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とりあえず明日の予定を確認しない?

章タイトルを一章と共に変えました。

未だ章タイトルだけはぴたっとハマらないんですよね。

 一通りの案内を受けた俺達は、夜になって、ようやくお互いの代表の家で休むことができた。


 当然、女性陣は男性代表の家で、男性陣である俺達は女性代表の家で。


 男女分かれて生活しているこの島では、代表同士が必ず結婚している。


 正確に言えば、結婚している中から代表者が選ばれるのだが、要は、シアンとシュナイダーは結婚しているのだ。


 しかし、今回のイベントでは、オープニングで東西それぞれの異性の前に俺達は立たなくてはならない。


 その間のフェリアの警護はバカ馴染み達に任せるとして、俺達は彼女たちとは別の相手の見世物にならなくてはいけないのだ。


 明日のイベント開始の時間は早い。


 だから、どちらか片一方の家に全員が泊まってしまうと、片方に多少の負担をかけてしまう。


 そこで、二人が実際に居住している本家ではなく、男女それぞれを統括するための別の家、いわば仕事の家に俺達は泊まることになったということだ。


 ちょうどこれで、お互いにそれぞれの会場に近い距離にもいるわけだし。


「冒険者だし、普段から共同生活しているから別に一緒でもいいじゃん!」とどこかの遠いバカが言っていたが、「うっせぇ、黙ってろ」の二言で黙らせてきた。


「明日のスケジュールってどうなってるの?」


 仕事用の家とはいえ、仮にも女性の家ということもあって、それなりに気を遣って振る舞う俺に対し、テッドはそう聞いてきた。


 テッドも俺と同様で、さすがにこの家を荒らすのは失礼だと思ったのだろう。


 何もすることがないのでとりあえず聞いてみた、といった様子だった。


「そうだな。明日は周りが女性だけで、男性にはほぼ会えないと思っていい。会えるとすれば俺達だけだ」


 初日は先ほども言ったように、オープニングで女性達の前に現れる。


 そこから各自、できるだけ多くの女性達に挨拶に行く。もちろん、会場だけでなく家にも出向かなければならない。


 とにかく多くの女性達が男性に興味を持つようにする。


 初日はイベントの中でも特に、準備といった役割を持つ。


「家に行って挨拶かぁ……。面倒くさそう……」

「そう言うな。俺だって面倒くさい。それに」


 俺の周りにいる奴ときたら、どうしてこうも美形美顔ばかりなのだろうか。


 アホ丸出しの幼馴染は一応それでも言いたくはないが、可愛いといった部類に入るだろう。


 ケイラも、普段からキツそうな目のおかげで、どこかクールな美少女といえるだろう。


 シュリやトーカに関しても、二人とも保護欲をかき立てる幼い容姿をしている。


 この二人に関しては、男達が変な方向に向かってしまわないか心配だが、そこは祈るしかあるまい。


 フェリアはその中でも特に異彩だ。


 年相応の幼さもあれば、国仕えで鍛えられた大人びた雰囲気を随時使い分ける。


 欠点と言える欠点はないが、ただ一つあげるとすれば、その二つを使い分けることの怖さ、といったところだけだろう。


 他の男達二人に関してもそうだ。


 イグスは頭が少々アレで、人様の、ましてや女性の家で筋トレしようとした奴だが、それでも大人の男の渋さや屈強さを持っているし、顔だって悪くはない。


 テッドは少しチャラい格好とその明るさもあって、若い女性に比較的好かれる印象もあれば、逆に大人の女性相手には母性を与えさせる。


 このパーティで一番モテる奴だ。明日も問題はないだろう。


「それに……なに?」

「いや、何でもねぇ」


 それに比べて俺はどうだろう。


 どこぞの田舎から出てきた青年A。


 正直、俺の容姿がいいかどうかなんてまったくわからない。


 俺自身は悪くないとは思っていても、かといって良いと思っているわけでもない。


 それは実際事実なようで、つい先日シエンにそのことについて聞いてみたところ。


「あ? 普通だろ。いいか悪いかとも言えねぇってところで悪いに傾くレベルだろ?」


 ためらうことなく、オブラートにくるむこともなく、面と向かって言い切ったアイツに俺は感謝すべきか悩んだ結果、殴り飛ばそうとして返り討ちにされたくらいだ。


 それほどまでに俺の顔は普通らしい。


 シエンはそれが逆にマイナスだと言ったが、この美形のパーティにいればさらに変わる。


 ただの普通が目立って「アイツはなんだ?」といったような扱いを受ける。


「それで、二日目は?」

「あ、あぁ」


 自分の思考が思った以上に逸れてしまっていたことの恥ずかしさとその驚きを隠して、俺はテッドの質問にこう返した。


「二日目からはお互いの中間にあるバリケードが外される。ま、バリケードって言っても、目に見える壁じゃなかったけどな」

「何もないのに、お互いに境目を作っているってのは不思議なもんだよねぇ」

「それが風習というもんだ」


 その見えない壁が二日目と三日目に取り除かれ、東西の行き来が互いに解禁される。


 本来であれば、週に一度、その壁が取り除かれている。


