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纐纈

 そんな言葉を最後にストレンジャージレンマは、また馬鹿みたいに笑い顔になった。いや、正確には無理やり作り笑いをした。最後まで笑顔でいれば、我々を騙し切れた可能性だってあったのに。そう思う。いや、本当に演技ではないのか……。


 「君たちは私を誤解しているよ。私は君たちの味方だ。そして、私は百鬼将と仲良くなどしていない。百鬼の中でも異端の逸れ者でね。奴らの計画の全貌を知っているが、賛同はしていない。既に奴らは私の思考の範疇を超えている」


 そんな言葉を最後に滋賀栄助の方向をわざと向いて笑いなおした。


 「私は確かに人間を進化させようと画策してきた。医者として、科学者として、なるべく多くの命を救いたかったから。その為なら自分がいかに呪われようとも、例え悪霊と言う名の禁断の力を借りようとも実行してきた。何度も何度も他人の命を救った。その中で人類が進化をする秘訣を見つけた」


 「悪霊になれっていうのかよ」


 「いいや。レベル3の悪霊に世界を守ってもらうことを望んだ。私がレベル3の悪霊にしたかったのは……お前だよ。薬袋的。我が愛しの孫娘よ。お前には悪霊を引き付けるという才覚があった。これは歴史上には何人か存在する。お前たち陰陽師の先祖や家系も、その類に準ずる」


 それで悪霊を散々、病院内に呼び込んだ。悪霊の住まう病院へと変貌させた。


 「誰も傷つかない。誰も苦しまない。その理想の世界を作り出す。病人の消滅こそが我が最大の望みだ。その為に『何も考えず』に作戦を実行してきた。まさか裏切りにあった挙句に、この世界に自分も百鬼として召喚されるとは思わなかったがな」


 裏切り……薬袋纐纈と五人の友人たちとは……結託していなかった。


 「奴らは自分たちでレベル3の悪霊になることを望んだ。身体の中に怨念を蓄積した薬袋的を殺して、自分たちが薬袋的という最強の悪霊に呪われる。そして彼女と融合することによって、その才覚を発揮する。奴らは……死んででも『神』になりたかったのだ」


 悪霊との融合……。この笑いの絶えない爺さんは何を言っている。


 「奴らの目論見は実現したのだ。大方おおかた、私が死んだ後のことは予想がつく。まず、薬袋的を徹底的に拷問する。恨みを募らせる。その上で残虐的に殺す。これで奴の恨みを買うことが出来る……。奴らもこの時代にいるということは、それは成功したのだ。大成功だ。その結果……薬袋的の呪いにて、江戸時代にまで遡っているのだから」


 タイムスリップの正体……。その引き金は敵側の能力じゃなかった。この時代の逆行を生み出したのは……。


 「そう。このタイムスリップこそ、最強の悪霊である『柵野栄助』の悪霊としての能力なのだ!!!」

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