不正でポイント稼ぎをしたら恐ろしい目に遭う件について
「そこの貴様。『小説家になろう』に登録したのかね?」
「はい。面白い小説を書いて、多くの人に読んでもらいたいです」
「それは難しいぞ」
「どうして、ですか? これまで、たくさんの小説を読んできました。小説の書き方に関する書籍も充分に読んできました。毎日、一生懸命に書いていきます。批判があれば、素直に改めていきますよ」
「その批判を受けることすら難しいのだ。このサイトは数十万人もの人間が登録している。それが毎日のように作品を投稿しているのだ。作品数は膨大に増えて、少しでも古いのは流されていくばかり。読んでもらうのも至難の業というもの。どんな傑作も読まなければ、批評さえも得られまい」
「それは、きついですね」
「投稿する時間帯を調整する。タイトルやあらすじを工夫する。小説の書き方講座を勉強する。PVを増やす方法は色々とある。それよりも確実なやり方を知っている。教えてほしいか?」
「そんな方法があるのですか?」
「仲間を募ってグループを結成する。仲間同士でブックマークをしあい、互いに高評価を押していくのだ」
「それって不正ですよね?」
「そうもしなければ、読者の目にも触れられまい。たとえ実力があっても、努力をしても無駄になる。サクラを使ってこそ、初めて実力勝負ができるのだ。努力を活かすための不正というものだ。書籍化すらも夢ではない。さぁ、わしと組んで、君の頑張りを実らせるのだ」
「正直を言えば、その提案には魅せられました。でも、断ります」
「ふん。勝手にするがいい。後悔するぞ!」
私は誘いに乗らなかった。正々堂々と勝負がしたい。地道な努力で頑張っていきたい。そんな綺麗な理由ではない。ばれた時に起こる災難が怖かったからだ。
彼はチームメイトを利用して、評価ポイントを荒稼ぎしていった。しかし、彼らは内部告発に遭ってしまった。まとめサイトに取り上げられて、なろう住人でない者達からも嘲笑される。誘いに乗ってしまえば、私のHNも不名誉に流出したであろう。小心者な私には耐えられない事態となったであろう。
書籍化を果たした作品もあるが、AMAZONで酷評を受けている場合もある。なろうでの小説感想欄を見れば、その人は罵倒を叩きつけられている。私であれば、泣きながら退場するレベルだ。
よくよく考えてみれば、書籍化を狙っていない趣味者は、そこまでする意味も無いけどね。
楽をして昇っていくのも魅力的だろう。
才能皆無であっても、毎日少しずつ1つだけ足していく。ホリエモンの本に影響されての言葉であるが。自分の作品も、少しは磨かれていくかもしれない。