第八十四話 氏治包囲網 その4
私は四千五百の兵を引き連れて土岐家との国境を越えた。広い原野を目にした私は軍を停止させ後続が追い付くのを待つ事にした。馬を降りて手頃な石に腰掛けると、私は側に控える百地に質問した。
「百地は江戸崎まで気付かれずに近付けると思う?」
「それは難しいで御座いましょうな。今は国境を越えたばかりなので気取られて居りませんが、村人なり土岐家の者なりが我が軍を見掛ければ報せに走るでしょう。早駆けに駆ければその限りでは御座いませんが、この大軍で御座います。気取られるかと?」
「ならば軍師百地ならどうする?」
「はっはっは、軍師で御座いますか。そうで御座いますな。二千程の兵を駆けさせ、敵方が備えを致さぬ内に城門を打ち破る事を試みる、と言った所で御座いましょうか?」
「そうなるよね。出来れば土岐治頼を降伏させたいんだけど、無血開城で」
私の言葉を聞いた勝貞が口を開いた。
「であれば、百地殿の策と半々にしては如何で御座いましょうか?土岐は兵も集めて居らぬので、二千の兵を送り城を包囲させ、然る後に後続の軍勢で更に囲みまする。この軍勢の松明を目に致せば土岐治頼も負けを認めましょう」
「そうだね。周りの支城から援軍も来ないだろうし、来ても小勢、手が出せないかな。うん、それで行く事にする。百地、赤松と野中と矢代をここに呼んでくれる?」
「承知致しました」
百地が配下に指示し赤松達を呼びに行かせた。暫く待つと赤松、野中、矢代がやって来た。
「赤松、二千の兵で江戸崎城に先行して包囲して欲しい。相手は兵が碌にいないけど手を出してはダメだよ?狙いは確実に土岐治頼の身柄を押さえるか降す事だからね?包囲したら私達を待って欲しい。敵方から使者が来たら私が到着してから話をすると伝えてね。そうしたらまた出番を与えるから、それまでは我慢だからね?野中と矢代は赤松を補佐して欲しい。お願いね?」
「承知致しました、この赤松にお任せあれ」
「野中と矢代の役目は言わなくても解るよね?」
私がそう言うと野中が口を開いた。
「赤松殿の抑え役で御座いますな?承知して居ります」
続いて矢代が言う。
「今更で御座います。ですが、我等にも武功を挙げる機会をお与え下さい」
「分かってるよ、野中と矢代は家中でも沈着な人だから頼んでいるんだよ。お願いね」
「はっ!」
「はっ!」
「御屋形様、この赤松は沈着な男で御座います。御心配は無用で御座います」
「矢の一本でも飛んで来たら走って行きそうだから野中と矢代を付けるんだよ。そう思われたくなかったら行動で示すといいよ」
「参りましたな。それでは行って参ります」
私達は赤松を見送ると後続を待った。粗方集まったと判断した私は再度江戸崎城に向かった。軍勢は何事も無く進行する事が出来た。丘を越えると江戸崎城を包囲する赤松の軍勢の松明が目に入った。こういう夜戦は河越以来だけど、二千で囲うだけで壮観である。場内も篝火を多く炊いているから城が浮かび上がるように見える。私は隣で馬を歩かせる政貞に声を掛けた。
「江戸崎の城も面白いね。両端の台地を巧く使っている。背後の川を利用したら面白い縄張りが出来そうだね?」
「そうで御座いますな、あの高さの台地であれば石垣を致すのが楽で御座いますな。盛り土の必要も御座いませんし」
「江戸崎はいい場所にあるからきっと栄えると思うよ。誰に任せようかな?」
「随分と気が早いですな。戦の後のご苦労をお忘れで御座いますか?」
「そう言えばそうだったね。誰に押し付けようか?」
