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10.生と死の狭間で

 


 先刻からぽつぽつと降り出した雨が、瞬く間に滝のようにフロントガラスを叩き始めた。



 「やはり傘を持たせれば良かったですね…」


 二人を降ろしてから近くの駐車場で待機していた堀越は、彼らを迎えに行くべきか逡巡していた。確か天気予報では、この後も暫く降る予報だ。


 二人が向かった所は狭い住宅街の中で、車で横付けするには道幅が狭く、路上駐車も憚られた。


 少し離れたコインパーキングで待機しながら、さてこちらから連絡してもいいものかと考えあぐねていると、後部座席のドアが勢いよく開き、ずぶ濡れになった主人がそのまま乗り込んできた。


 どうやら走って来たらしく、肩で息をしている己の主人の姿に、堀越は珍しいものを見たと密かに瞠目する。


 しかしすぐに彼が一人で帰ってきたことを不審に思った。


 「静野嬢はどうされました?」


 「ロストした。とりあえず例の部屋に向かってくれ」


 それだけ言うと彼は目を瞑り、深く後部座席のシートに凭れ、息を整えるように深呼吸している。


 「分かりました」


 主人の答えに戸惑いつつも、現在地からの最短距離を頭の中で叩き出す。堀越は低いエンジン音を響かせてゆっくりと車を発進させた。


 そのまま住宅地を抜けて大通りの方に向かう。狭い路地を何度か曲がって大通りへと抜ける頃には、雨脚は更に強まってきていた。


 沈黙に包まれた車内は、フロントガラスを叩く強い雨音だけが響いている。


 大通りはこの雨のせいか思いのほか混雑していた。中々進まない渋滞に焦れたような空気が後部座席の主人から伝わってくる。その様子から見ても、静野嬢に何かあったのは確実だった。


 (ロスト―――つまり見失ったということでしょうか)


 昨夜、静野嬢が逃げ出す算段をしていたという話は聞いていたが、それはあくまで自己防衛ための避難経路の確認だった。こちら側が危害を加えない限り、同居を了承した相手から逃げ出す可能性は低い。それに静野嬢に対してかなり紳士的に接していた主人は、静野嬢にとって好意的に映っているはずだった。そんな相手から逃げ出すことは考えにくい。


 (では、もう一つの可能性は…)


 彼女は今、とり憑いた霊によって操られた状態に置かれているということだ。


 そしてそれは彼女が命の危機に晒されているということと同義だということを堀越は聞いている。


 話によると既に何度か危険な目に遭っているらしい。それなら何としてでもいち早く彼女の居場所を突き止めるべきだろう。


 堀越が心の中で晶の無事を祈っていると、後部座席にいる主人の深い溜息が聞こえた。


 「…横山祥太はもうこの世にはいなかった。母親から話を聞いてきたが、3年前にすでに病気で亡くなっていた」


 バックミラー越しに見ると、窓の方を見て思案に耽る顔が見えたが、その表情はまだ固いままだ。


 「…そうでしたか。では例の小泉純子とほぼ同じ時期に亡くなっていたのですね。すると彼女は後追い自殺ということですか?」


 「いや、母親の話では、祥太の方は自分の病気のことを何も言わずに別れを切り出したらしい。だから、小泉純子はただ恋人が去ったことに悲嘆して自殺した可能性が高い。亡くなった時期が同じだったのは単に偶然のようだ」


 「それは…何ともやり切れない話ですね。まるで浄瑠璃の題材にでもなりそうな悲劇だ」


 お互いを思い合っていたのにすれ違ったまま、もはや永遠に離れてしまった二人。そのことを思うと、他人事ながらも胸が重くなる。


 「人は昔からそういう悲劇的な話が好きだよね。それにしても、結婚を約束した恋人と別れることになったからといって、自殺までするなんてね。理解に苦しむな」


 そう言った主人の声は同情も嘲笑も含まず、ただ本気で理解できないといった調子が窺える。堀越がひっそりとバックミラーを覗うと、主人のその瑠璃色の瞳は相変わらず何の感情も写していない。


 堀越は小さく溜息をついたが、それはフロントガラスを叩く雨音に消されて後部座席の主人までは聞こえなかったようだ。


 「ともかく、そんな話を母親から聞き出している途中で、静野さんが急に指輪のありかを気にし始めた。何が切っ掛けだったかは分からないが、元婚約者の母親のもとに指輪が無いとわかると、火が付いたようにその場から走り去ってしまった」


 「それで雨の中彼女を探し回られたのですね。…静野嬢は指輪の在処に心当たりがあったのでしょうか?」


 「それはわからないが、あの霊はやはり指輪に拘っているようだ。静野さんも夢で見たというから、よほど思い入れがあるんだろう。・・・もしかしたらその拘りさえ解いてやれば、案外簡単に霊を排除できるのかもしれないな」


