*31*
腕の中の体が一度だけ大きく揺れ動いた。だがそれっきり何の反応もない。てっきり騒ぎ出すんじゃないかとも思ったが、もう少しなんか反応してもいいんじゃないだろうか。まぁ、リンゴのように真っ赤に染まった顔になっているのはわかるが。
なんて思ってたら、いきなり顔が上がった。やっぱり整った顔をしているな。何人も男が寄ってくるのも頷ける。するとまたその顔が見えなくなる。何でうつむいたりを繰り返すんだ。
「何がしたいんだ?」
「ぅ……いや……だって、前って……僕が……告白した時?」
「それよりも前、小学生のころから」
「覚えてない……けど……好き……なんだよね?」
「信じられるまで何回でも言うか?」
「っ!!いいっ。もう……わかった……」
リンゴのような、というのは撤回しよう。ゆでダコのように湯気を上げ真っ赤に顔を染めた。さんざん人に好きだなんだいってきて、いざ答えたらこれだ。
「軽い男だと幻滅するなら今のうちだぞ」
「しないっ!!良こそ……後悔しても遅いよ?」
「むしろ、今まさに後悔真っ盛りだ」
「え……」
今度はまっさおだな。見ていて飽きないが、いったいどんな体構造なんだ。そこまで人間色が変わるものなのか?俺はならないからわからないが……。
「もっと早く気付かなかった俺自身に後悔してる」
「っ!も……びっくりさせないでよっ!!」
好きって言ったこと後悔してると思った。なんて小さな声でつぶやいたのがおかしくて笑ったら、途端に口をとがらせて怒り始めた。喜怒哀楽は激しいのは初めて知った。
「そろそろ忘れ物取って帰ってくるだろう。それもったら帰るぞ」
「そういえば……洋子さん遅い」
あの人空気読めすぎだろ。逆に怖いわ。
*** *** ***
さわやかな笑顔の家政婦に見送られ、忘れ物を持った澪と並んで学園まで帰る。
「あの……さ、一個聞いてもいい?」
「何を?」
「今まで、名前呼んでくれなかったのって……やっぱレイと……」
「まぁ、澪と口にするだけで、あの人がいないと思い知らされるようで避けてたのはある」
「もう、いいの?」
「呼ばれたくないなら呼ばない」
「やだっ。……名前がいい……。僕は……良でいい?」
「好きなように」
「ん……」
名前を呼ばれるのがそんなにうれしいんだろうか。そんなにも笑顔になれるものなのか。
「良は、大学行くんだよね。どこの?」
「国立大ですが?」
「え、あそこ!?うは……やっぱ頭いいとこ行く……。今から勉強しなきゃダメかな……」
「まさかくる気ですか?」
「うん……。良が卒業するまでに、両想いになれなかったら違う大学行こうと思ってたんだ。だから今まで聞かなかった。けど、その……なれたから……ダメかな?」
「動機が不純だけど、頑張ってみたら」
「うん」
あぁ、いつの間にか他人との壁にしてた敬語すら外れた。家族と忍達、それとレイには敬語を使ってない。一応これが素だし。素をさらけ出せるほど、俺も気を許したってことなんだろう。
単純……だな。
「あ、外出届け出してないや」
「……罰則頑張れ」
「良……」
「俺は何も悪くないからな。精々こってりねちねち怒られろ」
「やだぁ!!口悪いのなら良のほうがまだましなのに!!」
「……なんか言いましたか?」
「はぅっ!!目が笑ってない。……なんでもない(良のけち)」
「けち?」
「ひょあ!?何で聞こえ……言ってない!なんも言ってないもん!!」
そろそろやめないと、あとが怖いな。まぁ程々のところで介入するか。
やっと両想いになってこれからですね。
さっそく澪は良介にいじられまくってますが
(それは前もそうだったような?)
ところで、どうしようと考えてるのはやっぱり
R-15です。
暴力的な奴じゃなくて性描写的な方向で何です。
この話、エロくなるかなって思ってたんですが、今まだそんなことはなく。
このままじゃこの作品からもタグを外すことに……
いや、別によくねって感じですけど……
どうしようかな。
ちょっと考えてみます。




