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我ながらどうかしていると思う。だが、もし仮に今考え付いた結論が正しいものだったら。俺はどうする?
「どうするって……馬鹿か俺は……」
大体、この結論だって何の確証もない。ただの偶然が重なっただけかもしれない。事故に会ったことのある人間は少なくない世の中だ。誰の周りにだって2・3人くらいいるだろう。だがしかし――――。
『りょう、何して遊ぶ?』
『良……』
思い浮かんだ二つの顔。似ているといえば、似ているのかもしれない外見。内面はまるっきり違うのだが、それが事故の影響でとかならうなづけてしまう。ただ自分に都合のいいように解釈しているだけかもしれないが……。
結局その次の日は、事の真相を聞くことはできなかった。何せ俺も珍しく動揺していたからだった。それから何かと仕事に追われ、聞く機会を逃してしまっている。だが、彼に聞いてわかるだろうか。
もし仮に檜山澪=レイだったとしたら、普通もっと早く自分のことを話し、俺が“りょう”だと確認するのではないのか?それがなかった今、彼は昔のことを覚えてないということになるんじゃないのか。だとしたら彼に聞いても意味がないのでは……。
「つっても、俺の家にレイを知ってる人間はいないし……かといって調べさせるのも嫌だし……」
俺らしくない。こんなにも気になって仕事に手がつかないなんて……。もうすぐ卒業だ。生徒会引き継ぎで俺の後任である夕貴に副会長の仕事を引き継ぐべく、まとめられるものはまとめようとしている忙しい時期だ。でも、気になって仕方がない。
「良介、頼まれてた書類アップ終わったから持ってきた」
「清桜!!」
「は、はい?」
いてもたってもいられるか。俺は即行動するタイプだ。気になるなら自分で確かめに行けばいい。
「しばらく外出しますので、あとはお願いします」
「え、行ってらっしゃい?」
ちょうどいいタイミングでやってきた清桜は、何の事だか見当もつかないようだ。目を開きつつ俺をすんなり通す。職員室に行って外出届を提出し、俺は一度家に帰った。
「忍はいる!?」
「若!?なぜこのような時間に?まだ学園では?それに帰ってくる予定は……」
「檜山という家を調べてほしい。住所と連絡先!!急ぎで!!」
「はい、只今」
俺の何かを感じ取ったのか忍はすぐに奥へと戻った。此処まで走ってきて、冬だというのに軽く汗ばむ。お茶を一杯飲んでいると忍が一枚のメモを持って戻ってきた。そこには確かに住所と電話番号。お礼を言ってそれを受け取ると携帯を取り出してまずは電話をかける。
電話に出たのは家政婦らしい。俺は自分のことを軽く説明すると電話の向こうの家政婦はなぜかい気を飲んでいた。
「あの……」
『ぜひ一度、直接お会いしてお話したいのですが、お時間はよろしいでしょうか』
「え、あ……では今からお伺いしても?」
『お待ちしております』
電話を切り俺はしばらく液晶画面を見つめた。思わぬ誘い。なぜかはわからないが、もしかしたら俺の知りたい話が聞けるのかもしれない。俺は家を出て、檜山邸へと向かった。




