R&J 1-1-1 花の都ベローナを舞台に、恋の高熱に浮かされた激しく儚い夢のような物語。序詞に続き、ロミオの家の若い衆登場。
R&J 序詞
花の都ベローナに咲いた恋。
いずれ劣らぬ富豪両家の因縁が
再び新たな火種を生み、
呪われた運命もさながらの
この世の儚き恋の果て。
ことの仔細を二時にてご照覧。
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ロミオのところの若い衆、サムソンとグレゴリ、剣と楯をもって登場。
1-1-1
サムソンR おい、グレゴリ、俺はもう大人しくしてるのにはうんざりだ。
グレゴリR そう言ってお前は、すぐカッとなったかと思うと、いざとなったら逃げ出す口だよな。
サムソンR 何言ってやがる。俺はあの家の連中にだけは我慢ならねえ。逃げ出すもんか。男とみりゃあ張り倒し、女とみりゃあ押し倒すさ。
グレゴリR おいおい、女はやめておけよ。
サムソンR 同じことだ。男どもを片付けたら、次は女の急所を一突きさ。
グレゴリR 女の急所?
サムソンR そうとも。俺の抜き身をおっ立ててな。
グレゴリR おっと、キャピュレット家の奴らだ。抜くがいいぜ。
サムソンR ここはひとついい子ぶって相手の出方を見てやろう。
グレゴリR よし、おとなしく出ると見せかけて、からかってやろう。奴ら、どう出るやら。
サムソンR そうだな。奴らの度胸を見てやろう。俺たちに馬鹿にされたまま通り過ぎるようなら、奴らのほうの面汚しさ。
シェイクスピア ロミオとジュリエット 第一幕第一場