女の子と幽霊
不定期更新です
「はぁ…」
幽霊バ-でため息をつく1人の幽霊、田中
「おいおい!どうしたんだ?」
「…おお、佐藤じゃないか」
「幽霊界で、かなりの実力を誇るお前が、バ-でため息なんて…、何かあったのか?」
「聞いてくれよ」
「おお!お前の愚痴ぐらい聞いてやるよ!そう言う仲じゃないか」
「俺、人間界に行ったんだ」
「恐怖心は狩れたか?」
「狩れたさ!十分にな…」
「で?何が有ったんだ?」
「魂を狩った後の話だ…」
少し前の人間界
ガタンガタン…
列車が行く駅のホ-ムに田中は居た
「いよぉ-し!今日は大量だ!!」
「帰って、宴会の準備でもしようかな…?」
ご機嫌の田中
「…母が家を出て、父はパチンコにキャバクラ漬け…、毎日のように借金取りから逃げ回る日々…」
「ん?女の子…だな」
「こんな命だもん、死んだって良いよね」
「何を言ってるんだ?」
「誰も…、悲しまないから」
線路に飛び込む女の子
「うぉおおい!?」
ガタンガタン!!
線路に落ちた女の子に向かって、列車が直進してくる
「…さよなら、私の人生」
目を瞑る女の子
「キャァァァァァ!!」
「おい!危ない!!」
悲鳴が響き渡るホ-ム
「待てぇえええええ!!」
女の子をすくい上げる田中
「おい!女の子が浮いたぞ!!」
「どうなってるの!?」
ホ-ムに居た人達がざわつき出す
「やっちまった…」
現在の幽霊バ-
「…お前、幽霊が人間を助けるのは幽霊憲法に違反するぞ」
「そうなんだよなぁ…、何で、助けちまったんだろ」
「ま、お前がその女の子を見捨てるようなら、俺は縁を切ってるぜ」
「お前って、粋な奴だなぁ…」
ため息をつく幽霊
「で、どうしたんだ?その後」
「助けた女の子を廃墟のビルまでは運んだ」
「人には見られてないだろうな?」
「勿論だ!だが、その後が問題だったんだよなぁ…」
少し前の廃墟のビル
「…ここは?」
目を覚ます女の子
(気が付いたみたいだな)
「私…、線路に飛び込んで…」
(じゃぁ、俺は帰るか…)
「ねぇ、ここは何処かしら?」
「!?」
幽霊を呼び止める女の子
「俺が見えてるのか?」
「何、言ってるの?よく見えてるわよ」
「うわ…、最悪だ」
現在の幽霊バ-
「人間は、精神が極限状態になると霊感が目覚めやすいからな」
「線路に飛び込んだとき、死を覚悟して精神が極限状態になったんだよ」
「…死ぬはずの魂が救われて、見えないはずの幽霊が見えたって事は、その女の子は、もう人間界には居られないぜ?どう対処したんだ?」
「…俺って、馬鹿だよなぁ」
「?」
「まぁ、ここからは俺の話を聞いてくれ」
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