表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
210/263

土竜

 ★


 謎が解決する寸前だった。滋賀栄助、津守都丸、薬袋的、絵之木実松、水上几帳、土御門芥。この六人が睨み合う場所に……上空から何者かが降ってきた。まず、猪飼慈雲の死体が最初に血の雨を降らせて落ちて来る。大型の肉食獣に首元を噛み千切られて死んでいた。それを見て、話しの途中だった一同が絶句する。


 次に……鬼一法眼が現れた。もうこの戦いには参加しないと言っていたのに。どうやら操られているように思える。白目を向いて千鳥足。武器を持たずふらふらしている。その後ろには、神出鬼没錐土竜、霹靂一声業雷虎、余裕綽々影鼬がいる。電撃を纏った巨大な生物だ。土竜と虎と鼬である。


 「虎が出てくるのは二度目だな。ネタ切れかぁ?」


 しかし、前回の虎とは全く面持ちが違う。緑色の雷が全身である。そしてその上に鎧が付着している感じだ。残りの二匹も同じである。見た目は電撃で相違ない。雷が土竜と虎と鼬をかたどっている。電撃の化身。


 「ちぃ。折角のクライマックスの邪魔ばっかり入りやがるぜ。だが、こっちから探す手間が省けた

俺の前に姿を現したってことは、自殺志願者でいいんだよな……百鬼ども」


 その言葉を言い終える前に一番先頭にいた虎が、背中から薙刀を取り出して鬼一法眼の首元に突き刺す。幸い刃先が寸止めで終わった。人質とでも言いたいのだろう。


 「おいおい。俺がそんなオッサンの為に手を緩めるとでも? 可愛い馬鹿だな」


 「まて。あのオッサンは陰陽師だ。その中でも偉い人らしい。そんな簡単に見捨てるな」


 「はぁ? 小学生は黙っていろよ。これは百鬼同士のバトルロワイヤルだ。お前たちなんて引き立て役でしかないんだから、引っ込んでいろ」


 滋賀栄助と薬袋的で言い合いを始める。そんな中で津守都丸は必死に『他の百鬼』を探していた。たった三匹で奇襲とは考えられない。滋賀栄助にそんな生半可な人数で勝てるとは思っていないはずだ。まだ百鬼は10体以上いるはず。


 水上几帳は笑顔のまま、土御門芥は興味が無さそうに欠伸をしている。彼らの目的は『勝つ』ことでも『守る』ことでもない。この世界を破壊することだ。戦う意味も価値もない。もう自分の命ですらどうでもいいと思っている節さえある。


 絵之木実松は……ずっと絵之木実松を睨み付けていた。


 「こいつ等、何しに来たんだよ……全く……」


 そう言いつつも名も無き戦乙女こと薬袋的が自信満々の顔で三匹の百鬼に歩み寄る。それに合わせて錐土竜が言葉を発した。


 「百鬼将。獄面凱王様より言伝を預かってきました」


 不意に出た言葉に足取りを停める。錐土竜の声は子供らしい高音質なあっさりとした声だった。


 「柵野栄助。今度こそ成敗してくれる。『周防』に来い。そこで決着をつけよう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