 そう言うと彼は何かを思案するように、暫く黙り込んでしまった。


 こうなると指輪のありかが重要になってくる。その指輪のある場所に静野嬢がいる可能性が高い。


 「小泉純子の親族の手に渡った可能性はないのですか?」


 「その可能性はない。というか、彼女は天涯孤独の身だったらしい。横山祥太の母親に小泉純子の親族と連絡が取れるか聞いてみたが、彼女の両親は彼女が幼い頃に他界したと聞いていたそうだ」


 それを聞いて、堀越の心に重く苦いものが込み上げてきた。


 「…それでは、静野嬢と同じ境遇だったということですか」


 「ああ。偶然にも…ね」


 そう言った主人の声も、いつになく暗い響きを含んでいた。


 「もし仮に、小泉純子の霊が同じ境遇の静野さんにとり憑いたことが偶然だったとしても、境遇が似ているというだけでは、生きている人間に取り憑いて心まで操るなんてことは容易にはできないはずだ。しかし、あの憑依の様子から見ると、彼女と静野さんは境遇だけでなく、別のところでもシンクロする部分があったのかもしれない」


 そう言った主人の表情は先ほどよりも険しく、睨むように窓の外を見つめている。


 小泉純子とシンクロする部分。それを聞いて、堀越はあの時見た光景を思い出す。


 降り頻る雨の中、傘も差さずに一点を見つめて立ち尽くす彼女。


 あの時の彼女は、今にも向こう岸へと消えてしまいそうだった。


 初めに静野嬢に気を留めたのはその時の同乗者だったが、堀越は彼女を見た時、はじめは傍観しているつもりだったのだ。しかし、今にもあちら側に渡ってしまいそうな彼女の姿を見ているうちに、思わず傘を持って車を降りていた。


 今でもあの時の雨に濡れた彼女の後ろ姿を思い出すたび、心の奥がしんと冷える気がする。


 車内は再び沈黙に包まれた。


 もしかしたら、今この時にも静野嬢は憑依霊の力を借りてあちら側へ渡ろうとしているかもしれない。


 彼女が少しでもそう望めば、その願いはいとも容易く叶うだろう。そしてもし彼女が本気でそれを願うなら、他人がそのことにとやかく言う権利はないのだ。ましてや昨日今日出会ったばかりの他人である自分たちなどは以ての外。


 (しかし―――)


 堀越は遣る瀬なさと同時に、既にこの世にいない者にしか彼女の拠り所がないことに、得も言われぬ腹立たしさを感じた。


 誰でもいい。何でもいいから、あちら側へ行く彼女の手を掴んで留めてくれる存在が現れてくれれば。


 そう願わずにはいられなくて、堀越はバックミラーを覗く。


 彼の主人はその整った眉を寄せ、黙ったまま窓の外を見つめていた。




 ***



 何処へ行くのかも分からないまま、晶は夕闇の雨の中を闇雲に走り続け、気付けば辺りは見知らぬ街並みに変わっていた。


 人通りのない寂しい路地裏をふらふらと彷徨いながら、朦朧とする意識を何とか繋ぎ止める。


 雨足は弱まる気配もなく、容赦なく全身を打つ。全身ぐちょぐちょで、更には微かに悪寒も感じ始めた。


 もう走る気力は残っていなかったが、足は自分の意思に関係なく勝手に動き続け、立ち止まることも出来ない。


(私、どこに向かっているんだろう…)


 香月と訪ねた家で指輪の存在が気にかかり、何故だかいても立ってもいられなくなった。気が付いたら走り出していて、それから体力の限界まで走って何処かに向かっている。



 走っている間に、夢とも現実とも過去の出来事ともわからないようなものが何度も頭に過った。


 ある時は窓から日の光が差し込む部屋にいる場面。


 真新しい家具にクッション。二人でお揃いで買ったカップには、コーヒーが注がれていい香りが漂う。隣の部屋で彼が起きてくる様子が伝わり、ふと、満たされた心を感じて窓の外の空を見上げる。


 ――やっと、夢にまで見たものを手に入れた――



  またある時は葬儀の場面。


 薄暗い部屋に置かれた棺に横たわるのは、顔の判別もつかない遺体。事故で顔面が潰れて赤黒く腫れあがっていた。最後の父の姿なのだからと直視した後、晶は堪らずにその場で吐いた。


 そんな自分を晶は嫌悪し、それ以来ずっと自分自身を責め続けている。大好きだった父にちゃんとお別れもできずに送ってしまった。その罪悪感に晶は今もずっと苛まれ続けている。


