異世界の食材
ほにゃらら、3分クッキング~~♪
こんにちは、みなさん。 本日のお料理はオムレツになります♪
クルトの実、ミルクの実、塩、こしょう、バターの準備はよろしいですか?
あ、プレーンオムレツも美味しいですが、中にチーズを入れたチーズオムレツ、ひき肉などを入れたミートオムレツなんかも美味しいので、各自、お好みの具をご用意くださいね~♪
・・・なんか料理っていってたら、とある料理番組を思い出した。 ・・・・・・ま、冗談は置いとくとして・・・お母さーん、クルトの実、持ってきましたよー。 ルーがだけどー。
クルトの実が入ったカゴを持って、ルーティアは竈の前にいる母のもとへ向かう。
「クルトの実、持ってきたよ。」
「ああ、ありがとう。 ミルクも持って来てくれたんだな。」
「うん。 母さん、ミルクも入れた方がおいしくなるって、前に言ってたよね。」
「ああ、そうだ。 よく憶えてたな。」
ルーティアの頭をポンポンと叩きながら、母はカゴを受け取った。
「ルー、もう少し服を脱いだ方がいい。 家の中でそれは、厚着すぎる。」
「うん。」
「・・・まったく、あいつは。 いったい何枚、着せてるんだ。」
母は、この場にいない父に文句を言いながら、ルーティアの服を脱がしてくれた。
良かった。 納戸は寒かったから、あまり気にならなかったけど、竈がある居間は暖かい。 このままだと、また汗をかくと思っていたのだ。
「ルー、汗が気持ち悪ければ着替えるか?」
「んーん、大丈夫。 もう乾いたよ。」
「寒気はないか?」
「うん、平気。」
「ならいいが。 寒くなったら言いなさい。」
「うん。」
ルーティアの服を2枚脱がせると、母はルーティアの髪をいじり始めた。 肩よりも少し長く伸びた髪を、頭の高い位置で一つにまとめて紐でくくってくれる。 いわゆるポニーテールである。
「ふふー、母さんとお揃いだー。」
ルーティアは母とお揃いの髪型に、ご満悦だ。
「ルーティア、テーブルを拭いておいてくれ。」
「はーい。」
母に布巾を渡されたルーティアは、イスに膝立ちになって食卓を拭きはじめる。
『ねーねー、ルー。 テーブル拭き終わったら、お母さんがお料理するとこ見たいんだけど、いい?』
『うん、いいよ。 ちょっと、待ってね。』
小さな身体を一生懸命、伸ばして、テーブルをきれいに拭く。
すまないねぇ、ルー。 クルトの実とミルクの実をどうやって使うのか気になるんだよ。
テーブルを拭き終わると、布巾を流し台に置いて竈の前にいる母の所へ行く。
母は、フライパンのようなスキレットのような調理器具で何かを炒めていた。
いい匂いだけど、何だろう? ・・・あ、ひき肉炒めてたのかぁ。 あの一緒に入ってる細かいのは玉ねぎでいいんだよね?
私が思っている食材で当たっているかどうかは分からないが、どうやら母はミートオムレツを作ってくれるようだ。 お肉も何の肉かはわからないが、見た目と匂いは豚肉のようである。 とても、おいしそうだ。
「ルー、すぐ出来るからテーブルで待っててくれ。」
「ここで見てていい?」
「ん? ああ、別にいいぞ。」
母の斜め後ろに立って、調理風景を見させてもらう。
『ルーは、お料理のお手伝いはまだしないの?』
『うん。 火も包丁も、まだ危ないからダメって言われてる。』
『あー、そうだよねー。』
前世のコンロより火加減が難しそうだもんね。 もし大人の身体だったとしても、この竈で料理してって言われて、すぐに料理出来るかっていうと無理そうだ・・・。 子供の身体では、さらに無理がある。
調理風景を見ることで、『ミルクの実=牛乳』『クルトの実=卵』で間違いないことは分かったが、なんだか不思議で、おもしろかった。
まずはミルクの実だが、これは実の中に牛乳が入っているわけではなく、実を、お湯に溶かすのだ。
小さい鍋に、水と、洗ったミルクの実を皮を剝かずにそのまま入れる。 鍋を火にかけると、実がどんどん崩れていき、お湯に溶けていくのだ。 一混ぜして実が完全に溶けていれば、前世の牛乳よりも、ちょっとトロみの強いホットミルクの完成だ。
