目覚めの前の大いなる夢より「嘘つきとオオカミ少年」
こんなタイトルじゃなかったか? という気がしたから、書いてみた。
あるところに羊飼いの少年がいました。父母を亡くして、孤独な少年でした。
その少年はしょっちゅう、「助けてくれ! 狼が来たぞ!」と村に行っては、叫んでいました。
村人たちは皆、走って駆け付けるものの、その度に少年の言ったことが嘘だと知るのでした。
ある日、オオカミ少年が現れ、少年に言いました「キミは嫌われているな。もう誰もキミの言うことを信じはしないだろうよ」と。
少年が否定するので、オオカミ少年は村に行き、少年の声音で「助けてくれ! 本当に狼が来たぞ!」と叫びました。
しかし、本当にもう、誰も現れませんでした。
そして――、
オオカミ少年は、惨殺されました。凶器は、食肉解体用のナイフでした。村人も残らず惨殺されました。
オオカミ少年の心無い言葉と刺すような真実は、少年が押し込めてきた嘆きと殺意を解き放ったのです。
惨劇のあとには、少年の形をした一匹のオオカミが、涙と血に濡れて立っています。