 しかし、フェリアが言っていたように、その日は男女の仲を深めるといったことより、お互いの貿易を行う日となってしまっている。


 だから、この二日目と三日目は、その貿易のほぼすべてを禁止し、男女の仲を深めるためだけの日にしているようだという。


「それじゃ、二日目と三日目は特にすることはないの?」

「まぁ、一日目と違って自由行動ではあるが、できるだけ異性の地域をぶらつくように、といった感じだな」

「ふぅん。……あ、リオンはその日、誰かと回る予定とかあるの!?」

「なぜそこで目を輝かせる……」


 にんまりと聞いてくるテッドの顔が気持ち悪くて仕方ない。


 なんなんだ、いったい。


「別に。何にもねぇよ」

「あ~……。んじゃ、空けておいた方がいいね」

「なんでだよ?」

「え? そりゃ、絶対誘ってくるからでしょ?」

「……誰が?」

「誰が、って……。セラフィとか、いろいろ?」

「すぐに断ってやる」

「あはは。無理だって。リオンは断らないよ」

「断らないんじゃない。断れないんだ。アイツらの場合」

「どっちも同じことだよ」


 テッドは楽しそうに笑うが……そうか。そうだよな。絶対誘ってくるよな、アイツらは。


 別に誘ってこなくたって、結局、問題を起こして俺が飛んで謝りに行かないといけなくなる。


 俺に逃げ場なんて端からどこにもない。


「……気が滅入ってきた」

「まだ明後日だよ?」

「……死にたい」

「あはははは!」


 この野郎、他人事だと思って。


 いいよな、問題を起こすだけ起こして放置できる奴は。


 それを片付ける人の身にもなってほしい。


「それにしても」


 そんな俺の様子に気付いたのか、テッドは俺に景色を見せるように窓を開けた。


「悪い意味じゃなくてさ。何にもない島だよねぇ」

「何もないわけではないと思うんだが?」

「いやいや、そういう意味じゃなくて。島の地形だよ。凹凸がないっていうのかな?」

「あぁ、なるほど」


 テッドのいうとおり、この島には坂道はあっても、大陸のようなゴツゴツとした凹凸はない。


 東西に男女が分かれているこの島は、さらに、南から北にかけて上り坂になっている。


 俺達やセラフィが借りている家が最も低いところに位置しており、上り坂のおかげで自身が治める地域一帯の様子を、窓を開けるだけで即座に知ることができる。


「意外とこういうのって盲点だよね」

「あえて下にいることで、全体を見渡すことか?」

「そうそう。普通だったら、頭首様っていろんなことで上に立ちたいものじゃん?」

「あぁ、まあ。そうかもな」


 イメージ的にはその方が強いかもしれない。


 現に、俺達の国の王様だってもともとはもう少し小さい城だったのだが、俺達がそれより僅かに高い()を建てたおかげで、慌てたように城を高くしたわけだし。


 地域を治める者は自分を越える()()を許さない。


 あながち間違いではなさそうだ。


「それがまるでリオンみたいだな、と思ってさ」

「はあ?」


 何言ってんだ、コイツ。


「実質的なリーダーだからこそ下にいる。……ほらね」

「ほらね、じゃねぇから」


 さっきの話が本当だとして、たとえそうだとしても、俺とこの島のシステムではまったくもって意味合いが違う。


「この島の頭首は、民を治めるためにわざわざ上ではなく下に位置する。だが、俺の場合はそうじゃねぇ。俺の場合はもともとが下ってだけだろ。統括するための下と、下の奴がなぜかリーダー的位置を任せられてる。二つには明確な違いがある」

「なんだ。自分がリーダーってことは否定しないんだね」

「違う。ものの例えだ。前から言っているが、俺はリーダーになりたいわけでもねぇし、このパーティを抜けたいんだ」


「あらら、残念」と口に出しているが、そんなことは露程つゆほども思っていないことが表情から伝わってくる。


 まったく。これだから、仲間と話すのは疲れるんだ。


 そんなことを考えながら、自分で入れたコーヒーに口を付けようとしていたときだった。


「うわっち!」

「おおっと!?」


 突然激しい揺れに襲われ、俺とテッドがバランスを崩す。


 俺はコーヒーの熱さと揺れに耐えながら、コーヒーを床にこぼさないようにし、テッドは安定した体幹でバランスを取る。


 揺れはすぐに収まったが、それと同時に今度はドアが勢いよく開けられる音が響いた。


 その音に瞬時に俺とテッドが戦闘態勢を取ったが、その音の正体は、外で筋トレをさせていたイグスだった。


「なんだ、イグスじゃん。ビックリさせないでよ」

「それどころじゃねぇ! 今すぐ、外に出ろ!」


 そんなイグスのただ事ではない様子に、俺達は顔を見合わせると、ついていくように家を飛び出す。


「これを見ろ!」

「これって……え?」


 イグスが家の後ろ方向を指さすと――


「なんだ……これ?」


 ()()()()()()()()()()()()



インフルでちょうど暇な時間ができたのでw


よろしければブクマ・評価もお願いします。

感想も随時歓迎です!


※余談ですが、第五人格でのフレンド申請ありがとうございます

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