異世界転移
俺は鈴島 龍也 ハッカーだ。
性別は男 年齢は24歳 身長178cm 体重65kg唯一の欠点は目が悪いこと。メガネの度数も結構高い。
日本人だが海外のハッカーグループに所属していて今そのグループのアジトで生活をしている。
俺たちのグループは政府や大手の会社が隠している不正や不法な事の機密情報などをハッキングして入手しそれを世間に公表するなど正義のために俺たちはハッカーをやっている。
俺はいつものようにグループのメンバー数人と協力しとある政府のコンピューターにハッキングをして機密情報を抜き出そうとしていた。
とある政府が隠している情報は極秘裏に開発されている新兵器の情報らしい。
俺たちは政府のコンピュータにファイアーウォール軽々突破し侵入。
正直言ってこの政府のハッキングに対しての対策や防衛力が弱すぎる。
ファイアーウォール一つでなんとかなると思っているのか?
余りにも簡単すぎてトラップなのでは無いかと思うぐらいすんなり政府のコンピュータに侵入し機密文書を手に入れることが出来た。
トラップの可能性をメンバーも大いに警戒していたが特に何もなく拍子抜けだと文書を世間に公表し俺たちは解散した。
解散し部屋には俺1人になった時だった。何者かからのハッキングを受けた。
機密文書はもうすでに公表済み。
今更ハッキングして来るなんて遅すぎる。
だが俺たちのグループのアジトにハッキングして来るとはいい度胸だ!
俺はそのハッキングをして来た何者かとの電子上でのハッキング攻防戦ををすることにした。
相手もなかなかの腕を持っている。俺と互角にやり合えているのだから誇れる腕前だ。
「俺が勝ったらチームに誘ってやろうかな」
そんな事を言いながら俺にハッキングをして来た相手とのハッキングの攻防を繰り返していた。
相手は攻撃して来る時は強いが防衛に回った時少し奇妙な動きを見せてくる。
俺にハッキングして下さいと言わんばかりに無防備になる瞬間が一瞬だけあるのだ。
少し疑問に思ったが敵の脆弱な部分を突くのはハッキングの基本だからと無防備になった瞬間に相手へのハッキングに成功した。
「俺の勝ちだ。さて一体どんな奴が俺達にハッキングをして来たのかな?」
政府の人間か、それとも別のハッカー集団かそんな事を考えながらハッキングし盗み出した相手の情報を閲覧した。
しかし画面に映し出された相手の情報は白紙だった。
「は?これはどういう事だ。何故情報が何も無いんだ。」
本来であれば相手の情報が画面に表示される。相手の個人情報から使っている端末や現在位置まで全てだ。だが映し出されたのは真っ白い画面。
相手が人間じゃなくコンピュータ内に存在するAIだったとしても白紙の画面はありえない。何かしらの情報は映し出されるのだ。
真っ白い画面を見つめながらトラップだったかと今起きている状態の理解と原因の究明をしていると自分の後ろ、背後から声が聞こえた。
「流石は天才ハッカーさんだ。君の力は本物だね。そんな天才な君に頼みがある。君のその力を貸してはくれないだろうか。僕の世界を救って欲しいんだ。」
背後からそう聞こえる。部屋の扉は開いた形跡がない。この部屋には俺1人だ。つまり今後ろにいるやつは幽霊だ!俺はそう思い怖くなったが幽霊にしてはしっかり言葉を喋っている。
とにかく後ろを向いて誰がいるのか確認したくなり勇気を出して後ろを向いた。
しかし後ろを振り向いたがそこには誰も居なかった。
「いない…」
じゃあ幽霊で確定だ。怖くなった俺は部屋の外に逃げようと部屋の扉開け外に出た。
部屋の扉を開き外に飛び出るとそこはアジトの施設内ではなく草原だった。
「えっとー俺。薬やってたっけ?やばいだめだ、一度寝よう多分疲れてるんだ。」
そう思って後ろを向いて部屋に戻ろうとしたら扉がなかった。後ろに見えるのも草原。
「えっと…終わった…これ夢だよな。」
でも夢にしてはリアルすぎる。太陽熱も感じるしほっぺをつねっても痛いし。紛れもなく現実だった。
「これ、こっからどーすればいいの?」
流石に今起きている現実を受け入れられない。
「と、取り敢えず誰かに連絡を!」
そう思ってスマホを探したがポケットにあったはずのスマホが無くなっている。多分部屋の外に出ようと走った時に落ちたんだ。
完全に終わった。連絡も取る手段が無く今いる場所も分からないじゃあどうしようもない。
唯一の救いは靴を履いていることぐらいか。勿論部屋の中用の靴だが。
もう最悪の状態だ。
だがまだ希望はある。
例えば今見ているのは仮想現実であるという考えだ。
でもよくよく考えたらこんなリアルなものを見せられるほどの技術はまだ地球上には存在してない。各国の政府や会社をハッキングしてもそんな機密文書や情報は見つかっていなかった。
希望を自分で否定してしまった。
「取り敢えず家に帰らないとな…」
そう思って歩き出した。どっちに進めばいいか分からないが取り敢えず歩けば家か街か見つかるだろうと北も南も分からない状態で歩き出した。
歩きながら考えていた。さっき聞こえた声について。
あの声は僕の世界を救ってほしいとそう言っていた。
つまり今いるここはあの声の世界なのか。
なら俺がいた世界とはここは違う世界で帰ると言っても帰る場所はこの世界にはない訳だ。
「じゃあもうあいつに会うまで帰れないじゃないか。」
ハッキングしか脳のない俺が何も持ってない状態でどうやって生きていけと?
あの声の野郎が世界を救ってほしいと俺をこの世界に招いたのならそれなりの対応ってものがあるだろう。
ただ世界に招待しました、はい後はよろしく!じゃあ世界を救う前に俺が死ぬ!
何考えてるんだあの野郎。こんな状態でどう世界を救えと?無理に決まってるじゃないか。
「せめてサバイバルキットぐらい欲しいもんだ。」
そう言うとサバイバルキットが歩いている俺の目の前に落ちて来た。
急に目の前に落ちて来るもんだからびっくりして尻餅をついたじゃないか!
さっきサバイバルキットが欲しいと言ったらサバイバルキットが落ちて来た。
つまり他の物も頼めばくれるのか?
だがよく考えろ?もし欲しいものを要求するのに回数制限があった場合今で一回使ってしまった。
もしこのまま今欲しいものを要求して後からこれが欲しいとなった時に回数制限切れでくれなくなったらその時詰みだ!
兎に角頼むものは慎重に考えないといけない。
なんせ何も教えずにこんな世界に飛ばす野郎だ。絶対に回数制限ぐらい設けてあるに決まっている。
今はサバイバルキットがあれば十分だ。
このよく分からない世界で折り合えず生き抜くことが今1番すべきことだ。
死んだら元の世界に戻ると言うことは多分ない。死んだらそのまま死ぬだろう。
これはゲームでも仮想現実でも無い。現実だからだ。この世界に転移させられたとしても現実だということに変わりはない。
なら人生は一度きりだ。
絶対に死ねないのだ。
今気づいたが俺のメガネの右上に小さく数字が刻まれている。
2という数字が刻まれている。多分欲しいものを要求するできる回数だろう。
やっぱりあったよ回数制限。
クソが!あの声の野郎次会ったら絶対に殴る!
俺はそう誓いサバイバルキットを背負い草原をあてもなく歩き続けるのだった。