そして、クルトの実。 こちらは前世の卵と同じように殻を割る。 ただ、殻が硬いので、アボカドの種を取るときのような感じで、包丁の持ち手に近いほうの刃先を叩くように実に当てる。 そうすると亀裂が入って、そこから簡単に割れるようだった。
そして、中身を出すのだが、ここが前世と違う。 白身と黄身が分かれておらず、殻の中で白身と黄身を混ぜたようなトロッとした黄色い液体で出てくるのだ。
これは、オムレツとかスクランブルエッグは作れるけど、目玉焼きは無理だね。 メレンゲもダメか・・・。 なんか、食べれないと思うと食べたくなるなー。 サクッとしたメレンゲの焼き菓子が食べた~い。
卵と牛乳が、ちょっと変わっていたが、他の食材や香辛料なんかに変なとこは無かった。 いちいちルーティアに聞いてもらうのも大変なので、食材の名前とかは今は確認していない。
オムレツを作る工程も特に変わったことは無く、無事、美味しそうなオムレツが完成した。
ちなみに、付け合わせはピクルスみたいな酢漬けっぽい野菜と、乾燥野菜を水で戻して炒めたものだった。 冬場は野菜がほとんど採れないので、春までの野菜は漬物か乾燥野菜が普通だそうだ。
これに朝も食べた全粒粉ぽいパンと温かいお茶がついて、今日の昼食だ。
ルーティアに聞いたところ、どうも基本の主食はやはりパンのようだ。 お米はたまにしか出てこないらしい。 残念だが仕方ない。 価格もわからないのに、米を食わせろと駄々をこねるわけにもいかない。 この世界にお米があっただけ幸運だ。
「さあ、食べよう。」
食事の準備が整って、父の様子を見に行っていた母が戻ってきた。
「父さん、起きない?」
「ああ、まだだな。 今日の夜か、明日の朝には目覚めるだろう。 さ、冷める前に食べなさい。 恵みに感謝を。」
「恵みに感謝をー。」
食卓についた二人は食事を始めた。 母はパンを手に取り、ルーティアもオムレツを食べ始める。
・・・うん。 オムレツ、美味しい。 優しい味だ。
母とルーティアが言っていた、「恵みに感謝を」は、日本での「いただきます」と同じだ。 朝食の時、父もやっていたので食事の挨拶だろう。 長いお祈りとかじゃなくて良かった。 これなら私も、すぐ憶えられる。
ところで、さっきから気になっているのだが、お母さんの皿に乗っている、あの大量のオムレツはいったい、何人前になるのだろう? パンもカゴに山盛りなのだ。 とても二人分には見えない。
『ねぇねぇ、ルー。 お母さん、いつも、あんなにたくさん食べるの?』
そんな質問をしてる間にも、どんどんオムレツとパンが母の口に消えていく。 そんなに早く食べているようにも見えないのに、面白いように無くなっていくのが、ちょっと楽しい。
『ん? うん。 母さんはルイシャの分も食べてるんだよ。』
『へ? ルイシャの分?』
『うん。 ルイシャは母さんの霊獣だから。』
『お母さんの霊獣?』
『うん、そう。 ん、とね、霊獣と、とっても仲良しになるとね。 霊獣は森に帰らなくなって仲良しの人のそばに、ずっと一緒にいてくれるようになるんだって。』
『じゃあ、ルイシャは、お母さんと仲良しになったから、森に帰らなくなった。てこと?』
『そう。 でね。 人と仲良しになった霊獣は、あんまりごはん食べなくなるんだって。 で、人は、すんごくお腹が空くようになるんだよ。』
『??? へー、不思議だねぇ。』
精霊に続き、霊獣もなかなか不思議な存在なんだな。
仲良しになるって、何か契約的なことをすると、そうなるのかな? お母さんに聞ければいいんだけど、ルーが聞くには不自然か・・・。 仲良しってことだよ。て教えられてるみたいだし。 詳しく聞くと子供には難しい話なのかもしれない。
とりあえず、ルイシャはお母さんのルイシャで、お母さんは不思議現象でいっぱい食べる。ということは解った。
霊獣と仲良くなるということは、エンゲル係数が跳ね上がるってことなんだな。 食費が稼げるようにならないと霊獣と仲良くしちゃいけないってことか・・・。 こりゃ、当分、無理だなー。
いつもの半分しかない長さですが遅れているので更新します。
こんなご時世なのに、親戚が泊まりにきて書く時間が取れず・・・。
次回は一週間以内にあげたいと思います。
なんだか不定期更新で申し訳ない(>_<)