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異世界転生モノ 鎌倉蓮の場合  作者: むしやろう
4/5

人と人をつなぐ少年

4章「お兄ちゃん!?」


がやがやと人気の多い街道を通って今はコーラルさんの家に帰るところである。今後の予定をコーラルさんと決めるのだ。


一時的に、とゆうか半強制的にコーラルさんの家に居候する事となった。アレだよね。親が教師の子供ってこんな気持ちなのかしら。


どうせなら目つきのキツイ数学教師で黒タイツのいかにも「女教師」って感じの先生と同居したかったよね。いや、実際居るの?そんな教師。


「おい、今後はオレの家で暮らしてオレの家から学校に通ってもらう。学校の名前はグランマジカル、はまぁどうでもいいか。ここまでで質問は?」


「一緒に学校行くことになるんですか?」

「んなわけねーだろ。普通教師ってのは生徒より一時間早く着いてるもんなんだよ。ちなみにオレは手芸部の顧問だから手芸部には入るなよ」


「入る部活にも口出してくる教師ってどうなんですか……」

「ちげぇよ。あそこは迷い子がすでに一人居るんだよ。まぁ紹介されるだろ」


と、そんなこんなでコーラル先生の家である。実際問題どこに住むかも考えていなかった身としてはかなりありがたい。とゆうかお金とか無いしどうやって生活するかも考えて居なかった。


ゲームとかじゃ生活するところとか割と考えられてるんだなと、気付いたしだいである。でもだいたいダンジョンとか潜ってて固定の家とか持たないのが定番だよね。ちゃんと寝る場所と雨風しのげる場所もあるとかほんとありがたい。


「と、着いたな。帰ったぞ」

「おかえりー」

「おかえり?」


とどこか聞き覚えのある声で出迎えてくれたのは、「アマネちゃん」と呼ばれていたあの子だった。あれー?おかしいぞー?『オレを殺せばあの子は助けられないぞ』とか言っちゃったぞー?


「あれ?その人……」

「そういえば名前お互いに聞いてないのか。こっちは今日からウチで暮らすことになった鎌倉蓮。んでこっちが迷い子としては先輩の」


「天音・ヴランドラ・立花です。グランマジカルの一年生なの」

「鎌倉です。え?奥さんにしては若すぎません?犯罪ですか?」

「ちげぇよ。三年前に拾ったんだよ。お前と同じだ。最初から大隊長はあのハッタリを見破ってたってわけだよ」


そう聞いてがっくりする。ボクの一世一代のハッタリは何だったんだ。え?とゆうか何?今日から女の子と暮らすの?


まぁ教師と一緒だから問題起きることなんてありえないんですけどね。夢の学園生活の幕開けだ!……そうか?


「助けてもらったから恩返しがしたいとは思ってたの。その後どうなったの?」

「たぶん後々なんとか言われるだろうがオレが黙らせる。もっとやべぇの抱えてるエリザベートが居るしな。お前は学校案内してやってくれ。ひと月通って道に迷わなくなったろ?」


「そりゃあもう。学校までの道案内から移動教室の案内まで任せてくださいよ」

「じゃあ明日は案内してやれ転入手続はオレがやっといてやる。そういやお前今いくつだ?」

「16ですけど」

「…………」「2個上かぁ……」


二人して一瞬動きが止まった。とゆうかそんな「見えない」って顔で止まらないでくれる?とゆうかアマネさんは「てっきり同い年かと思ってた」とか言わないで。


聞こえてるからね。いいか?PCギャルゲヒロインはみんなああ見えて成人してるんだぞ。いろいろと法律に引っかかるからとかじゃなくてちょっと若く見えるだけでちゃんと成人してるんだぞ。これくらい若く見えるのなんて誤差だ誤差。


「んじゃ三年扱いになるのか。それで書類は作っとく。校長にも話は通しとく。とりあえず今日は疲れたろ。飯食って寝ようぜ」


「とりあえず部屋に案内するね。お兄ちゃん」

「お兄ちゃん!?」

「だって今日から一緒に暮らすんでしょ。もう家族よ家族。お父さん二階の空き部屋でいいんだよね?」


「鎌倉、こいつは一度言い出すと絶対に諦めんぞ。そういう性格なんだ。部屋は好きにしてくれ。二階の部屋はだいぶ余ってるんだ」


そう言われて玄関すぐの階段をアマネさんと昇る。二階には部屋が二つずつ向かい合って、計四つの部屋があった。階段そばの部屋には『天音』と小さなドアプレートがかけてあった。字そう書くんだ。


