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*22*

 なぜか、忍さんが座っていたところに良が座ってるんですが。つまりは僕の横。あまりそっちを気にしないように、膝の上の猫をなで続ける僕。ていうか、この猫レイって名前なのか。何で僕とおんなじ名前なんだろ。別に親近感わいたとかじゃないけどね。で、この状況はなんですか。


「なるほど、それで俺が呼ばれたんですね。というより、いくら俺でも、ここらの中高生の名前・顔何か把握してるわけないですよ」

「お前ならそのくらいわけないだろう?」

「うれしくありません。そして、何でここにこの人がいるんですか?」


 この人とは僕のことである。人を指さしちゃいけないんだぞ。


「それは俺達のせいですよ。巻き込んでしまいました」

「忍……はぁ……」


 ちょうどお茶を持ってきた忍さんが、良の問いかけに答える。うぉ、忍さんのこと呼び捨てだ。なに、どういう関係なの?というか、僕って蚊帳の外状態?猫のレイだけだよ、相手してくれてるの。焼き魚食べる?


「まぁ、あながち呼び寄せたのは間違ってないだろう?」

「突然呼び出されたんで、何事かと思いましたが……こんなこととは……。そこらにころがしておけば勝手に学園に帰ったでしょうに」


 むぅ、それはひどくない?ちょっと痛かったんだからね、それなりには。人が上から落ちてきてさ、上にのしかかられたんだぞ?一人で帰れません。実は肘とかすりむいてたんみたいなんだよね。さっき気付いた。忍さんが手当てしてくれてたみたいだけどね。あの人どこまでやってくれたんだろ。


「なんだ、良介。その子と知り合いだったのか?」

「まぁ、そんなとこですけどね」


 そんなとこってなんですか?なにそのしぶしぶみたいなの!

「……ていうか、じゃもしかして……」


 向かいに座ってお茶を啜ってるこの人は……。


「俺の祖父です」


 僕の聞こうとした事がわかったのか、良に遮るように言われた。成る程おじいさんか。ということは……。

 ある結論に至った僕は、再び視線を良のお祖父さんに向ける。別にどこにでもいそうな、和服の似合うお祖父さんだけど、この人の正体は恐ろしいものだということを僕は知ってしまっている。



 そっか、この人が良のお祖父さんなんだ。あの忍さんだってたぶん……。

 ここは僕にとって関係なかったはずの世界。その世界に近づいたのは僕。だけど、後悔してるかときかれたら答えはNOで。だってただ好きになった人がそうだっただけで、だからって諦めたりはしたくない。良がどんな家柄だろうと。なにもかわらない。僕の好きな人。って、わかってる。でも、こんな感じでこの世界にこんにちはするなんて、思ってはなかったかな。

 良の家がいわゆる極道の家で、良は直に組長の座を継ぐ7代目だと知ったのは去年だったんだよね。

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