私達は特に障害も無く江戸崎城に到着し、私は赤松に先導されて陣に入った。他の将は更に包囲を固める為に忙しく働いている。私は陣内の床几に腰掛け、次郎丸は私の傍らに座った。暫く待つと包囲を完成させた諸将が続々と陣に入って来た。私は皆が集まると口を開いた。
「赤松、野中、矢代、ご苦労様。首尾良く行ったようだね」
「敵方は我等が駆け寄っても抗する様子が御座いません。敵方は我等に感付いて居る様子で御座いまして篝火を多く炊いて御座いました。使者は参りましたが、御屋形様が到着なされてから話を聞くと申し伝えて追い返して御座います」
「土岐治頼も真っ先に狙われるとは思っていなかっただろうね。きっと知らぬ存ぜぬで押し通してくると思う。端から見れば戦端を開いたのは小田家だからね、きっと大義名分を問われるよ?」
私がそう言うと勝貞が口を開いた。
「正木殿も申して居りましたが、我等が民を奪ったと吹聴する御仁で御座います。大義は我等に御座います」
「勝貞殿、この赤松は初耳で御座います。どういう事で御座いましょうか?」
「里見家の正木殿が来訪された折に申されたのだ。常南、行方、鹿島の衆が御屋形様が民を奪ったと。それを聞いた御屋形様が抗弁された」
「赤松と飯塚が移民の世話をしていたからね。私は赤松達が懸命に勤めているのを知っているから悔しかったんだよ。だから此度の戦の先陣を飯塚と赤松に任せようと思ったんだ。大掾家には飯塚、土岐家には赤松にね」
私がそう言うと諸将が騒めいた。中には怒り出す人もいて勝貞が静める羽目になった。
「その様な事が御座いましたか。この赤松、御屋形様のお気遣い、嬉しゅう御座います。飯塚殿も同様で御座いましょう。承知致しました。土岐治頼めのそっ首をこの赤松が刎ねて参ります!」
「刎ねちゃダメ!いい赤松?ああいう悪い人は生き恥を晒させる方が効くんだよ、首を刎ねて楽に死なせるより、恥を抱えて生を歩ませる方が良いと思わない?戦が終わったら百地に頼んで土岐の悪い噂を常南に流せば人々は信じてくれるよ。悪言には悪言で懲らしめるのが一番だよ。勿論、領地は取り上げるけど」
「承知致しました。ですが、如何されるので御座いますか?」
「うん、赤松の出番にする。赤松、土岐治頼を降して来て欲しい。やり方は赤松に任せるよ。ただし、領土の安堵は約束しちゃダメだよ?安堵を求められたら降った後に私と話すよう伝えて。赤松と話して降らなかったら直ちに総攻めに掛かると伝えるといいよ。私の望みは土岐治頼を降すけど所領は安堵しない。土岐領の兵を従軍させたい、かな」
私は一拍置くと話を続けた。
「私達が城を獲るのは簡単に出来るけど、矛を交えれば無駄に死人も出る。そして土地勘の無い私達が兵を集める事は難しいよね?だから土岐家の者に徴兵させて、その兵を私達の備えに混ぜてしまいたいんだ。土岐家が降れば、土岐の兵は私が守るべき領民になる。私は領民を無駄に死なせたくはない。だから少しでも軍勢を大きくして有利な状態にしたいんだよ。使者は危険な役目だけどお願いね」
「難しいお役目で御座いますな。ですが、この攻囲で肝を冷やして居りましょうから、ともかくやってみましょう」
「城を枕になんて言わないと思うけど、きっと大丈夫だよ。政貞、赤松が入城してから四半時経ったら全ての鉄砲を三度、撃ち鳴らして欲しい。脅しになると思うし。赤松、巧く誑かして来るといいよ」
「承知致しました、この赤松凝淵斉、見事にお役目果たして御覧に入れまする」
「そうだ、愛洲を連れて行くといいよ。愛洲の武名は天下に轟いているから、きっと赤松の役に立つと思うよ?」