 ――あの時ちゃんと向き合えていたら、今の自分はもっと前を向いていたのだろうか。



 次は雨が窓を叩く薄暗い部屋の中。


 一人でじっと雨の音を聞いている。部屋の中には他に誰もいない。写真立ての中で笑う自分を見て、溢れ出す感情を抑えきれずにその場に崩れる。


 目を伏せたその視線の先に、自分の指が映る。そこに嵌められた指輪。自分の大切なものがそこに詰まっているような気がして、自分を慰めるように、そっとその石を撫でる。


 そこでふと、どこかで同じようなものを見たような気がした。


 いつまでも眺めていられる、宝石のような煌めきは―――



 「香月さん…」


 朦朧とする意識の中で、晶はその名前を思い浮かべる。


 香月?…なぜこんな時に彼の名前を思い浮かべたのだろう。


 彼のことを思い出し、次に晶は彼と離れてしまったことを思い出した。


 突然走り出した晶を不審に思っただろうし、きっと困らせたに違いない。とんだパートナーだと思われただろう。せっかくの役割を放棄して、自分は一体何をやっているのだろうか。


 晶は覚醒した意識を必死に繋ぎとめる。これを手放したら今度こそ霊に何をされるかわからない。今のところむやみに危険に飛び込むことはなさそうだが、いつ気が変わって死のうとするか分からない。


 香月とも離れてしまった。今はもう自分を守ってくれる人はいない。自分で自分の身を守るしかないのだ。



 そう、父が死んだあの日からそうしてきたように―――



 薄れゆく意識の中、またあの絶望の底に落とされたように、全身が震えた。


 すると、どこからともなく頭の中に声が聞こえてくる。


 ―――このまま身を任せていれば、自分が望んでいた場所に連れて行ってくれるんじゃない?


 疲れ果てた晶の頭に甘く響く声。それを聞いて、晶は思い出していた。


 そうだ。父親のいる場所に行くことを、自分はずっと望んでいたのではなかったか。


 あの場所に。あの優しい笑顔の元に。そうすれば、もう独りぼっちになることもない。寂しい夜を孤独に震えて過ごすこともない。


 そう思うと、晶は少しずつ身体が楽になっていくのを感じた。


 徐々に足取りも軽くなり、絶望の底から浮上するように心が軽くなっていく。


 ―――早く行こう。寂しい思いをするのは、もう沢山だ。


 父親が待っているあの部屋へ急いで行かなくては。そう思うともどかしくて、晶はまた走り出そうとした。


 しかし、軽くなったはずの心の隅で、また不安が暗雲のように広がる。


 部屋で待っているはずの父親の顔が、どうしても思い出せない。そのことに気付いて晶は焦りを覚える。


 何故だろう、あんなに大好きだった父親の顔を思い出せない。替わりに思い出すのは棺に横たわる、あの―――


 晶はそれを思い出すことを反射的に拒もうとした。まるでそれを思い出したら何かに捕り憑かれてしまうような気さえする。


 しかし、どんなに振り払おうとしても、意識がそれに囚われてしまい、抗うことができない。


 そしてふと、最近同じように抗うことができないことがあったことが頭を過る。


 それは、深く深く、そして透明な瑠璃色の瞳。


 あの夜、あの瞳に囚われて動けなくなった自分は、美しい瑠璃色に心の中の隙間を支配されたような、そんな不思議な感覚を味わった。そして、そのことに自分でも驚くほどの心地よさを感じたのだ。


 今のように、得体の知れないものに身体の自由を奪われるくらいなら、いっそあの瞳に囚われたい。もう一度あの宝石のような瞳を覗きたい。


 心の中で生まれた小さな願望は、薄い闇の中を彷徨う晶にとって、辺りを照らす明りのように心に灯った。



 その柔らかな熱を感じていると、やがて意識もはっきりしてくる。


 そして、いつの間にか晶は見覚えのある場所に自分が立っていることに気が付いた。


 「ここは…」


 目の前の建物を見上げる。それはつい最近来たばかりの例のマンションに似ていた。


 一度だけしか来たことがないので自信はなかったが、確か同じような造りだったはずだ。


 動揺する晶をよそに、足は勝手にエントランスに向かって歩き出す。そのままエントランスを通り過ぎ、奥にあるエレベーターへと向かう。


 (やっぱりこのマンションだ…)


 そう確信を持った瞬間、背中が粟立つような感覚が蘇った。あの扉を開けるのだろうか?あの、部屋の中に入るのだろうか?


