おすしやさん
きょうはお父さんがおすし屋さんにつれていってくれた。
お母さんも妹もとっても楽しみにしてて、ぼくもその顔を見るだけでうれしい気持ちになった。
おすし屋さんに着くと人がすごくいっぱいならんでいたけど、お父さんがすぐに入れるよって言ってくれる。スマホでよやくをすれば、待たなくてもいいんだってお父さんがじまんしていた。
「よやくばんごう4ばんのおきゃくさま、12ばんテーブルへどうぞ」
お姉ちゃんの声が聞こえると、お父さんとお母さんが立ち上がってぼくの手と妹の手を握って、いすから立ち上がる。そうするとお店の中に入ってテーブルに向かって歩いて行く。
いつもぼくは分からなかった。なんで名前も呼ばれてないのにぼくたちだって分かるんだろうって。ぼくの名前はよんばんじゃないのにね。
お父さんとお母さんは頭が良いのかな?
そうだ、分からないって言えばいま思い出したんだけど、学校で友だちにおすしを食べに行ったんだって言ったら、どこでって言うから【オラずし】だよって言ったら変な事を言ってたんだ。
「かいてんずしかよだっせー!うちなんか目の前でつくってくれる人がいるおすし屋さんに行くんだぜー!」
「へえ、そんなおすし屋さんもあるんだ」
「なんだよお前、そんな事も知らないのかよ!」
ぼくは何がださいのか分からなかった。かいてんするおすしも、しないおすしも、同じおすしだよね?いっしょうけんめいに人が作ってくれたもので、ださいものは無いよね。
その事をお母さんに言ったら、ぼくと同じ事を言ってた。やっぱり友だちがおかしいんだ。
やっとテーブルに着くとぼくがかいてんするおすしの近くのせきにすわる。妹もぼくのしょうめんにすわる。ぼくの横にいたお父さんがタッチパネルにさわってると、妹の横にいたお母さんが温かいお湯でお茶を4人分作ってくれる。
ぼくと妹はかいてんするおすしが大好きだ。
ライトに当たってキラキラと光るお魚にお米、それが色々な形や色をしてて、ゆっくりながれる星のようですごくきれいなんだ。ほかにもケーキやおいも、チョコレートのケーキも流れてくる。
それをいつでもとって食べて良いなんて、すごくぜいたくだよね。
おじいちゃんの話だと、昔はかいてんするおすし屋さんが無かったんだって。しかもたかくてふつうの人は食べられないぜいたくひんだって言ってた。
だからおじいちゃんといっしょにくると、いつもやすくてありがたいって言ってる。そんなおじいちゃんにぼくはふつうの事だよっていつも教えてあげてるんだ。
そんな事を思い出してたらおなかがへってきた。ちょうどお父さんがたのんだおすしがきた。
「12ばんってかいてるお皿だけ取るんだよ、他のすうじはほかの人がたのんだものだから、さわらないようにね」
「うん、分かった!」
お父さんがそう言うと、ぼくは12ばんとかいたお皿だけを取って行く。でも、お父さんはなんでいつもそう言うのか分からなかった。自分のテーブルのばんごうと同じものを取るのは当たり前なのにね。
たのんだおすしをテーブルにならべると、お米の上にのった赤くてきれいなおさしみがキラキラしていた。
いつも【オラずし】にきたら初めにたのむマグロって言うお魚のおすしだ。
おしょうゆをお母さんが上から少しだけかけてくれる。これだけでマグロがすごくおいしくなるんだ。でも、お母さんはおしょうゆをぼくには使わせてくれない。
なんでって聞いたら、まだぼくが使うにはあぶないんだって、良く分からないけど、お母さんがそう言うならぼくはまだ使ったらダメなんだ。
わりばしで上手くおすしをつかむと口の中に入れる。やっぱりおいしい。
お父さんもお母さんも妹もぼくと同じ顔をしてる。やっぱりみんなもおいしいんだ。
ぼくはすぐに食べちゃったから、次にたのみたいものをお父さんにおねがいする。
「お父さん、つぎはサーモン、ハマチ、ハンバーグ、びんちょうマグロ食べたい!」
「サーモンにハマチ、ハンバーグとびんちょうマグロだね、1つづつみんなの分をたのむからまってね」
「はーい!」
ぼくのおねがいを聞いたお父さんがタッチパネルでサーモンの絵をタッチしてくれる。ピンク色をしててすごくおいしいんだ。思い出すだけでもおなかがへってくる。
楽しみに待ってると、後ろのお兄ちゃんたちがすごくうるさい。スマホを持って何かしゃしんをとってるみたい。
