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1 コンスタンス・コンプリス
かつて国があった。
長い歴史を持つ王国だったが不思議なことにその名は伝わっていない。
ただ伝わるのは王国最後の王がオーギュスト・ポタンスという名だったことだけだ。
人は言う。
王国の名はトルチュル——拷問に違いないと。
最後の王オーギュストが非業の死を迎えるまでにたどった苦難に満ちた生を慮った名だった。
その一端となったのはコンスタンス・コンプリスという名の貴族令嬢だった。
狂った愛の果てに破滅せざるを得なかった少女である。
あぁ、殿下は今日も麗しいです。
殿下――エクトル第二王子殿下は天が遣わした御使いのように麗しいのです。
ただ、そこにおられるだけで全ての人々を幸せにできる至高の人。
しかし、最近、殿下を悩ませる存在があります。
許せません。
身の程知らずの害虫です。
決して許してはなりません。
私はコンスタンス・コンプリス。
殿下には太陽のように憂いなく、微笑んでいただきたい。
だから、私は動きます。
私はコンスタンス。
殿下の憂いを払う者。




