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嘘と本音  作者: ハヤブサ
3/3

おしまい

目が覚めると、そこには知らない天井が広がっていた。

体は痛みこそないが、動かない。

見ると点滴やらチューブやらが至る所に付けられている。

どうやらここはどこかの病院のようだ。


「目、覚めた?」

聞き覚えのある声に、首だけ動かして振り向いた。

そこには椅子に腰かける母と父がいた。

母は優しく微笑みかけ、父は眉間に皺が激しく寄っている。


「・・・父さん、母さんも」

「・・・この馬鹿、いったい何やってるんだ」

父はそれだけ言うと、背を向けて窓の方へ視線を投げた。肩が小刻みに上下しているようだ。

「お母さんたち、本当に心配したのよ?急に寮を抜け出して、1週間も行方不明だと思ったら、今度は警察から連絡が来てね。」

どうやら自分はあの車の中にいた子どもを助けてから、意識不明だったらしい。

ではあの暗闇の中での生活は夢だったんだろうか。

それから面会時間は少なかったこともあり、あまり両親とは話せなかった。

それでもこれだけは言えた。

自分が寮でいじめにあっていること。

そして柔道をすることに限界を感じていること。

生活を変えたくて寮を抜け出したこと。


自分の言いたいことを言い、それが伝えることができた安心感から、私はまた眠りに落ちた。


目をつぶるとそこは暗闇。

あの生きてるんだか死んでるんだか分からない空間で聞いた声が、また話しかけてきた。


(無事に戻れたようじゃないか、よかったのう)

(ありがとうございます。道しるべから外れた時はどうなるかと思いましたよ)

(ほっほっほ、それはお主の運が強かったのう。でなければ地獄行きもあり得た)


その気楽な言いように、私は思わず夢の中で笑う。

(しかしどうだ、自分の心に嘘をつかず、言いたいことを言うのは。たまには悪くないじゃろう)

「・・・そうですね」


自分の出した声に驚いて、私は目が覚めた。

そこにはあの老人などおらず、代わりに3人の男女が立っていた。

「お兄ちゃん、あたしのことわかる?」

元気いっぱいな声で尋ねてくる子は、あの日車に残されていた子だった。

「うん、わかるよ」

「お兄ちゃん、あたしのことたすけてくれてありがとう!」

そう女の子が言うと、後ろに立っていたご両親も口々にお礼を言い、頭を下げた。

「お兄ちゃんこそ、ありがとうなんだよ」

きょとんとする三人に私は言った。


「やり直させてくれて、本当にありがとう」


もっと本当は異世界に旅立って、イベントが起きるとか書きたかったのですが、力なくこんな終わり方になりました。

嘘をもっと深く印象的に書いて、物語を展開させてみたかったです。

やれないことだらけの1作目でした。

ここまで読んでくださってくれた方、ありがとうございました。

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