「それは頼もしい。いざとなれば、愛洲殿と某で土岐の者共を根絶やしにして参ります!」
「期待してるよ。愛洲も頑張ってね!」
なんか、愛洲が変な合図を送って来ている気がするけど、『ありがとう』の合図かな?ならばこの調子で使者には愛洲を付けてあげようか?愛洲の手柄にもなるし、いい考えかも。
―江戸崎城 広間 愛洲宗通―
ワシは今、赤松殿と共に土岐治頼に対面している。氏子からの主命で赤松殿と来たのだが、正直、無謀だと思う。戦場の使者は斬られる事も多々あると聞いている。赤松殿はああ言っていたが、ワシと赤松殿で根絶やしにするとか無理である。
ワシは必死に氏子に報せを送ろうと試みたが、氏子は笑顔でワシと赤松殿を送り出したのだ。氏子は出陣前に『私が面倒見るよ。安心するといいよ』と言っていた記憶があるが、全く安心では無いのである。
軍議では氏子の狙いを聞いて感心していたが、まさかワシが同行する事になろうとは微塵も思っていなかった。ワシが同行する事になった途端、氏子の考えに感心していたワシは何処かに消え去ったのだ。そもそも、領土を安堵もせずに全てを奪おうという氏子の話は虫が良すぎると思う。
それにもう少し使者をする者の気持ちを考えるべきである。幾ら力があっても技なくして巻き藁は斬れぬものである。氏子にはその辺りを教えねばなるまい。
赤松殿も赤松殿である。氏子に誑かして来いと言われて、微塵も動揺せずに主命を受けていた。坂東武者は恐れを知らぬと聞いた事があるが、ワシはただの強がりだと思っていたのである。だが現実はこの様に笑顔で危険な使者の役目をしているから恐ろしい。
氏子も氏子である。『使者は危険な役目だけどお願いね』と笑顔で言っていたけど、氏子も大概である。ワシから言わせれば、危険が解っているならしなければいいのである。だが、赤松殿の様子を見ていると坂東武者では常識なのかもしれない。氏子もあのような見た目だけど中身には修羅が潜んでいそうである。
ワシと赤松殿が土岐治頼に挨拶をする。早速とばかりに土岐治頼が話し始めた。
「赤松殿と申されましたな。此度は何故この様な暴挙に出られたのか?当家は小田家に攻められる覚えが御座らん。納得のいく理由をお聞かせ願いたい」
ワシもそう思う。勝貞殿は民を奪われたと吹聴されたと言っていたけど、ワシから言わせれば、言いたい者には言わせておけば良いのである。ワシがそう考えていると赤松殿が答えた。
「土岐様は身に覚えが無いと仰られるので御座いますか?」
「左様、小田家とは矛を交えた事もあるが、それは一昔前の事。当家は小田家と友好を温めて来たつもりで御座る。にも拘わらず、この様に討ち入られるとは一体どの様な大義があっての事か!」
「大義?大義で御座いますか?では申し上げる。結城が兵を挙げたのは御存じかと存じますが、土岐家はその結城と手を組み、我等が御屋形様を討とうと企んだからで御座います。当家は戦を仕掛けられたので御座いますから、反撃致すのは当然で御座います」
「我は結城家が兵を挙げたなど知らぬ!一体いつの話なのか?結城家と手を組んだと申したが、そのような覚えはない!」
「これは困りましたな。知らぬ存ぜぬでは話が進みませぬ。土岐様、良くお考え下さいませ。何故、我等がこのように動けたのかと?我が主、小田氏治様は理由無く他国を攻める事は致しませぬ。此度の謀を報せる者がいたとはお考えにならないので御座いますか?」
「なんだと!当家の者が報せたとでも申すのか?」
百地殿が報せたとワシは聞いているんじゃが?
