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始まりの始まり
いよいよこの時が来た。少女は、家においてある固定電話の前へと向かう。この時のために準備はしてきた。練習をし、髪もきれいにセットし、・・・ある約束も守ると決めていた。
「よし、かけてみますか。」
少女は自分の電話へと手をのばす。頭の中にうかぶ電話番号。そこへかけることで少女の全てが始まるのだ。なぜなら、そのために頑張ったのだから。そのためにおしゃれというものをしてみたのだから。
窓の外では、いつもと同じ日常が流れている。子供は学校へ、大人は会社へと向かい、日常を過ごしている。
少女の日常もいつもと同じく始まろうとしている。一本の電話をかけることで。
「もしもし?私は・・・。」




