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とりあえずパーティの説明をした方がよくない?

 知ってのとおり、俺のいるパーティは驚くほどに強い。


 十年に一人の天才が集まったとか、その程度の奇跡で収まるような奴らであったらどれだけよかったことか。


 百年に一度現れるかどうか、一人一人がそれくらいの存在である。


 いや、本当。何度でも言うが、なんでそんな奴らの中に俺がいるのか不思議でならない。


「……おい、あれって」

「すげぇ……」


 俺……というよりあいつらは歩いているだけで価値があるのだろう。


 まるで神にでもなったかのように地に膝をつける者までいる。


 正直それはやりすぎで、気持ち悪いとは密かに思ってはいるけど。


「し、視線が痛ぇ」

「何言ってるの、リオン! リオンが一番胸張って歩かなきゃ!」


 相変わらずこの頭のおかしい幼馴染は、俺をありえないほどの過大評価をしていやがる。


「だから俺は何もしてねぇって言ってるだろうが」

「ま~た、そうやって!」


 そうやってもなにもねぇって何度言えばわかるんだよ!


 額に手を当てただけで、周りが少しざわつく。


 お前らが見ているのはちょっとすごい程度の平民だってそろそろ気付いて欲しい。


「いや、ちょっとは確かに過小評価かもしれねぇが」


 こんな奴らといれば、平凡な人間も狂ってしまう。


 おかげで俺も人間をやめそうにはなっていることだけは否定できない。


「でもなぁ……」


 改めて周りにいるパーティメンバーを見た。


 コイツらはもう人間やめてるようなもんだしなぁ。


「どうかした?」

「いや、特になにも」

「そっか」


 話を少し戻してみようか。


 俺達のパーティについてだが、当然のごとく、ランクは最高に位置している。


 これで頂点でないなら、世界が狂っていると断言できる。


 そもそもパーティとは複数の人で構成される一つのまとまりのことを指す。


 パーティの人数に特に制限はなく、申請さえすればそれが正式なパーティとなる。


 ちなみにだが、このパーティをさらに複数にまとめたものを俗にレイドと呼ぶ。


 めったにこのレイドは作られないが、覚えておいて損はないだろう。


 まぁ、そんなことはさておいて。


 先ほど、俺はパーティに人数制限はないと言った。


 確かに人数制限はない。


 しかし実際のところ、パーティというのはあらかた人数が決まっている。


 最も効率のいい人数と言えばわかりやすいだろう。


 少なすぎても戦力不足だし、多すぎたら今度はお金の分配が問題となり大変になる。


 ということで、パーティの人数は『五人』というのが一般的になっている。


 攻撃戦闘員が二人、支援戦闘員が二人、そのほかにあと一人。


 これが基本の組み合わせだ。


 攻撃戦闘員については、一人は近距離攻撃型で、もう一人は遠距離攻撃型。


 俺達のパーティでは、セラフィとケイラがそれにあたる。


 セラフィは一応魔法も使えるが、近接戦闘を得意とし、何よりのその攻撃力は高い。


 反対に、ケイラの遠距離からの多重魔法攻撃はとどめ等に使われることが多い。


 次に、支援戦闘員は防御役と回復役で分かれている。


 これはイグスとシュリだ。


 イグスの鉄壁の防御で相手からの攻撃を完全に防ぎ、シュリの回復や支援魔法を状況において使い分ける。


 基本はこの四人がいれば大抵の敵には負けることはない。


 ますます『俺いらない説』が有力となっているのだ。


 最後に、そのほか一人というのは、言うなればこのどちらにもあたらない人を指す。


 パーティによってさまざまだが、大部分は囮や敵を翻弄する役として俊敏な人がそれにあたる。


 そう、これはテッドだ。


 テッドは持ち前の俊敏さで敵の翻弄、また、相手のアジトに潜入して情報収集をしてくる。


 戦闘における陰の立て役者みたいなものだ。


 まぁ、こういうメンバーが揃うのが理想ではあるが、現実はそうも上手くもいかない。


 そこで俺のようなAR(オールラウンダー)が必要になってくるわけで。


 前でも後ろでも戦える『そこそこ便利な人』みたいな立ち位置だ。


 正直言ってしまうと「これはテッドのような囮役がいないから、とりあえず他のやつで代用しておこう」みたいな感覚で使われるだけで。


 逆に言えば、そういう人がいるなら俺はもういらないのだ。


 単刀直入に言おう。


 パーティとして欲しいのは、俺ではなく前者の人だ。


 ということで、だ。


 やはり俺のいる意味がない。


 と、アイツらに理論立てて説明した。


 なのに、またアイツらときたら。


「え、いてもいなくても同じなら、別にいてもいいってことだよね?」


 と言ってきやがった。


 そもそも「そういう仮定」というのは普通、悪いときに使われるものじゃねぇのかよ。


「まったくリオンは頭が固すぎだって」


 頭が固いわけじゃねぇから。


 あまりにも都合よすぎる展開に怖くなっているだけだから。


「リオンはいろんなことができる。それだけで十分じゃない?」


 いろんなことができるってお前……。


「いろんな……ねぇ」


 なんでもできるということは何もできないことと同義だ。


 俺ができることはコイツらの誰かが一二〇パーセントの完成度でできる。


 例えば? ……そうだな。


 戦闘面に関してだけならまだしも、それ以外だって同じだ。


 例えば料理だ。


 一応、このパーティの料理係を任されているわけだが、実際のところ俺よりもシュリやケイラの方が美味い飯を作ることができる。


 俺が作る飯なんてたかだか『知る人ぞ知る美味い飯屋』ぐらいだ。


「わ、私なんてまだまだですよぉ」

「美味しければそれでいいじゃない」


 もはや嫌みにしか聞こえない。


 お前らのように星をもらえるほどの飯なんて作れないっての。


 他にもある。鍛冶なんてそうだ。


 あぁ、「家事」じゃない「鍛冶」だ。


 何もない俺だが、それでも俺は何もしなかったわけじゃない。


 俺は少しでもパーティの役に立とうと一流の鍛冶職人に弟子入りしようと思ったことがある。


 で、その一流の鍛冶職人のところに会いに言った結果が。


「おっ、リオン! どうしたんだ。こんなところで?」


 その一流の鍛冶職人がまさかのイグスだったとさ。


 しかも鍛冶のやり方が独特すぎて作れねぇし。結局俺達の武器はイグスがすべて作っている。


 もちろんまだある。次は水泳だな。


「水中戦だったらワンチャン……!」と思っていたあのときの俺を心の底から殴り殺したい。


 そもそも息が続かねぇな。


 どれだけ身体は鍛えられても肺活量には限界があった。身体にもあるけど。


 調子が良くて一分半は潜ることができる俺に対し、テッドの場合。


「一時間が限界かな?」


 お前の肺はどうなってるの? 身体のなか肺だけで満たされてんの?


 もしくはエラでもついてんのか。


 最後はあの幼馴染(アホ)だが。


 ……アイツはただのバカだ。


 余計な仕事を持ってきたり、増やしたりするバカだ。


 それ以外はない。終わり。


「リオ~ン! 仕事持ってきたよ!」


 はぁ。


 また頭が痛くなってきた。


 アイツが持ってくる依頼は碌なもんがないんだ。


 あと何回世界を救えばいいのやら。


「王城に来い、だって。えぇ~、行きたくない~」


 大声で喋るな、バカ! 相手はどう考えても王様だろうが!


「どうして私達に頼むかなぁ?」

「……お前らがバカだからだ」

「え、なんて言ったの?」


 ……難聴主人公は男だけで十分なんだよ。



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