 考えただけで全身に鳥肌が立ち、今すぐその場から逃げ出したくなる。


 しかし、その思いとは裏腹に、晶の足はぽっかりと扉の開いたエレベーターへと吸い込まれるように向かう。中に入ると、震える指が勝手に動いて開閉ボタンを押した。


 エレベーターの扉が閉まるのを絶望しながら眺めた晶は、震え出した身体に耐えられず、その場で蹲る。


 エレベーターはゆっくりと上昇を止め、到着した階を知らせるランプが点滅した。


(大丈夫、大丈夫だ。あの部屋には、誰もいない)


 言い聞かせながら、エレベータの扉が開くのを、じっと見つめる。


 扉が静かに開き、その先に続く薄暗い廊下を頼りない蛍光灯が照らしている。その一番奥に、あの部屋のドアがあった。


 それを見た瞬間、恐ろしさでいっそう身体が震えたのと同時に、何故か酷く懐かしいような感覚を味わった。


 あのドアを開けたら、何が待っているのだろう。


 恐ろしい亡霊だろうか?それとも、もしかしたら…


 恐る恐る立ち上がった晶の足は、自然とそのドアへと向かって動き出していた。


 心臓が早鐘のように鳴っている。一歩一歩踏み出すごとに、晶は今度は恐ろしさとは違う、何かを期待するような気持ちが湧いて、自然と歩みが速くなった。



 もしかして、もしかして彼が―――



 ドアノブに手をかけ、力を入れて回すとあっさりとドアが開く。


 急いで部屋に入り、あたりを見回すが、誰かいる気配はない。


 それでも諦めきれず寝室に向かうが、そこにも誰もいない。


 最後にバスルームに向かうが、そこにも人の気配がない。


 晶は絶望的な気持ちでその場に蹲り、荒れた息を繰り返した。



 ――本当に、本当に自分は一人ぼっちなんだ――



 そう自覚してしまうと、涙と一緒に色々なものが流れ出ていくようだった。


 「…もう、いいや」


 そう呟くと、晶はゆっくりと立ち上がり、バスルームを出るとそのまま玄関に向かった。



 部屋を後にした晶が向かったのは、マンションの非常階段だった。


 重い体を引きずる様に一歩一歩階段を上がっていくと、やがて屋上へ続く非常扉が目に入る。


 扉の前で立ち止まり、ドアノブに手をかける。ゆっくりと回しながら体で扉を押し開けると、目の前には暗闇の中に雨が降り注ぐ屋上が見えた。

 

 そのまま足を踏み入れ、一歩、また一歩と歩みを進める。大粒の雨が容赦なく全身を濡らすが、すでにびしょ濡れの晶がそれを意識することはない。


 とうとう屋上の縁にたどり着き、そのままフェンスに手をついて下をのぞくと、アスファルトの地面は雨に濡れているせいかキラキラと街灯の光を反射していた。


 少し視線を上げて見れば街の光もぼやけて見えて、いつになく幻想的だ。



 ―――やっと、独りから解放される



 晴れ晴れとした解放感と喪失感がいつもの風景を違ったものに見せているのだろうか。こんなにも世界は彩りにあふれていたのだと、今更ながら気付く。

 

 もう一度下を覗き見て、明かりを反射した地面を見つめる。あちらの世界もあんな風に光に満ち溢れているだろうか。


 あの光を追い求めて行ったら、きっと会いたい人にまた会えるだろうか―――


 そんなことをぼんやりと考えながらフェンスを乗り越え、その一歩を踏み出そうとした。



 

 「そこから、どうするつもり?」



 聞き覚えがあるような声を聞いて、彼女はゆっくりと振り返る。


 そこには自分から少し距離を開けて佇む青年がいた。



 「…もういいの。全部お終いにするわ」


 

 すべてを諦めたような力ない自分の声を聞いて、晶の意識はゆっくりと覚醒した。


 (…違う。これは私が答えたんじゃない)


 晶は勝手に話し始める自分に狼狽えるものの、体は自分の意志とは関係なく勝手に動いているようで、再びアスファルトの地面を見つめた。


 「もうここに私の居場所はないし、探し続けてきたものも…」


 そう言葉を切って俯いた自分の頬に、雨粒ではない暖かな雫が流れていくのを晶は感じた。


 「あちらに行ったからと言って、あなたの居場所はそこにあるとは限らない」


 こちらの想いなど無視したような冷たい声色でそう言われ、思わず全身がビクッと震えた。


 確かに、あちら側へ行けば会いたい人に会えるなんて確証はどこにもない。その事実を容赦なく突きつけられ、背筋が凍るように冷たくなる。


 全身が震えているにもかかわらず、晶の体を動かす何かは下を向いたまま微動だにしない。

 

 その様子に後ろの青年が静かに一歩近づく気配がした。


 「それ以上近寄らないで。この子も同じ気持ちよ。一緒にこの苦しみから解放されるの」


 場違いなほど明るく穏やかな声でそう言った途端、晶の体は前向きに倒れるように傾き、そのまま雨の降りしきる夜空を舞った。

 

 抵抗しない体はそのまま浮遊感に身を任せていたが、逆さまの景色を見ながら晶は心の中で目いっぱいの悲鳴を上げていた。


 

 ―――いやぁぁぁぁ!!!死にたくない!!!



 落下のスピードに景色を追うことがだんだん難しくなる頃、晶はその意識を手放した。









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