ゲ-ムセンタ-
少し前の人間界
「…アナタ、誰?」
「え!?俺!?」
「アナタ以外に誰が居るのよ」
「俺はね…、えっと…」
言葉に詰まる田中
(どう誤魔化せば良いんだ!?「幽霊です」なんて、言えるわけもないし…)
「あ!思い出した!!」
ぽんと手を叩く女の子
「アナタ、私を駅のホ-ムで助けてくれた人でしょ?」
「え!?あ、いや…」
「そうでしょ?」
「…はい、そうです」
「やっぱり!って、事は…」
「?」
「白馬の王子様ね!!」
現在の幽霊バ-
「最近の子って、おとぎ話を信じてるんだな」
「良いじゃないか!夢があって」
「いや、何歳かは解らなかったんだけど…、たぶん高校生くらいかな」
「夢を見続ける女の子って良いな」
「お前、そう言うのタイプだっけ?」
「いや、年上でキツイのがタイプだな」
「…そうか」
「で、どうなったんだ?」
「それが…」
少し前の廃墟のビル
「私の人生も捨てた物じゃないわね!白馬の王子様に会えるなんて…」
「えっと…、あの…」
「何!?白馬の王子様!!」
「俺、白馬の王子様じゃ…」
「あ!ゴメンなさい!名前で呼んだ方が良いわね!!」
「え…」
「名前は!?」
「…田中です」
「田中さん!良い名前ね!!私は咲紀って言うの!!」
「「咲紀」…」
「さぁ!田中さん!行きましょ!!」
「え?何処に?」
「父の所!結婚の挨拶に!!」
「いやいや!結婚はしないから!!」
「え?どうして?」
「「どうして」って…、俺は君を助けただけだし…」
「それで、こんな所に連れてきたんでしょ?」
「まぁ、連れてきたけど…」
「で、したんでしょ?」
「何を?」
「決まってるでしょ?気絶した可愛い女の子にする事と言えば!!」
「わ-!ストップ!ストップ!!」
咲紀の言葉を遮る田中
「何?言葉にするの、恥ずかしい?」
「してないから!第一、俺は…」
「「第一」何?」
(幽霊…って、言わない方が良いな)
「その…、えっと…、覚悟できてないし、互いのこともよく知らないし…ね?」
「じゃぁ!知りましょ!!」
「え?」
現在の幽霊バ-
「で?どうしたんだ?」
「…ゲ-セン」
「はぁ?」
「ゲ-センに行くことになった」
「ゲ-ムセンタ-か?お前、他から姿が見えないんだろ?」
「ああ、見えない」
「そしたら、その咲紀ちゃんは1人で喋ってるようにしか見えないわけだ」
「そうなるな」
「変人か、病んでるようにしか見えないぞ」
「…いや、そう見えなかったよ」
「どうして?」
「実体化…したんだ、俺」
「マジで!?どうやってだ!?」
「ゲ-センって、電波が多いだろ?俺達、幽霊に有害な電波が俺の体に干渉して…」
「実体化した…、か?確かに、ポルタ-ガイストとか心霊写真とかの原因はそれだな…」
「そうだよ!つくづく不幸な幽霊だよ…、俺って」
「…お疲れ」
「その後は大変だった…」
少し前のゲ-ムセンタ-
「次!アレやりましょ!!」
「もう、数え切れないぐらいやったよ…」
ため息をつく田中
「大丈夫!私のお薦めだから!!」
「どんなの?」
咲紀が入ろうとしているゲ-ムは、ゾンビを倒すゲ-ムである
(こんなゲ-ムも有るのか)
「早く!やりましょ!!」
「あ、ああ…」
渋々、ゲ-ムに参加する田中
「それじゃ!やりましょ!!」
テェウン、テェウン…
「う゛う゛ああう゛ぁああ…」
迫った来るゾンビ達
(ん?幽霊界の西洋人に似てるな…)
「えい!えい!!」
ドン!ドン!!
「ぎぃやぁぁあああ…」
敵を銃で撃っていく咲紀
(西洋人------!!)
「何してるの!?早く、撃って!!」
「え!?え!?」
「早く!こうやるの!!」
田中の銃を掴む咲紀
「引き金を引いて!!」
「は、はい!!」
ドン!ドン!!
「ぎやぁあぁああああぁぁ…」
「その調子!!」
「え!?コレで良いの!?」
「うん!ばんばん撃っちゃって!!」
「西洋人を!?」
「何、言ってるの!?早く!撃って!!」
「う、うぉおおおお!!」
数分後…
「やった!ハイスコア!!」
「…」
押し黙る田中
現在の幽霊バ-
「あの時の罪悪感と恐怖心は忘れないよ…」
「お前も、苦労したんだな」
「あの後も恐ろしかった」
「何が?」
「「オバケ屋敷」って言うんだけど…」
「?」
「これは、俺が幽霊になってから、最も恐ろしい出来事だった…」
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