「それでは、しょうゆの一気飲み行きまーす!!ペロペロ……」
「うっわ!本当にやったよコイツ!マジでありえねー!!ぎゃはははは!!」
高校生くらいのお兄ちゃん達がしょうゆが入ったようきに口を付けてなめてた。
おしょうゆがほしいなら、おすしにかければいいのにね。ぼくは何をしてるのか分からなかった。お母さんに何をしてるのって聞いてみた。
「お母さん、あのお兄ちゃんは何をしてるの?」
「とっても悪い事よ、店員さんに言ったほうがいいわね……」
「そんなに悪い事なの?」
「おじいちゃんがお口にふくんだおしょうゆでおすしを食べたい?」
「やだ……」
「でしょう?」
お母さんの教え方はいつも分かりやすい。おじいちゃんのお口はくさいから、しょうゆがまずくなるってぼくだって分かる。それはとっても悪い事だよね。
そんな話をしていると体の大きな黒いメガネをかけた店員さんが4人出てきて、高校生のお兄ちゃん達をお店のおくにつれて行っちゃった。
何かドスッ!ガスッ!って音がすると、黒いメガネを外した体の大きな店員さんが出てきて、キラキラした笑顔で新しいおしょうゆを持ってきてこうかんしていた。
これでおじいちゃんの口にふくんだおしょうゆが、他の人の口に入ることはなくなったね。
安心していたらサーモンがくる音がタッチパネルからなる。楽しみにしていたピンク色にキラキラと光るサーモンが、ゆっくりと流れてくるのをぼくは遠くから見つめてた。
12ばんって書かれたお皿がぼく達のおすしだ。楽しみに待っていたら、その先のテーブルに居た高校生のお姉ちゃん達がおすしを指でさわってた。
「こいつマジでやべえって、店員とーったって!」
「ひゃははは!」
せっかく楽しみにしていたサーモンのおすしなのに、知らない高校生のお姉ちゃん達にさわられた。まちがってさわったのかな、でもわざわざふたをあけてたし、へんだよね。しかたなくぼくがお皿を取って、お父さんにさわられた事を言った。
「お父さん、サーモンをあそこのお姉ちゃんがさわってた!」
「本当かい?分かった。サーモンは食べないでそこに置いて、店員さんを呼ぼう」
「ねえ、さわるのって悪い事なの?」
「おじいちゃんがおしっこした後の手でさわったサーモンのおすし食べたい?」
「やだ……」
「だろう?」
お父さんの教え方はいつも分かりやすい。おじいちゃんのおしっこはくさいから、サーモンがまずくなるってぼくだって分かる。それはとっても悪い事だよね。
お父さんが店員さんを呼ぼうとすると、いつもの体の大きな黒いメガネをかけた店員さんが4人出てきて、高校生のお姉ちゃん達をお店のおくにつれて行っちゃった。
何か泣きじゃくる様な声がすると、黒いメガネを外した体の大きな店員さんが出てきて、キラキラした笑顔で新しいサーモンのおすし4人分と、チョコレートのケーキを4つ持ってきてくれた。
これでおじいちゃんのおしっこをした後の手でさわったサーモンが、ぼく達の口に入ることはなくなったね。
体の大きい店員さんがたのんでないチョコレートのケーキをくれた。なんかおわびって言ってたけど、お父さんとお母さんはそれをことわって、店員さんをはげましてた。
でも店員さんがどうしてもって言うから、チョコレートのケーキをもらうことにした。
ぼくはとってもうれしくて、おすしを食べ終わった後のデザートにする事に決めた。
その後にたのんだハマチもハンバーグもびんちょうマグロもとってもおいしかった。最後のチョコレートのケーキでぼくはもうおなかいっぱい。お父さんもお母さんも妹もまんぞくしていた。
お父さんとお母さんがようじでこれなかったおじいちゃんのおみやげに、おすしをたのんでパックに入れてる。
店員さんを呼んでおかいけいの紙をうけとると、お父さんとお母さんと妹といっしょにおかいけいのお姉ちゃんがいるところへ行く。
お母さんがおかいけいをしてるあいだ、ぼくはひまだったから近くにあったテレビを見ていた。
「ひんしつの良いネタにぃー!ぎょうかいあんしんかんナンバーワンをめざしてぇー!【オラァー!!ずし!!!】、みなみなさまがたのごらいてんをおまちしておりやす!!!」
テレビに出ていた人はみんなこわい顔をしていたけど、みんなすごく楽しそうでキラキラした笑顔だった。
【オラずし】またみんなで行きたいな。




