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残機


 「偽神牛鬼が死んだ。百鬼将が一人、滋賀栄助に殺された……」


 獄面鎧王ごくめんがいおうは宇宙空間にいた。異次元の世界という意味ではない。本当に地球の大気圏の外を出た場所にいるのだ。全身が真っ黒の鎧で覆われている。獅子のようなたてがみに黒い鎧。面積が広い剣に鎧の中を真っ赤な血管が通っている。外から見ても分かる筋肉質。その波導が轟く。


 「と、いうことは闇荒御魂は奪われたということか。そう考えるべきだろうな」


 その向かい側には伊代羅刹龍いよのらせつりゅうがいた。西洋の竜の姿なのに侍のような武装をしている。神輿を身体に巻き付け、幾多もある腕の全てが直刀を握っている。以前に御門城を軍勢を率いて戦争をしかけて、中心都市を半壊させた百鬼である。


 そして二人とも百鬼将。薬袋的を殺して江戸時代まで送り込んだ張本人たちである。


 「お前……また能力で自分の軍勢を増やしたのか……。これ以上は百鬼の残機が無くなるから止めろと言ったはずだ」


 「知れたこと。個々で戦ってもこのように殺されるだけだ。それならば、我が配下として狂い咲かせた方がよろしい」


 獄面鎧王は焦っていた。残る百鬼は82体。しかし、30体以上は伊代羅刹龍が自分の能力で別の生物に変えてしまったので、のう残るは半分に思うしかないかもしれない。徐々にではあるが確実に減っている。まさか百鬼将の一人であった偽神牛鬼が、こうも早く退場するとは思わなかった。


 「このままだと本当に全滅する。百鬼将の最後の一人は合流も出来ていない」


 「昔から貴様は焦り過ぎだ。今からでも我が軍勢を率いて奴の首を落とす」


 それが出来れば苦労はしていない。百鬼としても滋賀栄助の正確な位置は分からないのだ。だから狙い撃ち仕様がない。こっちから先に暴れれば奴らに十分な考える時間を与えることになる。独眼巨人、世界蛇、偽神牛鬼。それぞれが重要な最強格の百鬼だったのに、先手に回ったことで敗北をしている。


 「くだらんことで揉めるな」


 遂にこの宇宙空間にいる最後の一人が声を出した。そこにいたのは、まるで特撮ヒーローのような人型の機械。青を基調にしたフォルム、獄面鎧王に負けず劣らずの筋肉質で、彼は肩に竜のあぎとが造形されている。赤い血管のラインが浮き出ており、その纏う覇気は尋常ではない。クワガタ虫のような角が星の光に照らされ光った。


 百鬼将:武雷電ぶらいでん。まるで小学生が楽しみにしていそうな、朝の番組で見るヒーローの風格だ。


 「武雷電殿……」


 「戦術など関係ない。これだけの怨念を持って負けるのならば、そういう運命だ。我々は臆さず、慌てず、奴と戦い続けるのみ。本当に我々がレベル3の頂に到達する運命ならば……憂うことは無駄だ。世の中とは意思が強い方が勝つ」

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