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魔王という生き物の話

作者: メザイア

ちなみにドラクエとかの魔王は999割該当しません。(9990%定期)


 生まれた時から世界の悪者として生まれてくる。それが魔王である。


 彼は生まれた時からの王だった。魔物を統べる王として生まれ、人間の勇者と戦う事になる。


 ……例えそれが本人の意思と違っていてもだ。


 今代の魔王は争いが苦手だった。ただ魔王の子として生まれたから魔王になってしまったのだ。


 幼き頃から先代に叩き込まれた王としての矜持、王としての強さ、仮初のそれを持って魔王として君臨した。


 媚びへつらう配下を王として庇護しつつ内心ではただただ鬱陶しく思う。


 時に戦線に立ち人間の兵を薙ぎ倒し、時に兵を操り人を殺す。


 そんなこんなを続ける内に自らの心を殺し真の魔王として慣れ始めた頃、勇者という存在が生まれたらしい。


 なんでも、魔王を打ち倒す伝説の存在だそうだ。

 人間は勇者の誕生に気付いてはいない。今のうちに殺そうかと思ったが、流石に今すぐ王国に攻め行ける訳ではないので彼は勇者の人生を監視する事にした。


 勇者の産まれは王国にある一つの民家。家業は小売らしく将来はそれを継ぐようになっている。


 しかし、勇者は親からの仕事を教えて貰う予定をガン無視し何処かの友達と遊びに行くような子供だったのだ。


 魔王はその姿を見て羨ましいと思えた、幼少期から先代に教育されていた自分にとって、勇者の行動は自由の証とも思えたのだ。


 そしてある程度の歳をとり10代半ばになった頃。とある噂が国内に広がった。


『古の勇者の剣が光を放ち始めた』


 遥か太古の時代の勇者。彼が残した剣が現代の勇者の覚醒の予感を察知し光り始めたらしい。


 そして数々の若者が剣を手にし、資格がないとされ剣自体に拒絶されてきた。


 この頃の勇者は真面目に親の仕事を継ごうと考える様になっており、最後の仲間との遊びとしてその剣を握りに行った。


 そして勇者が触れた瞬間。今まで眠っていたそれが真の姿を表し、勇者は国公認の勇者として魔王退治の旅に出る事になった。


 そこから勇者の過酷な旅路が始まった。魔物を殺して街を救い、海を越えて大陸を救い、仲間との死別を経て太古の勇者と同じ真の勇者として目覚めた。


 魔王はその旅路を見て『カッコいい』との感情を覚えた。

 何故かは分からない。だがその生き様に何かの憧れを覚えたのだろう。


 だが魔王は人間の、勇者の敵でなくてはならないのだ。魔王の城に入る勇者に対し四天王を派遣した、古の勇者ですら一人ずつ対峙したのだ、四人に勝てるわけが無い。


 そう思っていたのにバン!っと音を立てて魔王がいる部屋の扉が開かれた。


 そこにら仲間を殺された怒りでもなく、敵に向ける憎悪でもなく、自らの使命を果たそうとする眼差しを持つ勇者がいた。


 そんな勇者が明るく見えた。自分とは違い自分の意思としてここに来た彼に、自らの光を感じた。


 あぁ、コイツになら殺されていい。コイツなら歴代の魔王全てにかけられた呪いを解いてくれる。

 そう感じたのだ。


 だからこそ、あらん限りの笑みを持ちこう言うのだ。


「待ち侘びたぞ勇者よ」


 と。

あ、長期連載始めました。もし良ければ覗いてみて下さい。多分残機99のオッサンで出ると思います

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