炎上
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巨人伝説は世界中に存在する。その全ての物語が怪物として表現される。人間をとって食い、大暴れして、人々から財宝を盗み、それをため込んでいる。『鬼』と一緒に表現されることが多く、『神』として表現されることもある。
百物語にもこの生き物が出てくる。独眼巨人だ。世界中の巨人は退治した物語が多いのだが、この百物語は怪談話なので当然倒せなかった。人々が殺されて、攫われて、喰われて、悲劇的に終わった。
「なんだ、お前。変な格好をしやがって」
「おやおや、この娘。いや、男?」
「女だよ。これでもな。悪鬼を探しているんだけど、知らない?」
滋賀栄助と天賀谷絢爛が対面していた。滋賀栄助は逃げ惑う人々を見て、反対方向へと走ってきたのである。途中から炎上している民家や森林を見て、戦闘が始まっていることを確信した。火災現場を目掛けて全力疾走をしていると、天賀谷絢爛に遭遇したのである。この男は巨人を追っ払い、退陣している最中だった。
「君が滋賀栄助だね。私は陰陽師名家の党首、天賀谷絢爛だ。この旅の親方様の招集に応じ、御門城へ向かっていたのだが、百鬼が暴れているという情報を耳にして、応戦してはみたのだが、報告通り君にしか倒せないようだね」
天賀谷絢爛は笑顔を浮かべた。まるで子供をあやすように、ゆっくりと滋賀栄助へ違づいていく。気品溢れる服装に、煌びやかな装飾品。いかにも金持ちをアピールする所業である。
「自己紹介とかいいから、探しているのは百鬼なんだよ」
早く戦闘をしたくってウズウズしている栄助はイライラしていた。天賀谷絢爛のゆったりとした偉そうな言葉遣いが気に召さなかった。
「すぐそこにいますよ。私には倒せなかったので撤退してきたが、戦うかね?」
「当たり前だ。で? この炎上は貴様の能力か?」
「いいや。敵の仕業である。あの百鬼には炎を巻き上げる能力があったのだ」
清々しい笑顔に鋭い眼差しを向けた。コイツ、嘘を言っている。そう直感で感じ取れた。
「そうだ。私も戦線に戻る。一緒にあの鬼を退治しよう」
差し伸べた手を強く払いのけた。不快な顔を浮かべて、軽蔑の意味を込めて。
「足手纏いはいらない。俺一人で十分だ。消え失せろ、金ぴか!」
「よいのか? あの鬼は骨が折れるぞ」
「骨が折れるんじゃない。奴の全身の骨をへし折るんだよ」
その前に鋼鉄の皮膚を攻略しなければいけないのだが。そんなことを気にする栄助ではない。余裕の笑みを浮かべる天賀谷絢爛を無視して、燃え上がる森林へと駆けて行った。