「某、土岐様の御家中とは一言も申して居りません。ですが、此度の謀に参じる家は多く御座います。この常南の衆、行方の衆、鹿島の衆、結城家、小山家、宇都宮家、これだけの家が参じているので御座います。ですが、多くの家が参じた事が仇となりましたな。不忠者は何処にでもいるもので御座います」
大嘘である。赤松殿もいい度胸である。ワシも降伏の使者を致すのは初めての経験だけど、こういうものだとは思わんかった。でも、嘘は良くないと思う。
「では、何者かが氏治殿に我が謀ろうとしていると報せたとでも言うのか!」
「その通りで御座います。我が主は大変お怒りで御座います。我が主は大軍を整え、我等に号令致しました。土岐治頼様の首を獲れと」
「な、何者かが謀を氏治殿に伝えたと申すのか?!真に氏治殿は我の首を獲れと命じたのか?」
土岐治頼が動揺している。尤も、企んだのは土岐治頼だから仕方ないと思う。氏子からすれば頑張って領内を整えて皆が無事に生活できるように努力しているのである。ワシも氏子について歩く事が多いから良く知っている。でも、こういうのは見たくなかった。自分が責められている気がして居心地が悪いのである。
「左様で御座いますが、今一つ理由が御座います。先年、当家に里見家の家臣、正木時茂殿が参られました。正木殿は小田家が土岐家の民を奪ったと申されたので御座います。某もその場に居りましたが、御屋形様は大変お怒りで御座いました。その事もあってか、此度は御屋形様が激怒なさり、我が家中の者達も同様に腹を立て、此度の討ち入りとなったので御座います」
「あ、赤松殿、一体誰が氏治殿に報せたと申すのか?お聞かせ願いたい」
赤松殿が凄過ぎる。あんなにスラスラと嘘を吐けるとはワシには出来ない芸当である。氏子は赤松殿は話が上手と言っていたけど、予想以上である。ワシは人見知りが激しいらしく、普段あまり喋らない。氏子とは気が合うので楽しく話せるのだが、赤松殿のように誰とでも話せる人はちょっと憧れるのである。
「某がそのような事を漏らす訳が御座いません。土岐様には失礼かと存じますが、我等は戦をしているので御座います。この赤松が敵に利する報を漏らす男に見えるので御座いましょうか?で、あればこの赤松も侮られたもので御座いますな?」
「まっ、待て!その様なつもりで申した訳では無い!」
「土岐様、某は使者として参りました。戦場での使者は相手の機嫌次第で斬られる事も多く御座います。この赤松凝淵斉、我が主より主命を賜った時から既に命は捨てて居ります。事があればこの場で土岐様を道連れに死ぬる覚悟に御座います。こちらに控える天下の剣豪、愛洲宗通殿も同様で御座います」
えっ?ワシ?ワシも殺るの?初耳なんだけど?それにいきなりワシに振るのは止めて欲しい。太刀は取り上げられているから土岐に肉薄して喉笛を潰してから太刀を奪えば何とかなりそうだけど、城から逃げ出すのは無理だと思う。
「待て!待て!我はそのような事は致さぬ!」
手の平を赤松殿に向け、制するように話す土岐治頼の顔が真っ青である。でもこの様子なら殺らなくて済みそうである。ホッとしているワシがいる。
「ならばこの赤松、使者の務めを致しましょう。申し上げます。我が主、小田氏治は土岐家に直ちに降れと申されて御座います。条件交渉も許さぬと申されました。我が主は」
その時物凄い音が響いて来た。氏子が言っていた鉄砲の音である。その音で赤松殿が話すのを止めたし、土岐治頼も土岐家の家中の人達も驚いているようである。ちなみにワシも驚いたのである。だけど、屋敷に鉄砲の玉が降り注いでいる様で、弾ける様な音が響いているのである。
