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*23*


 別に僕帰れるなら帰りたかったんだけど。何故泊る方向で話が進んでくんだろう。まぁ、忍さんとか、良のおじいさんとかに半強制的にお風呂を進められ、断ることもできずに入っちゃったけどさ。すごいよ。ヒノキのお風呂だったよ。しかもこの家、地味に広い。中庭っぽい奴もあったし、洋館育ちの僕はなれないんだけどな。

 ゲームできないよ!!


「いや、まぁそれは嘆いても仕方がないよね。此処ゲーム機なんかなさそうだし……。むしろあった方がびっくりだよ。誰がやるんだって感じ……はははっ」


 え?無断外泊じゃないかって?良がいるから大丈夫じゃないの?じゃなきゃ無理にでも引っ張って帰っただろうし?良がどっか行っちゃったから聞きそびれたんだけどさ。これであなた一人罰則ですとか言われたら僕、良の事蹴ってもいいと思うんだ。後が怖いけどね。


「にゃーお」

「お前……」


 さっき起きた部屋に敷かれた布団の上でしばらくボケっとしてたら、どこからかあの黒ネコのレイが入ってきた。妙に懐かれちゃってる?胡坐をかいてすわり、手を広げて誘ってみると、レイはすんなり僕のひざの上に乗っかって丸くなった。人懐こいのかな。猫って警戒心強そうなイメージだったんだけど。きれいな黒い毛並み、茶色っぽい瞳。僕の腕に尻尾を巻きつけてきている。


「お前、レイって名前なんだよね」

「にゃ」

「そうだって言いたいの?うわ、さらさら……。僕も澪って言うんだよ。でも……同じ名前でも、お前のほうがうらやましいな」


 そのままレイをおなかの上に乗せて寝転がる。おなかの上で立ち上がったレイは器用に僕の顔のほうに近づいてくる。きれいな茶色い瞳で、僕を見つめてくる。僕を心配してくれてる?そんな表情のレイを僕は思わず抱き締めていた。小さいのに、すごく温かい。

 すると、控えめにだけどふすまをたたいた音がした。


「はい?」

「よかった、起きてらしたんですね」


 そういってはってきたのは忍さんだった。猫と一緒に寝転がっていた僕を見て、なぜかくすりと笑った。


「やはりここだったんですね。見かけないので探してみてもなかなか見つからなかったので、てっきり外にでも行ってしまったかと思ったんですが。そういえば檜山君に懐いてたのを思い出して見に来たんですが」

「探してたんですか」

「たまにふらりと外に出てって、一週間以上行方知れずなんてこともあったので。そうなると、若……良介君がひどく心配なさるんですよ」

「良が……」

「今夜の寝床はそこにするんですか?」

「にゃぁ」

「え?」

「すみませんが、こんばんは一緒に寝てあげていただけますか?」

「いいんですか?良がいるんだから……」

「えぇ。良介君がいるときは、必ず彼と一緒なんですけど。今日は貴方がいいみたいですね」

「僕は別にいいけど……。やっぱりこのレイは良の猫なんだ……」

「拾われてきたんですよ」

「良が?」


 え、あの血も涙もないような良が?だってあの良だよ?これも仕事ですから、とかそんなことばっかり言う石頭の良だよ?それが猫拾ってきたの?なんかひどいいいようだけどさ。


「えぇ。驚かれてますね?俺らも驚きました。あの頃の良介君は、何にも関心がなく無表情無口。中学時代だったんですけどね、荒れに荒れまくって喧嘩に明け暮れてましたね」

「良が喧嘩?」

「想像できないでしょう?小学校、高学年くらいからでしたかね、どこか変わってしまったのは。それがこの猫を拾って高校に入ったら、また戻ったんですよ」

「レイ、お前すごいな」

「にぁ?」


 でも、中学時代なんでそんなになってたんだろう。何かあったんだろうけど……それは知らない方がいいんだろうか。黒歴史って奴かも知んないし。それ知ったらそれこそ殺されそう……。

 中学時代か……。僕ってどんな中学生だったんだろ。あまり言ったことないけど、僕には中学2年くらいから前の記憶がないんだよね。

設定をうまく紛れさせられないです。

うまく伏線入れられる人がうらやましいです。


【夕焼け〜】と【和洋】と【貴方〜】はとある共通点があるんです。

人間関係の面で、それぞれのカップル同士で……。


それがどういう共通点なのかってのも探りつつ、読んで見てください。


今後の予定としては

あと数話はこのまま澪視点、現在を舞台としてやってきます。

で、それから後は新しい章にして良介視点にしようと思います。


理由は、そのほうが今後の展開としては進めやすいからです。

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