*25*
今回から良介視点になります。
たまに澪視点があるかもしれませんが……
−−−−翌日。目覚まし時計いらずの俺は、いつも決まった時間に目が覚める。どんなに遅くまで起きていようと、それは変わらない。まぁ最近あまり眠れていないのだが。自分が低血圧でなくて、よかったとは思う。洗面所に行き、冷水で顔を洗う。顔を拭き、眼鏡を手探りで見つけ、俺はとある部屋に向かった。
久々に実家に帰ってきたその原因がいる部屋に……。
「すぴ……くぅくぅ……すぴゅ……」
「……はぁ」
このマヌケ面で寝ている、可愛くない後輩である。俺の猫にすりより、丸くなっている貴方も猫らしい。が、猫のように甘やかすつもりはない。今日は学園に戻りたいのだ。あの会長が進路や家庭の事情で仕事ができないから、俺に全部回ってきてるんですよ。昨日だって仕事がようやくひと段落つきそうだと思ってた時に、忍から電話があったんですから。
俺は屈み込むと、ちょうど良い具合に開いた額にデコピンした。
「ひにゃぁぁぁぁぁ!!」
なんだその声は……。あと近所迷惑だ。
「おはようございます」
「頭っ!!痛いっ!!ぎゃっ!?良がなんで僕の部屋に!?夜ばい!?」
「誰の部屋でなんですって?」
もう一発デコピンしたのは、言うまでもない。しかし、こっちの指まで痛いとは、相当石頭なんだろう。
ようやく目が覚めた彼とともに、朝食をとる。家は祖父が和食が好きだから――――洋食はあまり好きじゃないらしい――――朝昼晩と和食になる。まぁ、味は保証できるからいいんだけども。
家は極道とは名ばかりの家だ。
昔々、江戸時代の頃はいろは48組のうちのとある一組だったらしい。いろは組というのはまぁ火消しの組の総称みたいなもので、め組が有名だろう。組を起こした家が家の先祖に当たるらしい。それがなぜ極道っぽいことになったかというと……。それは曽祖父のさらにその前からそうなってしまったらしいからわからない。でも、家は非合法なことは何もしてない。ただ、そういう関係は詳しいから、時々警察に目をつけられたりする。けど摘発とかされないのは麻薬取引とかの情報を極秘裏に警察に流してるからであるらしい。まぁ、それでよく抗争?とかに巻き込まれないなというと、それだけ極道界での地位と財があるから。まぁ、最近はそれでも平和になったといえばなった。喧嘩くらいはたまにあるけど。
「良、出し巻き食べないの?じゃ頂戴」
と言いながら取るんじゃ聞いてくる意味あるのか。
すっかりでこピンの痛みから回復したらしく、今は俺の隣でパクパク朝食に出された出し巻き卵を食べている。今日の朝食は忍が作ったんだろう。忍が作ると必ず出し巻き卵が出てくる。余談だが、俺に料理を教えてくれたのは忍だ。
「ごちそうさまでした。おやすみなさい」
「なんでそうなるんですか。ほら、行きますよ」
「どこに?」
「学園に帰るに決まってるでしょう。俺がごまかせるのも一晩が限界です。それとも、風紀委員長に罰則してほしいならどうぞ。2度寝でも3度寝でもしててください」
「ひどいっ」
俺はもともとそういう人間だ。貴方にも、忍だろうと……あの人以外には興味すら持てない。ただそこにいる人間。それだけ。
家を出る間際、黒ネコのレイを一撫でする。記憶の中にいる最愛の人。その人は本当に黒ネコのようだった。真っ黒な髪、少し吊り上って入るが、どことなく優しげな瞳。元気に遊びまわるその姿。それすらもう遠い記憶にすぎない。
「俺がいない間、家からあまり出ないように。それから……道路に飛び出さないように……」
あんなもの、もう2度とごめんだ。
昼近くになったというのに、また眠そうに眼をこする彼を引きずり、俺は仕事が山積みの学園へと戻った。
いろは48組はめ組が有名ですね。
でも本当はそのほかに47組もあるという……
調べたらでてきたので活用しました。あまり詳しくは無いのでつっこまないでください。
良介の両親は揃って他界してます。その原因もちらほらだそうと思います。
あと今回から章の数字が漢数字から……あれは何数字ですか?
まぁ、とにかく変わってますが、あえてなので間違ってはないです。




