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第2話「一粒万倍の代償」
異世界に来てしばらく。
彼は「一粒万倍」の力で順調に生き延びていた。
落穂を拾えば――
一晩で食糧庫が満たされる。
「これ…無限に増やせるんじゃないか?」
村人たちからも感謝され、
少しずつ**“救世主扱い”**され始める。
ある日、彼は調子に乗る。
「じゃあ…これ全部、万倍にしてみるか」
山のように集めた穂を前に、能力を発動。
――その瞬間
ドサッ
増えた。
だが、思ったほど増えていない。
初めての違和感
「……あれ?」
もう一度、試す。
結果は同じ。
・増える量がバラつく
・増えないものもある
さらに――
手のひらに、ヒビのような光が走る。
その夜。
彼は夢を見る。
そこに現れたのは、あの豊穣の女神。
「すべてを増やせると思ったか?」
「その力は、“命の巡り”に従うもの」
女神は告げる。
一粒万倍のルール:
自然に得たものしか増やせない
(盗んだもの・奪ったものは無効)
“意味のある一粒”のみ増える
(死んだ種・偽物は増えない)
欲望が強すぎると効果が落ちる
使いすぎると、体を蝕む
目が覚めると
彼の手は――
わずかに枯れていた。
「……これ、使いすぎたらヤバいやつじゃないか?」
それでも、彼は笑う。
「でもまぁ…やるしかないよな」
外では、飢えた子供たちが待っている。
彼は再び、落穂を拾う。