産まれてからずっと一人っ子だったので『お兄ちゃん』と呼ばれるのは初めてだ。とゆうかお父さんって呼ばれてたけど迷い子だからそういうことなのか。


血は繋がってないけど家族ってことか。というかもともとコーラルさんは若い。こんな年の子供が本来居るような年齢には見えない。


「部屋どこにする?」

「とりあえず向かいでいいかな」


そ、というと天音さんはそそくさと自分の部屋に入りゴタゴタとベットの下から何か探し始める。ドア閉めてあげようかなぁ。


でもボクも何か荷解きとかしようかな、と思ったが特に何も荷物が無かった。せっかくなので自分の部屋を少し眺める。元々宿屋でも営んでいたのかもしれない。


ちらりと、というか普通にドアを開け放っている天音さんの部屋と間取りも家具の配置もさほど変わらない。窓辺に木製のベットとベットの下には収納スペース。


そして一つの小さな棚の上にランタンと少ない家具ながらも必要最低限は揃っている。しかし天音さんの部屋と大きく違うのは彼女の少女趣味というか年齢相応というか小さな棚が明るめの布で装飾されていたり、ベットの枕元には動物の人形が四体も居た。


他にも手製のクッションと小さいながらもピンクのタンスがあった。……ピンク?とりあえずご飯食べて寝て、明日考えよう。今日はもう疲れた。


というわけで次の日である。てゆうかこの世界目覚ましとか無いの?絶対起きられるわけないじゃん。とか思ってたら普通に起きられた。


ちなみに時計は普通にある。じゃあ目覚ましもあるんじゃないの?と思っていたのだが「そういうのは自分で買って」と天音さんに一蹴されてしまった。え?じゃあ初日から遅刻するよ?ボク?


と思っていたらサクッと起きられた。人間生活リズムってちゃんと太陽とリンクしてるのね。今ちょうど朝七時といったところだ。今から学校に行って八時までに着く。うん。死ぬ前とやってること変わってない。ふっしぎー。


「おはようお兄ちゃん。もうお父さん学校行ったわよ。朝ごはん食べてさっさと行こう?」

「あ、はい。朝ごはん普通にパンなんですね」

「ご飯あるけど朝から炊くのは少し時間がね。パンは準備が楽でいいわ。あ、あとそこのイスにかかってるローブ使って。私の予備だけどサイズは大丈夫なはず。大きめのだし。」


ローブ、そんなのあるんだ。何だろう。学校制服の一部とかだろうか。ご飯普通にあるんだ。といくつかパンがカゴに入っているところから長めのフランスパンを引き抜く。固ッ!かった!?なんだこれ。食べ物の固さしてないよ!?


「フランスパンは、まぁ固いよね。食べながら行こっか。特に持ち物無いでしょ?」

「これシチュー用とかじゃない!?というか女の子が食パン咥えて学校行くのは定番だけどフランスパン咥えて行くのは新しいね?」

「私は普通にコッペパン食べたからお兄ちゃんだけだよ?」

「もう食べ終わってた!?」


というわけで二人仲良く登校である。といっても今がいつ頃なのか季節がわからない。やだなぁ微妙な時期に転校してくる転校生とか。


普通に悪役扱いならよく見るんだけど。わかっていないことだらけなので登校中の会話にも困らなそうだ。


「ねぇ今って季節的にどんな感じなの?」

「五月十五日、ちなみについこの間生徒会長が決まった感じ。季節というか四季についても日本と同じだと考えて。あと私を呼ぶときは天音って呼び捨てにして」

「えぇ……何で?」

「お父さんのことも学校では先生ってちゃんと呼んでる。学校では私は新一年生で、ちゃんとお兄ちゃんの事も、何だっけ?」

「鎌倉蓮」

「そうそう蓮くんって呼んだ方がいい?」

「うぅん……むずむずするからお兄ちゃんの方がまだいいかなぁ」

「そっか。お兄ちゃんもヴランドラって名前使ったら?」


そういえば天音さんはコーラルさんの名前を使っていた。じゃあ本名は『立花天音』なのか。にしても三年も一緒に生活していたのか。


ということはこちらの事情にボクより三年分も詳しいということになる。というかさっきからずっと景色が変わらないんだけど、この壁なんだろう。


ざっと3m近くある高い壁だ。それを15分くらいずっと左手側に眺めている。一応車道側を歩いてはいるが通りかかる車は一切無かった。もしかして車無いのかなぁ?その割には道広いような?


「と、そろそろ着くね。ここが校門。裏口の方から入る迷い子が多いんだけど正門が眩惑魔法で見えない様にされてるんだよね。別にいらないと思うんだけどな。あ、手出して」

「はい……」


ひょい、と繋がれてしまう。すると目の前の大壁が消えて大きな学校が見えた。なるほど、眩惑魔法で延々と壁が続くように見えているのか。


「本来ローブが無いと正門で警報が鳴る仕組みなんだよね。あともう一個透視遮断効果もあるんだけど自分用のローブはちゃんと買ってね。あと校章はお父さんが持ってるハズだから先に教員室行った方がいいかも」

「あ、はい。で教員室ってどこなんです?」

「西棟の三階。校長室のそば。んじゃ、友達呼んでるから」


と、てててっと行ってしまう。「お待たせー」とメガネの女の子と大きなリボンを付けた女の子の所へ走っていく。ところで西棟ってどっち?


まぁ、西か。太陽が……東だからうん?太陽どこ?壁沿いに歩いて行ってみようかな。とゆうか校内入って三階行ってから探せば良かったのでは?と後になって思った。


しばらく壁に沿って歩いていたら唐突に声をかけられた。


「正義って何だと思いますかぁ?」

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