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白い苺

作者: 四つ葉ひな

妖精のアリーは服屋さん。

1日に何人もお客さんが来て、たいへん人気です。


ある日、遠くの森で暮らしているお姉さん、メリーが訪ねてきました。

「アリー、久しぶり!」

「メリー姉さん!」

「アリー、私ね、今度結婚するの。そこで着るウェディングドレスをあなたにぜひ、作って欲しいの」

大好きなお姉さんのため、アリーは喜んで引き受けました。


しかし困りました。

アリーはウェディングドレスを作ったことがありません。

どんなものなのか、何で作るのか見当つきません。

そこで、アリーはしばらく服屋さんをお休みしてお出かけすることにしました。


アリーが服屋さんを出てちょっとすると、とても珍しい青い小鳥がいました。

「ちょっと小鳥さん!」

「なんだい?」

「ウェディングドレスって何で作るの?」

「ウェディングドレス??よくわからないけど、ドレスを作るならね、向こうの僕の巣の下にとてもきれいな花があるよ。まるで天使みたいさ!案内しようか?」

「ありがとう、小鳥さん」

アリーは青い小鳥に案内してもらい、天使の花を見つけました。

それはそれは、とても美しい純白の花でした。

これならステキなドレスを作れる!アリーはそう思いました。


青い小鳥と別れたアリーは、次に美しいシマ模様の足をもつ、馬のような動物を見つけました。

「なんて美しい足をもつお馬さん!」

それを聞いた動物はおこりました。

「しつれいね!私は馬じゃないわ!キリンの仲間よ。キ・リ・ン!!」

「ご、ごめんなさい。」

「ま、足をほめてくれたのはうれしいわ。ありがとう。私は森の貴婦人きふじんだもの。オカピよ。よろしくね。」

オカピはペラペラと言いました。

「お、オカピさん。私はアリーといいます。ウェディングドレスってどんなものなんですか?」

アリーが聞くと、オカピは少し考えてから言いました。

「ウェディングドレス・・・・・・。そうね、とてもキレイでキラキラしているよ。かざりがいっぱいついてるわ。」

「ありがとう、オカピさん」

アリーはオカピにお礼を言って、別れました。


次にアリーは1軒家を見つけました。

1軒家のドアをたたくと、中から優しいおばあさんが出てきました。

「どうしたんだい?妖精さん。」

「ウェディングドレスに付けるかざりがほしいの。」

「ウェディングドレスねえ...............中へいらっしゃい。」

おばあさんはアリーを家の中へ入れました。

おばあさんの家には大きな大きな白いドレスがありました。

「これがウェディングドレスだよ。今度孫が結婚するんでね。」

「すごくきれいなドレス!!これがウェディングドレスなのね!」

アリーは目をかがやかせました。

けれど、おばあさんはため息をつきました。

「ただねえ、このドレスに付けるかざりがないんだよ。この近くの山の上に泉があってね、そこのほとりにある苺は妖精のこなをかけると白くかがやくんだよ。だけど私は腰がわるくてそこまで行けないんだ。」

「おばあさん!その苺、私がとってくるよ。私、このステキなウェディングドレスを完成させたい!」

「ありがとう、優しい妖精さん。苺をとってきたら、少しわけてあげるよ。」

おばあさんはアリーに妖精のこなをわたしました。

そして、アリーは山の上へ飛びたちました。


アリーがまっすぐ泉へ飛んでいると、カラスの群れがやってきました。

カラスの群れにのまれて、アリーはまっさかさまに山の中へ落ちてしまいました。


「あいたたたた。」

アリーはおき上がったとき、妖精のこながないことに気づきました。

「どうしよう。」

そのとき、おばあさんの言葉をおもいだします。

妖精のこなは、妖精の羽からとれるということを。

アリーは再び山の上へ飛んで行きました。


山の上には、どこまでも澄んでいる泉がありました。

そのほとりに、真っ赤な苺も見えます。

アリーは自分の羽から妖精のこなをとって、苺にかけました。

苺は白くかがやきました。

かわりに、アリーの羽は小さくしぼんでしまいました。

もう空を飛ぶことはできません。

アリーはたくさん苺をとって、歩いて山をおりました。


おばあさんの家につくころには、あたりはまっくらになっていました。

げんかんでおばあさんが心配そうにまっていました。

おばあさんはアリーの羽を見てびっくり。

「その羽、どうしたの?」

「とちゅうで妖精のこなをおとしちゃって。かわりに私のこなを使ったの。」

「そんなになるまで苺をとってきてくれたのね。ありがとう、ありがとう。」

やくそくどおり、おばあさんはアリーに白い苺をわけました。


こうして、ウェディングドレスが作れるようになりました。

アリーは服屋にもどって、さっそくドレスを作りはじめました。

今まで見たことがない、最高のドレスができました。


メリーの結婚式の日。

アリーは大好きなお姉さんに、とびきりのウェディングドレスをプレゼントしました。

メリーはまず、アリーのしぼんだ羽におどろきました。

でも、それ以上にステキなウェディングドレスに喜びました。


メリーの花嫁すがたはとてもきれいでした。

メリーとお別れのとき、メリーは身につけていたかみかざりをアリーのあたまにつけました。

すると、アリーの羽はみるみる大きくなり、白くかがやきました。

白い苺のまほうで、アリーに前よりとてもステキな羽がはえたのです。


アリーは今もこのキセキをだいじにむねにとどめて、服屋さんをしています。

もしかしたら、あなたの近くにいるかもしれません。

この物語に出てくる動物、オカピはキリンの仲間で、とても珍しい動物です。

また、天使の花がありましたよね。あれは天使の釣竿という花で、こちらも珍しい花です。

アリーは珍しい動物や物に出会っていたのです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] とても素直で、優しいお話ですね。 アリーにまた羽が生えて、空を飛べるようになって、安心しました。
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