異世界で巫女になります!?
私、月見里悠李は小学生ながらに恵まれた生活を送っていると思う。
六年生に進級して仲の良い友達である花恋ちゃんと紗夜ちゃんと同じクラスになれて、四月上旬には弟の悠音も生まれて幸せいっぱい!
今が人生で一番楽しいんじゃないかなって思っていた。
四月下旬、私はいつもと同じように花恋ちゃんと紗夜ちゃんと一緒に下校していた。
「じゃあゆうちゃん、また明日ねー!」
「ゆうちゃん、また明日」
花恋ちゃんは元気よく手を振り、紗夜ちゃんは控えめに手を振ってくれた。
「うん! 二人とも、また明日ね!」
私はそう言って手を振ると二人とは逆方向へと歩みを進めた。
家に帰るためには大きな池のある公園を通って帰らなければならない。
「あれ? 変だな」
公園内に入ると普段小さな子たちが遊んでいるはずの遊具や東屋で散歩の休憩をしているお年寄り、愛犬の散歩をしているはずのお姉さんが見当たらなかった。
普段なら誰かしらいるはずの大きな公園に誰一人いなかった。
珍しいなぁ、なんて思いながら池の近くを歩いていると池の方からコポッという空気が出る音が聞こえてきた。
「ん?」
池を覗くように見ると水中で渦が起きていた。
変だな、池の水でも抜いているのかな。
そんなことを思いながら池を見ていると突然『見つけました』という男の人の声が聞こえてきた。かと思えば渦が起きていた箇所の水が塊となって宙に浮くと突然私に襲いかかってきた。
「きゃあっ!」
私は両腕でガードするようにするも呆気なく水の塊の中へと包み込まれた。
息が、苦しいっ……!
もがき足掻いても水の塊から出れることはなく、最終的には息が苦しくなって気を失ってしまった。