冥獄の門
冥獄の門
「ハジャ様から話は伺っている」
門番が退く
「大変危険な場所だ」
「解ってるっ、て」
「…ならば良い」
ガシャァン…
「扉を開けるだけで良いんだろ?」
「そうだ…、しかし」
ガチャン
「良し!完了!!」
問答無用で扉を開ける佐藤
「おい!!」
「ん?どうした」
「その扉の中には…」
ガゴォォォオン…
「キシャアアアアアア!!」
凄まじく獣のような叫び声を轟かせる黒い物が出てくる
「何だぁ…!?コレ!!」
「佐藤!!」
ドォン!!
佐藤を突き飛ばす田中
「うぉ!?」
バグゥン!!
佐藤の立っていた場所が無と化す
「コイツ…!?」
「闇だ」
「闇ぃ!?」
「お主達が相手に出来る物ではない」
「だったら!何で…」
「本来、獅師様…、いや閻魔様からは「説明を聞いて逃げ出すか逃げ出さないかを試せ」と言われていたのだ」
「だけど、俺対置は説明すら聞かずに開けてしまったと…」
「そう言う事だ」
「佐藤…」
「やっちまったなぁ…」
「キシャァアアア!!」
「とりあえず…、どうする?」
「約束は約束だ」
構える田中
「…幽霊程度が勝てる相手ではないぞ」
「解ってます」
「では…」
「だけど、俺はやる」
「…良いのか?」
「約束ですから」
「「約束」?」
「アイツ、人間界の女の子と約束したんですよ」
「何と?」
「「また会おう」と」
「…そうか」
「キシャァアアアア!!」
「むぅ!!」
ガァァァン!!
「キシャァ…」
「痛っ…!!」
田中の手から血がしたたり落ちる
「やはり無理だな…、格が違いすぎる」
構える門番
「後は任せろ」
「しかし…!!」
「行くぞ、田中」
「佐藤!!」
「無茶するなよ」
「…ッ!!」
「お前が、あの化け物に喰われちゃ元も子もない…、違うか?」
「…解った」
「後は任せましたよ!門番!!」
「ああ」
謁見の間
「…で、開けたのか」
「はい」
「約束は約束だな」
ポンッ
紙に判を押す閻魔
「特例、決定」
「随分、簡単ですね…」
「別に大したル-ルでもねぇし」
(幽霊界の最高権力者が何を言ってるんだ…)
「さて、ご苦労だったな」
「門は開けました」
「ああ、俺も記憶を消し終わった」
「…そうですか」
「じゃ、帰れ」
「幽霊界にですか?」
「それ以外に何処がある?」
「…解りました」
帰って行く2人
「元気出せって!田中!!」
「ああ…」
バタン…
静かに閉まる扉
「獅師様」
「何だ?仏龍」
「奴が冥獄から出ました」
「…そうか」
「計算通りで?」
「まぁな」
「…結局、奴を救うのも「思い」ですか」
「…数奇な運命だ」
「…そうですな」
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