予想外
「アンタって、そう言う人間だったの!?」
「え?え?」
困惑する田中と男
「その彼女さん、自分へのプレゼントを易々と渡されて…!可哀想じゃない!!」
「え、いや、コレは…」
「最っっ低!!」
パァ--ン!!
男の頬が彼女に強く叩かれる
「あ、あの!実は、コレは…」
「アンタもよ!人の物取り上げるなんて、どういう神経してるの!?」
「え…!?」
ゴッッ!!
田中の腹部に激しい蹴りが叩き込まれる
「おぐぅ…!!」
ドサッ…
その場に倒れ込む田中
「た、田中さん…!!」
物陰から出ようとする咲紀
(…いえ、ダメよ!私!!)
踏みとどまり、頭を抱える
(白馬の王子様が、こんなミスをするはずがないわ!!何か、続きが…)
「本当、最低よ!アンタ達!!」
その場を去る彼女
現在の幽霊バ-
「…まさかの展開だな」
「ああ、予想外だったよ…」
「で、どうなったんだ?」
「…どうなったか、って?」
「ああ、そう聞いてるんだ」
「…放置中」
「あ?」
「その状態から、変化無しなんだよ…」
「どうして!?」
「その後すぐに、俺の実体化が解けちゃって…、男に俺の姿は見えなくなっちまった」
「どうしたんだよ!?その後!!」
「咲紀ちゃんに「用事がある」って、幽霊界に帰ろうとしたら、コレを渡されて」
田中が携帯電話を取り出す
「お?携帯電話…」
「コレで「用事が終わったら、連絡して欲しい」って…」
「どうするんだよ?」
「…この際だから、もう一回、人間界に行く」
「あのカップルが気になるのか?」
「俺のせいで関係を悪化させたんだ!責任は取らなきゃな…」
「…解った!俺も協力してやる!!」
「ありがとうぉ-!佐藤!!」
「今の話、聞いてたら、放っとける気がしなくなったよ」
苦笑する佐藤
「当分暇だし、死ぬはずの人間を助けた友人を助けなけりゃいけないし」
「う…」
「まずは咲紀ちゃんに合流だな」
「その後、ゲ-ムセンタ-に行くんだろ?」
「俺も実体化しなきゃいけないし…、な」
「その後は?」
「お前が関係性を悪化させたカップルの仲直りをさせる!それで、あとは咲紀ちゃんをどうするか…、だ」
「ああ、そうだな」
「さて、行くか」
席を立つ佐藤
「はい、コレ」
佐藤が田中に紙を渡す
「…何コレ?」
「425レイ」
「はい?」
「いや、会計」
「俺が払うの?」
「最近、金欠で…」
「…はぁ、まぁ、相談にも乗って貰ったし」
紙を受け取る田中
「ありがと!」
「じゃ、行こうぜ!仲直りをさせに!!」
「おう!!」
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