福をするでしょうから」


 彼女は微笑みながら私の手をそっと掴んだ。


「私ミーシャさんじゃなかったら、もっと後悔して何も出来なかったと思う。だから本当にありがとうございます。色々あったけど私は幸せでした」


 私は今なら素直に笑えることが出来る。きっとこの死神のおかげで。


「それでは紗那さん。行きましょう」


 私はミーシャさんに掴まって、ふわふわと天高く飛び出した。誰かが私を呼んでいるのを感じて顔を上げると、柔らかな光が空を照らしている。そこへ向かって私と彼女は行ったのだった。

次章は今井隼人編となります。


まだ書き終わっておらず、投稿が遅れるのですみませんがよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