ワシは鉄砲を空にでも向けて撃つのかと思っていたけど氏子は屋敷に撃ち込ませている様である。ワシには解る。恐らくこれは氏子の差し金である。氏子なりの気遣いなのだろうけどやる事が野蛮極まりない。こういうのは良くないと思う。赤松殿はともかく、ワシに当たったら大事である。鉄砲の音が鳴りやむと赤松殿が口を開いた。
「どうやら、御屋形様の催促の様で御座います。土岐様はあれが何かご存じで御座いましょうか?」
「話には聞いた事がある、今のが鉄砲と申すのか?大きな音を出すと聞いているが?」
「左様で御座います。当家にはその鉄砲が五百程御座います。この鉄砲で撃たれた者は多くが死にまする。運良く、手足に当たりましたとしても、後に手足が腐りまする」
「なんと、その様な物を多く持たれているのか?」
「左様で御座います。武者の中には鉄砲など役に立たぬと申す者も御座いますが、その様な事は御座いません。弓矢より遠くから撃ち込めるので御座います。一丁、二丁ならばともかく、五百もありますれば千や二千の軍勢では皆殺しになりまする」
恐るべきは氏子である。ワシも初めて鉄砲の話を聞いた時は鼻で笑ったものである。だけど、桔梗殿が鉄砲を撃つ姿を見せられて考えが変わったのである。しかも氏子は早合なる物を考え出し、ワシ等に見せてくれたけど正直引いたのである。氏子は『二千発の玉を撃ち込んだらどうなるんだろうね?』と笑顔で言っていたけど、ワシはそんな怖い想像はしたくないのである。
「では再度申し上げます。我が主、小田氏治は土岐家に直ちに降れと申されて御座います。条件交渉も許さぬと申されました。我が主は降らぬ場合、直ちに城攻めを行い、土岐治頼様の首を獲ると申されまして御座います。我が軍勢は四千五百、この江戸崎の城を完全に包囲し、御屋形様の号令を皆が待って居ります」
「降らねば、降らねば我の首を獲ると申されたのか?」
「左様で御座います。我が主小田氏治は大変お怒りで御座います。土岐様だけでは御座いません。既に他家にも軍勢は攻め込んでおります。当家の飯塚美濃守殿が府中に討ち入り、鬼真壁の異名を持つ真壁久幹殿が常陸中部の兵を引き連れ鹿島を目指して討ち入られて居ります。更に当家の盟友である佐竹義昭様も大軍を引き連れ、宇都宮家に進軍して居ります。飯塚殿は昼を過ぎた頃に出陣されましたので既に大掾慶幹様の首を獲っているやも知れませぬ」
「赤松殿、、、。豊島家と相馬家にも討ち入ると申すのか?」
「左様で御座います。ですが、土岐様は御運があるようで御座います。この様に話し合いが出来るので御座いますから。御屋形様の手元を離れた軍勢に攻められた家はそうは行きませぬ。軍勢を与えられた将は敵の首を求めるもので御座いますから」
「城を全て明け渡せとは、、、。所領の安堵は求められぬのか?」
「謀を致したのは土岐様で御座います。これが常の戦であれば交渉も出来ましょうが此度はそうはいきませぬ。我が主はお怒りでは御座いますが、降るのであれば寛大な処置を致しましょう。家臣が大事、民が大事のお人で御座いますから」
「赤松殿、当家は降りまする。赤松殿、愛洲殿、どうかこの治頼がお許し頂けます様御口添え願えないだろうか?」
えっ、そんな事言われてもワシ、困るんだけど?氏子は絶対許さないとか言ってたし?土岐家の家中の人も黙っているけど良いのだろうか?
「よくぞ御決心なされた。先程、鉄砲が撃ち込まれたようで御座いますから、我が御屋形様は焦れている様子で御座います。ご安心下され。この赤松と愛洲殿が口添え致しましょう」
赤松殿、勝手に決めるのは止めて欲しい。ワシが口添えしても氏子は怒っているから聞いて貰えないと思う。ちなみに、ワシはここまで一言も口を聞いていない。
こうして赤松殿とワシは土岐治頼を引き連れ帰還したのだった。




